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カレーとコーヒーとOMOと。

皆さん、こんにちは!ジェネシア・ベンチャーズの一戸です。

先日「NIKEに学ぶOMO」というnoteを公開したのですが、国内においてはまだまだOMOの事例が少ない中で、OMOに挑戦する起業家の方や、大企業のDXでOMOに取り組まれている方とより多くの事例をシェアできればと思い、今回はジェネシアの支援先でOMOに挑戦するスタートアップを2社ご紹介したいと思います。

また、あわせて、OMOの事業を構築する上で顕在化する組織課題についても考察していきたいと思います。

今回ご紹介するのは、「KITASANDO COFFEE」や「TAILORED CAFE」を展開するカンカクと、「TOKYO MIX CURRY」を展開するFOODCODE(以下TMC)の2社です。

カンカク

カンカクは、一言で言ってしまうとOMO型のカフェを展開しています。

2019年8月に「KITASANDO COFFEE」を北参道にて、2020年2月に「TAILORED CAFE」を麻布十番にてオープンし、あわせて、専用のモバイルオーダー・決済アプリ「COFFEE App」を提供しています。

・KITASANDO COFFEE(北参道)

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・TAILORED CAFE(麻布十番)

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・COFFEE App

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ちなみに、私のおすすめのメニューは黒豆あんバターサンド(350円)です。本当に美味しいので行かれた際にはぜひ食べてみてください。

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TMC

こちらも一言で言ってしまうと、OMO型のカレー屋を展開しています。

現在は、永田町や六本木、日本橋、渋谷、目黒等に店舗があり、最近は新たに恵比寿に出店しました。現在は平日のランチ帯のみの営業となっており、一部地域ではデリバリーでの提供も行っています。

・根津本店

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・永田町

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・オーダー・決済アプリ

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ちなみに、私はネバネバなカレーが好きなので、オクラ生姜トッピング(+60円)がおすすめです。シンプルなカレーもめちゃめちゃ美味しいのですが、もしよければこちらもトッピングして食べてみてください。

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OMOにおいて重要な2つのポイント

OMOについては、小売や飲食等の領域が比較的イメージしやすいかと思いますが、もちろんそれ以外にもヘルスケアや教育等の領域でも当てはまります。

ただ、ROUTE06/遠藤さんのこちらのツイートにもある通り、DXやOMOにおいてはUXが最も重要なので、自社が提供するUXが既存(他社)のものと比較して"nice to have"ではなく"must have"である方が事業としてスケールしやすいと思います。

それを踏まえた上で、個人的には以下の2つを満たす領域がOMOに適している(=UXを大きく向上させやすい、"must have"になりやすい)と考えています。

①ユーザーと高頻度な接点を構築することが可能
②ユーザー毎に趣味嗜好が異なり、パーソナライズのニーズが存在する

カンカクはカフェを展開しており、メインプロダクトはコーヒーです。コーヒーは毎日飲む人も多く、私自身もほぼ毎日コーヒーを飲んでいます。また、オフィスの近くのコンビニでよくコーヒーを購入する人も多いと思います。さらに、店舗だけでなくECも行っていますし、新商品が出た際やお知らせがある際は通知からアプリを開いてもらうことも出来ます。つまり、程度の差こそあれ、ユーザーと高頻度な接点を構築することは十分に可能だと思われます。

TMCはカレーを提供しているのでコーヒーよりは頻度が落ちるかもしれませんが、それでもやはりカレーは国民食なので、それなりの頻度で食べる人も多いと思います。私自身は元々ココイチが好きで、多いときには週3ぐらいで通っていました。世界で一番好きな食べ物は母親の作るカレーです。また、こちらもカンカクと同様、新商品が出た際やお知らせがある際は通知からアプリを開いてもらうことも出来るので、その日限定で提供されるトッピング等を無料でユーザーに認知してもらうことが出来ます。

また、カンカクはCotteaを買収したことを発表しましたが、Cotteaはコーヒー豆のカスタマイズECを展開しており、例えば、あるユーザーがECで定期的に購入しているコーヒー豆を基にカフェで提供するコーヒーをレコメンドしたり、逆に、普段カフェで飲んでいるコーヒーを基にECで購入するコーヒー豆をレコメンドしたりする等、趣味嗜好が様々なコーヒー(豆)においてのパーソナライズをより深く、広く行うことが出来ます。

ただ、パーソナライズにおいては、提供するプロダクトだけでなく、可能な限りUX全体のパーソナライズを行う必要があります。つまり、デジタル上での体験や店舗での接客方法も全てパーソナライズする必要があるのです。

TMCでは、前段で紹介したオーダー・決済アプリ上で、ユーザーはご飯の量や辛さ、トッピングを選択し、自分好みのカレーにカスタマイズできるのですが、その他にも、オーダーされたカレーを盛り付けるためのキッチンアプリ、接客のための接客アプリも開発しており、人×テクノロジーによって、プロダクトやデジタル上での体験、店舗での接客方法のパーソナライズを含めたUX全体の最適化を実現しようとしています。

OMOにおける組織構築の難しさ

先に触れた通り、パーソナライズにおいては、提供するプロダクトだけでなく、デジタル上での体験や店舗での接客方法も全てパーソナライズする必要があります。ただ、この中でも特に接客方法のパーソナライズは本当に難しいと感じています。

接客方法のパーソナライズには2面あると考えています。それは、各ユーザーに寄り添った接客と、それでもそのブランドらしさを感じさせる接客の2つです。相手に合わせるが、全て合わせるわけではなく芯は貫くということですね。

もちろん、各ユーザーの要望に応えたり、それぞれに合わせた接客を行うことも重要ではあるものの、それでもやはりユーザーは世界観やブランドを味わいにも来ている訳で、スタッフ1人1人がそれを体現できていなければいけません。さらに言うと、スケールしていく際には店舗では社員の方だけでなくアルバイトの方も働くことになるため、アルバイトの方にもその世界観やブランドを体現してもらうよう採用・育成していく必要があるのです。

私は、スタートアップやOMOに取り組む大企業が出店するリアル店舗には可能な限り行くようにしているのですが、オンラインで感じるイメージとリアル店舗で感じるイメージが異なることが往々にしてあります。これは、もちろんポジティブに働く場合もあるとは思いますが、多くの場合、その逆になってしまうことが想定されます。これはあくまで私の仮説ですが、その理由のほとんどが以下のいずれかに該当すると考えています。

・世界観やブランドを明文化できていない
・明文化した世界観やブランドがスタッフに浸透していない
・セクショナリズムが発生してしまっている

最初の2つについては、CIの策定・浸透にも近しいので、それに関する記事を読んでもらえればと思いますが、最後については少し厄介です。アパレル業界でもオンラインとリアル店舗が分断され、それに基づくセクショナリズムが発生してしまっているという話をよく聞きますが、OMOも同様にオンラインとリアル店舗がありますし、もちろんリアル店舗も1店舗だけでなく複数存在する中で、セクショナリズムを発生させないというのは本当に難しいことだと思います。正直なところ、これに対する明確な解決策はまだわかりません。CIにおけるバリューで明文化したり、組織設計を縦に分断しすぎず横の一気通貫の部署を持ったり、各部署のミッションを最適化したりする等、色々と考えられますが、私自身、カンカクやTMCと共に仮説検証を進めていければと思っています。

幸いなことに、カンカクの代表はメルペイ元CPOでシリアルアントレプレナーの松本さんで、TMCの代表はリクルートマーケティングパートナーズ元執行役員、スタディサプリの立ち上げにも関わりQuipperでCOOも勤めた西山さんという強力な経営者の方々なので、ジェネシアメンバーで全力でサポートしつつ、我々もOMO含めて多くのことを学んでいければと思います。

一方で、ジェネシア/相良のこちらのツイートにもある通り、中長期的にはUXだけでなく、徹底したQCDマネジメントも重要になってくるので、あわせてそちらについても研究・学びのシェアをしていければと思います。

最後に

まだまだ日本において成功事例が少ないOMOですが、スタートアップの躍進が期待されることもあり、今後が本当に楽しみです。既存産業とも深く関わってくる領域でもあり、我々ジェネシアのLPでもある丸井グループや東急不動産をはじめとした様々な大企業とオープンイノベーションを図りつつ、社会全体で取り組んでいけたらと思います。

OMOと共にある未来はどのようなものでしょうか。それは、あらゆる企業が様々な素晴らしいUXを提供しており、消費者はその中から自分が最も良いと思うUXを選択し、利用し続けた先にさらなるUXの向上が待ち構えており、人が人らしいコミュニケーションをすることによって有機的に繋がる未来だと思います。ぜひカンカクやTMC、これからお会いするOMOに挑戦する起業家の方や大企業の方々と共に実現していければと思います。

Twitter:@ichinohe_GV

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