見出し画像

土俵の上で

決してメンタルが強いほうではない。もしかするとお豆腐レベルかもしれない。
昔から小さなことが気になる性格で、最悪のケースを想定して勝手に落ち込んだり、想定からもれてしまった最悪のケースに遭遇してどっぷり落ち込んだりした。
でも、人前では泣かなかった。家族にも隠した。
学校で泣いたことはないし、職場でも泣かなかった(更衣室で泣いたことはあるし、帰りの車を運転しながら泣いたこともあるけど)。
今までの人生で2回だけ、人目もはばからず泣いたことがある。
1度は高校2年生のころ、フルートのコンクールで友達が予選通過し、わたしは落ちたとき。大阪の人が行き交う歩道橋の上で歩きながらわんわん泣いた。
2度目は父が選挙に落ちたとき。こんなに悔しいことがこの世にあるのかと思った。そのとき、わたしを見て赤いハート柄のハンカチを貸してくれた人は、後に市会議員になってなんか悪いことをしてどうのこうのだったけど、ハンカチは返したし、今でもそのことに関しては感謝している。ハンカチも持たずにあのとき、本当に疲れ切っていた。

勝ち負けがあるのは、勝負の世界である。
そうでないなら、勝負ではないので、勝負けはない。
わたしは勝負が苦手だし、勝負の世界は好きではないと思っているけれど、きっと違う。
負けるのが怖いから言い訳しているだけなのだと知っている。
だって負けるのが嫌なら土俵から降りればいいだけの話なのだから。
勝ちたいけど戦いたくないというのはずるい。
そんな自分に気付いて、ほとほとあきれる。ずるいし、黒い。ひねくれているし、アホだ。

勝ちたいなら勝負せねばならない。
当たり前なのに。
強くなりたいなぁ。



⭐︎写真はみんなのフォトギャラリーからお借りしました

いただいたサポートは創作活動、本を作るのに使わせていただきます。