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チャイkneeズには膝がある─セリフ中国語版「膝枕」

このnoteで公開している作品は、2021年5月31日から朗読と二次創作のリレー(通称「膝枕リレー」)が続いている短編小説「膝枕」のセリフ中国語版作品です。

オリジナルの短編小説は、公開ほやほやの徳田祐介さんの朗読動画をぜひ。朗読に合わせて字幕が入っています。



セリフ外国語版シリーズ第5作


正調「膝枕」のセリフ部分を外国語に翻訳した外国語版「膝枕」シリーズ

英語(関成孝さん)、インドネシア語(taraちゃん)、ロシア語(やまねたけしさん)、スペイン語(こたろんさん)に続いて、枕の母みずから中国語版を発表します。

着手したのは2021年10月。月2回の中国語レッスンで6週に1回まわってくる作文当番の機会を使い、少しずつ翻訳。邹畅(zōu chàng)先生に意図を汲んだ上で丁寧に直していただき、1年余りをかけて完成。

そこから寝かせること半年。紹興酒のごとく熟成させ、公開前にもう一度先生に目を通していただき、ようやくお披露目できる運びに。

膝枕リレーknee(2)周年記念「膝フェス」後夜祭に無理矢理滑り込ませ、蔵出し13作目として公開。これで派生作品のまとめは200本に。

チャイニーズの中にはkneeがある!

中国語(簡体字)の後に(ピンイン 日本語原文)をつけています。ネイティブの方に発音指導部屋を開いてもらえたら、最高。

今井雅子作  「膝枕」   
セリフ中国語訳 今井雅子&邹畅(zōu chàng)

休日の朝。独り身で恋人もなく、打ち込める趣味もなく、その日の予定も特になかった男は、チャイムの音で目を覚ました。

ドアを開けると、宅配便の配達員がダンボール箱を抱えて立っていた。オーブンレンジでも入っていそうな大きさだが、受け取りのサインを求められた伝票には「枕」と書かれていた。

"枕头!(Zhěn tou 枕)"

男の声が喜びに打ち震えた。

"请签收这个。(qǐng qiānshōu zhègè 受け取ってもらって、いいっすか?)"

配達員に急かされ、男は「取扱注意」のラベルが貼られた箱を両腕で受け止めると、お姫様だっこの格好で室内へ運び込んだ。

はやる気持ちを抑え、爪でガムテープをはがす。カッターで傷をつけるようなことがあってはいけない。箱を開けると、女の腰から下が正座の姿勢で納められていた。届いたのは「膝枕」だった。ピチピチのショートパンツから膝頭が二つ、顔を出している。

"你比你在目录中看起来更白净。(nǐ bǐ nǐ zài mù lù zhōng kàn qǐlái gèng báijìng  カタログで見た写真より色白なんだね)"

男が声をかけると、膝枕は正座した両足を微妙に内側に向け、恥じらった。見た目も手ざわりも生身の膝そっくりに作られている。さらに、感情表現もできるようプログラムを組み込まれている。だが、膝枕以外の機能は搭載していない。膝を貸すことに徹している。

幅広いニーズに対応できるよう、商品ラインナップは豊かだ。体脂肪40%、やみつきの沈み込みを約束する「ぽっちゃり膝枕」。母に耳かきされた遠い日の思い出が蘇る「おふくろさん膝枕」。「小枝のような、か弱い脚で懸命にあなたを支えます」がうたい文句の「守ってあげたい膝枕」。頬を撫でるワイルドなすね毛に癒される「親父のアグラ膝枕」……。

カタログを隅から隅まで眺め、熟慮に熟慮を重ね、妄想に妄想を繰り広げた末に男が選んだのは、誰も触れたことのないヴァージンスノー膝が自慢の「箱入り娘膝枕」だった。

「箱入り娘」の商品名に偽りはなかった。恥じらい方ひとつ取っても奥ゆかしく品がある。正座した足をもじもじと動かすのが初々しい。一人暮らしの男の部屋に初めて足を踏み入れた乙女のうれし恥ずかしが伝わってくる。

"我很高兴你来了。把这儿当作自己的家好好儿休息吧。(wǒ hěn gāo xìng nǐ lái le  bǎ zhèr dāng zuò zì jǐ de jiā fàng sōng xiū xī ba よく来てくれたね。自分の家だと思ってリラックスしてよ)"

強張っていた箱入り娘の膝から心なしか力が抜けたように見えた。この膝に早く身を委ねたいという衝動がこみあげるのを、男は、ぐっと押しとどめる。強引なヤツだと思われたくない。気まずくなっては先が思いやられる。なにせ相手は箱入り娘なのだ。

"嗯,你的衣服.... 我不知道女人爱穿什么.... (èn,  nǐ de yī fú....wǒ bù zhīdào nǚrén ài chuān shénme その……着るものなんだけど、女の子の服ってよくわからなくて.……)"

男がしどろもどろに言うと、箱入り娘の膝頭が少し弾んだ。

"我们一起去购物, 好吗?(wǒ men yì qǐ qù gòu wù hǎo ma? 一緒に買いに行こうか)"

さっきより大きく、膝頭が弾んだ。喜んでくれているらしい。


男と膝枕にとっての初夜となる、その夜。男は箱入り娘に手を出さず、いや、頭を出さず、そこにいる膝枕の気配を感じて眠った。やわらかなマシュマロに埋(うず)もれる夢を見た。

翌日、男は旅行鞄に箱入り娘膝枕を納めると、デパートのレディースフロアへ向かった。

"很抱歉把你关在狭小的空间里。有点耐心,好吗?(Hěn bàoqiàn bǎ nǐ guān zài xiáxiǎo de kōngjiān lǐ. Yǒudiǎn nàixīn, hǎo ma? 窮屈でごめんね。少しの辛抱だから)"

ファスナーが閉まりきらない旅行鞄を抱きかかえ、鞄に向かって話しかける男の顔は最大限にニヤけていた。怪しすぎて、店員は寄って来ない。

"我认为还是白色符合你的形 象 。这种看起来很合适。这个怎么样?(wǒ rèn wéi hái shì bái sè fú hé nǐ de xínɡxiànɡ zhèzhǒnɡkàn qǐ lái hěn hé shì zhè ɡe zěn meyànɡ? やっぱり白のイメージかなあ。こういうの似合いそうだよね。これなんかどう?)"

男が手に取ったスカートを旅行鞄に近づけると、鞄の中で膝頭が弾んだ。

裾がレースになっている白のスカートを買い求めた男は、帰宅すると、早速箱入り娘に着せてみた。

"很好。裙子很合适!真漂亮!...我受不了了!(hěn hǎo qún zi hěn hé shì zhēnpiàolianɡ wǒ shòu bù liǎo le いいね。すごく似合ってる。可愛い……もう我慢できない!)"

男は箱入り娘の膝に倒れ込んだ。マシュマロのようにふんわりと男の頭が受け止められる。白いスカート越しに感じる、やわらかさ。レースの裾から飛び出した膝の皮膚の生っぽさ。天にも昇る気持ちだ。

この膝があれば、もう何もいらない。男は箱入り娘の膝枕に溺れた。職場にいる間も膝枕のことが気になって仕事が手につかない。

"我回来了!(Wǒ huíláile! ただいま!)"

男が飛んで帰り、玄関のドアを開けると、膝枕が正座して待っている。膝をにじらせ、男を出迎えに来てくれたのだ。なんて、いじらしい。愛おしさがこみ上げ、男は箱入り娘の膝に飛び込む。

膝枕に頭を預けながら、男はその日あった出来事を話す。ときどき膝頭が小さく震える。笑っているのだ。
 

"我说的话有意思吗?(wǒ shuō de huà yǒu yì si mɑ? 僕の話、面白い?)"

拍手をするように、二つの膝頭がパチパチと合わさる。もっと箱入り娘を喜ばせたくて、男の話に熱がこもる。仕事でイヤなことがあっても、箱入り娘に語り聞かせるネタができたと思えば、気持ちが軽くなる。うつ向いていた男は胸を張るようになった。顔つきに自信が表れ、目に力が宿るようになった。

"我不知道原来你是这么有趣的人。 (wǒ bù zhī dào yuán lái nǐ shì zhè me yǒu qù de rénこんなに面白い人だったんですね)"

職場の飲み会で隣の席になったヒサコが色っぽい視線を投げかけてきた。男の目はヒサコの膝に釘づけだ。酔った頭が傾いてヒサコの膝に倒れこみ、膝枕される格好となった。

その瞬間、男は作り物にはない本物のやわらかさと温かみに魅了された。

骨抜きになっている男の頭の上から、ヒサコの声が降ってきた。

"我好像已经爱上了你。(wǒ hǎoxiànɡ yǐ jīnɡ ài shànɡ le nǐ  好きになっちゃったみたい)"

その夜も、箱入り娘膝枕は、いつものように玄関先で男を待っていた。ヒサコの膝枕も良かったが、箱入り娘の膝枕も捨てがたい。

"毕竟你的膝枕是最好的。(bì jìnɡ nǐ de xī zhěn shì zuì hǎo de やっぱり君の膝枕がいちばんだよ)"

つい漏らした一言に、箱入り娘の膝が硬くなる。浮気に感づいたらしい。そこに
"现在我可以去你家吗? (xiànzài wǒ kě yǐ qù nǐ jiā mɑ? 今から行っていい?)"とヒサコから連絡があった。男はあわてて箱入り娘をダンボール箱に押し込め、押入れに追いやると、ヒサコを部屋に招き入れた。

その夜、男はヒサコに膝枕をせがんだが、手を出すことはしなかった。ヒサコは男に大事にされているのだと感激したが、男は膝枕にしか興味がないのである。

翌日からヒサコは男の部屋に通うようになるが、あいかわらず膝枕止まりで、その先へ進まない。ヒサコはじれったくなるが、女のほうから"差不多可以同床共枕了吧?(chā bu duō kě yǐ tónɡchuánɡɡònɡzhěn le bɑ そろそろ枕を交わしませんか)"と言うのもはばかられる。

もうひとつ、ヒサコには気になることがあった。男の部屋にいると、視線を感じるのである。誰かが息をひそめて、こちらをジトっと見ている気がする。

"有其他人在吗。(yǒu qí tā rén zài mɑ ねえ。誰かいるの?」

"不可能啊!(bù kě nénɡ ɑ そんなわけないよ)"

すると、今度は押入れからカタカタと音がする。

"什么声音?(shén me shēnɡ yīn  ねえ。何の音?)"

"是你的错觉吧。不好意思,我要工作了。(shì nǐ decuòjué bɑ duì bù qǐ bùhǎo yì si wǒyàoɡōnɡzuò le  気のせいだよ。悪い。仕事しなきゃ)"

"好的。你工作吧。我先睡觉了。(hǎode nǐ ɡōnɡzuò bɑ wǒxiānshuìjiào le  いいよ。仕事してて。私、先に寝てる)"

"不是。和你在一起我无法集中注意力。(bùshì hénǐzàiyìqǐ rànɡ wǒwúfǎjízhōnɡzhùyìlì  違うんだ。君がいると、気が散ってしまうんだ)"

男は急いでヒサコを追い返すと、ダンボール箱から箱入り娘を取り出す。箱の中で暴れていたせいで、箱入り娘の膝は打ち身と擦り傷だらけになっている。その膝をこすりあわせ、いじけている。

"你吃醋了吗?(nǐ chīcùlemɑ  焼きもちを焼いてくれているのかい?)"

男は箱入り娘を抱き寄せると、傷だらけの膝をそっと指で撫でる。

"对不起我再也不会允许任何人进入我的房间了。对我来说,你是唯一的(duìbùqǐ wǒzàiyěbúhuìyǔnxǔrènhérénjìnrùwǒdefánɡjiānle wǒ láishuō nǐ shìwéi yī de  悪かった。もう誰も部屋には上げない。僕には、君だけだよ)"

男が誓うと、"答应我。 (dāyìnɡwǒ  お願い)"と手を合わせるように、箱入り娘は左右の膝頭をぎゅっと合わせる。それから膝をこすり合わせ、"到我的膝枕上来吧。(dào wǒ de xī zhěnshànɡ lái bɑ  来て)"と言うように男を誘う。

"这样好吗? 这么多划痕。(zhè yànɡ hǎo mɑ?  zhè me duō huà hén いいのかい? こんなに傷だらけなのに)"

"没事的。 (méi shì de いいの)"と言うように左右の膝をかわるがわる動かし、箱入り娘が男を促す。打ち身と擦り傷を避けて、男は箱入り娘の膝に、そっと頭を預ける。

"果然你的膝枕是最好的。(ɡuǒ rán nǐ de xī zhěn shì zuì hǎo de やっぱり、君の膝がいちばんだよ)"

"可恶!(kě wù 最低!)"

男が飛び起きると、いつの間にかヒサコが戻って来ていた。玄関に仁王立ちし、形のいい唇を怒りで震わせている。

"你脚踏两只船 !(nǐ jiǎo tà liǎnɡ zhǐ chuán   二股だったんだ……)"

"不是的!你是我唯一认真喜欢的人。看,这只是一个玩具!(bù shì de nǐ shì wǒ wéi yī rènzhēn xǐ huānde rén kàn zhè zhǐ shì yí ɡè wán jù   違う! 本気なのは君だけだ! これはおもちゃじゃないか!)"

男が思わず口走ると、"太过分了!(tài ɡuò fèn le   ひどい)"と言うように箱入り娘の膝がわなわなと震えたが、男は遠ざかるヒサコの背中を見ていて、気づかなかった。

男は、ヒサコへの愛を誓うことにした。

"对不起。我不能再和你在一起了。但是你也希望我幸福对吧?(duì bù qǐ wǒ bù nénɡ zài hé nǐ zài yì qǐ le dàn shì nǐ yě xī wànɡ wǒ xìnɡ fú duì bɑ?  ごめん。これ以上一緒にはいられないんだ。でも、君も僕の幸せを願ってくれるよね?)"

身勝手な言い草だと思いつつ、男は箱入り娘をダンボール箱に納め、捨てに行った。箱からは何の音もしなかった。その沈黙が男にはこたえた。自分がどうしようもない悪人に思えた。ゴミ捨て場に箱を置くと、振り返らず、走って帰った。

真夜中、雨が降ってきた。箱入り娘は今頃濡れそぼっているだろう。迎えに行かなくてはという気持ちと、行ってはならないと押しとどめる気持ちがせめぎ合う。男はヒサコの生身の膝枕のやわらかさを思い浮かべ、自分に言い聞かせた。

"忘记那个〝藏在深闺的千金小姐”吧。只能忘记。久子的膝枕会让我忘记的。(wànɡ jì nà ɡe cánɡ zài shēn ɡuī de qiān jīn xiǎo jiě bɑ zhǐ nénɡwànɡ jì jiǔ zǐ de xī zhěn huì rànɡ wǒ wànɡ jì de 箱入り娘のことは忘れよう。忘れるしかないんだ。ヒサコの膝が忘れさせてくれる)"

眠れない夜が明けた。男が仕事に向かおうと玄関のドアを開けると、そこに見覚えのあるダンボール箱があった。狭い箱の中で膝をにじらせ、帰り着いたらしい。箱に血がにじんでいる。

"得马上处理伤口!(děi mǎshànɡchú lǐ shānɡkǒu  早く手当てしないと!)"

男が箱から抱き上げると、箱入り娘の膝から滴り落ちた血が男のワイシャツを赤く染めた。

"你没事吗?是不是很刺痛?对不起啊。(nǐméishìmɑ shìbúshihěncìtònɡ duìbùqǐ ɑ 大丈夫? しみてない? ごめんね)」

箱入り娘の膝に消毒液を塗り、包帯を巻きながら、男は申し訳なさとともに愛おしさが募った。こんなに傷だらけになって男の元に戻って来てくれた箱入り娘を裏切れるわけがない。

そのときふと、男の頭に別な考えがよぎった。

"这不也是一个编好的程序吗?(zhè bù yě shì yí ɡè biānhǎo de chénɡ xù mɑ?  これもプログラミングなんじゃないか)"

箱入り娘膝枕の行動パターンは、工場から出荷された時点でインストールされている。二股をかけられたとき、捨てられたときのいじらしい反応も、あらかじめ組み込まれているのだとしたら、人工知能に踊らされているだけではないのか。そう思うと、男はたちまち白け、箱入り娘がただのモノに見えてきた。

"明天,我要把这个扔得远远的,让她再也不能回来。(mínɡtiān wǒ yào bǎ zhè ɡe rēnɡ dé yuǎnyuǎn de rànɡ tā zài yě bù nénɡ huí lái  明日になったら、二度と戻って来れない遠くへ捨てに行こう)"

これで最後だと男は箱入り娘の膝枕に頭を預けた。別れを予感しているのか、箱入り娘は身を強張らせている。箱入り娘の膝枕に頭を預けながら、男はヒサコの膝枕を思い浮かべる。所詮、作りものは生身には勝てないのだ。

"不行哦。我们不能分离。这就是命运。(bù xínɡ o wǒ men bù nénɡ fēn lí zhè jiù shì mìnɡ yùn  ダメヨ ワタシタチ ハナレラレナイ ウンメイナノ)"

夢かうつつか、箱入り娘の声が聞こえた気がした。

翌朝、目を覚ました男は、異変に気づいた。

"嗯?发 生 什么事了?  我的头抬不起来了!(én fā shēnɡshénme shì le wǒ de tóu tái bù qǐ lái le  あれ? どうしたんだ? 頭が持ち上がらない)"

頭がとてつもなく重い。横になったまま起き上がれない。それもそのはず、男の頬は箱入り娘の膝枕に沈み込んだまま一体化していた。皮膚が溶けてくっついているらしく、どうやったって離れない。

"我、我就 像 摘瘤爷爷故事里 长 瘤的老头子。(wǒ wǒ jiù xiànɡ yí ɡè yǒuzhǒnɡkuài zhāi liú yé yé ɡù shì lǐ zhǎnɡ liú de lǎo tóu zi これじゃあまるで、こぶとりじいさんじゃないか)"

男は保証書に記された製造元の電話番号にかけてみたが、呼び出し音が空しく鳴るばかりだった。

"什么?这是......已购买产品的客户注意事项......?(shénme zhè shì yǐ ɡòumǎichǎnpǐn de kè hù zhù yì shì xiànɡ なんだこれは? 商品をお買い上げのお客様へのご注意……?)"

保証書の隅に肉眼で読めないほどの細かい字で注意書きが添えられていることに男は気づいた。

"这是一个(藏在深闺的)千金小姐,因此,不能退换。请终 生负责任地小心对待,使用不当可能会引起问题。(zhè shì yí ɡè cánɡ zài shēn ɡuī de qiān jīn xiǎo jiě yīn cǐ bù nénɡ tuì huàn. qǐnɡzhōnɡshēnɡ fù zé rèn de xiǎo xīn duì dài shǐ yònɡ bú dànɡ kě nénɡ huì yǐn qǐ wèn tí  この商品は箱入り娘ですので、返品・交換は固くお断りいたします。誤った使い方をされた場合は、不具合が生じることがあります)"

いよいよ起き上がれなくなった男の頭は、ますます箱入り娘の膝枕に沈み込む。かつて味わったことのない、吸いつくようなフィット感が男を包み込んでいた。

 


目に留めていただき、ありがとうございます。わたしが物書きでいられるのは、面白がってくださる方々のおかげです。