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寒い日にはイタリアンいもがバズる

根っからのさつまいも好き

わたしのnoteの記事一覧を見たら、「この人は、さつまいもが好きなのだろうか」と思われるかもしれない。3つ前の記事には、さつまいもがゴロゴロ。今度はこんがりほくほくなさつまいも。

なんのひねりもなく、さつまいもが大好きだ。

夫の母には「あの嫁は、いもを食べさせていれば機嫌がいい」と喜ばれている。初めてさつまいもの天ぷらを出されたとき、食欲が遠慮を上回り、呆れられるほど食べてしまった。衣にぱらりとまぶした塩で甘さが引き立ち絶品だった。

天ぷらで一番好きなのは、さつまいも。
焼肉で一番好きなのも、さつまいも。

そんな根っからのさつまいも好きが2017年の冬、こんなおいしい食べ方があったのか!と衝撃的な出会いをした。

冷たい油から揚げるイタリアンいも

そのさつまいもは、初めて訪れたイタリアンレストランの前菜のひと品として現れた。見た目はさつまいもの輪切りなのだが、口に入れると、思いのほかねっとりとクリーミーで、とろけるように甘かった。

スイートポテトのように中身をくり抜いてバターやクリームや砂糖と混ぜて固め直したのかと思うほど、これまでに食べたさつまいもと食感が違った。

「これ、さつまいもだけ、ですよね?」

感想とともにお店の人に聞いてみると、さつまいもには何も手を加えていないが、揚げ方にコツがあるのだと言う。

「油が冷たいうちに入れて、油と一緒に温めるんです」

低温からじわじわ火を通すことで、中がとろけるほどやわらかくなり、甘みが引き出されるらしい。

油を減らして外はこんがり

これはいいことを聞いたと早速作ってみた。

お店では、さつまいもがひたひたになるくらいの油で揚げているとのことだったが、普段から唐揚げも揚げ焼きで使い切る派なので、油の量を減らすことにした。

フライパンに並べたさつまいもの輪切りの上からオリーブオイルを回しかけ、底から5ミリほどで止める。さつまいもをひっくり返し、表面にまんべんなく油をまとわせた上で点火。あとは弱火でじっくり揚げる。

お店で食べたイタリアンさつまいもは表面が油でしっとりとしていたが、揚げ焼きにすると、こんがりと焼き色がついた。ひっくり返して両面を焼いた。

噛んでみると、ザクッというしっかりとした歯応え。揚げ焼きイタリアンさつまいもは、油が少なくて済むだけでなく、「外はこんがり。中はほっくり」と2つのおいしさを楽しめるおまけがついてきた。

Twitterに上げると、バズった。

みんな、いもが好き。油も好き。そして、さっいもには冬が似合う。

いもはバズったものの

ちょうどその頃、年明け2018年の1月5日公開の『嘘八百』(2020年に続編『嘘八百 京町ロワイヤル』が公開されたシリーズの第1弾)の宣伝をせっせとつぶやいていた。リツイートといいねを合わせて2桁行けばいいほうで、3桁超えることなんてなかった。

ところが、イタリアンいもツイートは、あっという間に5桁になった。他のツイートもいもづる式に読んでもらえたらと期待したが、いもはいもで完結していた。

「すごいですね、いも!」
「評判いいですね、いも!」
「見ましたよ、いも!」

会う人ごとに、いものことをほめられた。

「今井さん、今、あれやってるんですよね? いも!」

いや、いもは仕事じゃないんで。

「映画のタイトル『芋八百』だったら良かったですね」

良くない。

そんな折、ネットニュースの取材が立て続けに3件舞い込んだ。バズったツイートのコメント欄でよく見かける、「はじめまして」の挨拶から始まる掲載させてくださいコメント。あれがイタリアンいもツイートに寄せられたのだった。

ネットニュースに宣伝をねじ込む

『嘘八百』の公式サイトのURLを添えて、掲載OKの返事をした。

「良かったら、映画の紹介もお願いします!」

バーターというやつだ。まさか、いもと映画がバーターになるとは。

「いもとうつわ、どちらも焼きものです!」

無理やりこじつけて売り込んだ。どのメディアも快く応じ、いもとともに『嘘八百』を紹介してくれた。

冷たい油がポイント!お芋をとろとろに甘く仕上げるコツ - macaroni


超絶品!ネットで話題の「甘くとろけるサツマイモ」の調理法を試してみた - Infoseekニュース

「料理の知恵袋」8選!みんなの天才的なアイデアに感服のひとつとして紹介してくれた「まちメディア クレイジー」さんは、『嘘八百』各地のために別枠を設けてくれた。

※8番でご紹介した今井雅子さんが、足立紳さんと脚本を手掛けたお宝コメディ映画『嘘八百』が2018年1月5日(金)公開となります。ご興味ある方はチェックしてみてください♪ 

広告代理店出身なので、メディア費に換算して、「いもに便乗して、ネットニュース3つにタダで宣伝打てた!」とほくほくした。

いちばん得たものはカロリー

その冬は何十本もいもを揚げた。

初めて作ったときは40分くらいかけて揚げた。消えるか消えないかのぎりぎりの弱火にすると、焦げ目がつくまでに1時間くらいかかった。揚げ物に1時間かけるって、煮物みたいで、さつまいもらしいと思った。

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油に塩胡椒で味つけてからじゃがいもを揚げるとうまい!とコメント欄に書き込みがあったので、じゃがいもも揚げた。

うちに遊びに来た中学生の女の子が「うっま!この油でご飯食べれる!」と喜んだ。「またいも食べに行きたいです」と言っているので、よっぽど気に入ったらしい。

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かぼちゃもれんこんもいける。

さつまいもは薄切りしたチップス状のものが好評で、時間もかからないので、最近はそうしている。薄いので、じわじわ温度を上げず、最初から高温でもいいのかなと思うけれど、冷たい油から始めている。薄切りには胡麻油が合う。

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ツイートから3年あまり。寒い日には今も通知が来る。急に冷え込んだ日は、とくに。さつまいもを食べたい気分になった誰かがリツイートしたのを、また誰かが見つけて、イタリアンさつまいも気分が広がるのだろう。

二匹目のどじょうを狙って、時々いもツイートをするけれど、元祖リツイーモのようには流行らない。確実に稼げているのはカロリーで、いもが身につくことはよくわかった。

2/7追記。このnoteのことをツイートしたけど、いものことをつぶやけば良いものでもないとよくわかる。それでも、ひとつ前のnote(「ミヤコが京都にやって来た!」のシナハンのことを書いた《「空」は「くう」であり「から」であり「そら」であり》)より、いもnoteが人気。


目に留めていただき、ありがとうございます。わたしが物書きでいられるのは、面白がってくださる方々のおかげです。