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【アフターコロナ時代の地域再生とモビリティ】 最大のチャンスはワーケーションと地方型MaaSの相乗り

アフターコロナ時代の「場所と移動ニーズの変化」とビジネスチャンスを検討する有志のWebセッションを立ち上げ、4月から開催してきました。各関連業界分野の専門的知見を持つ約20名の有志の方々に忙しい時間を縫ってご参加頂き、協議・検討を重ねました。

その結果、「地方でのワーケーションの可能性が拡大する」ことを機会と捉え、自治体が促進する「地方型MaaS」に観光業界の民間事業者が相乗りするというアプローチが、最もビジネスチャンスに繋がるという仮説が生まれました。

初投稿の今回ご紹介するのは、この協議を踏まえ3カ月かけて作成したレポートです。事前レビュー頂いた関連業界の経営層や学識者の方々からも反響のあった内容なので、要旨だけでも見て頂ければ幸いです。(画面上で詳細が見にくい場合はPDFファイルをダウンロード下さい。)

以降は、レポートのスライドをピックアップして概要をご説明します。

1.With/Afterコロナ時代の環境変化予測

まず「場所と移動ニーズの変化」に焦点を絞る前に、より広い観点からウィズ/ アフターコロナの環境変化と必要な対応を検討しました。

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そのうえで、ウィズコロナ時代に必要な主要対応のひとつとして「場所と移動の変革」を特定し、具体的な提案の検討対象にしました。

前提条件としてウィズコロナ期間の長期化(2-3年)を想定していますが、仮に期間が短縮されて今回の予測ほどの影響がなかったとしても、中長期的に必要な対策は変わらないことを整理しています。

2.With/Afterコロナ時代の場所と移動のニーズ変化

アフターコロナ時代に向けて予測される場所と移動ニーズの主要変化は、①居住環境の快適性追求、②移動ニーズの複雑化、③移動の快適性追求です。

デジタル化の進展により知識集約型産業従事者を中心に人々は場所に縛られなくなり、自分が居たい場所(家やサードプレイス)で過ごす時間が長くなります。都心の狭い居住よりも郊外の広い居住を求める人が増えるとともに、ワーケーションを活用した地方長期滞在需要が増すと考えられます。

また必要不可欠な移動(通勤など)が激減する一方で、移動サービスの質の向上が求められます。首都圏では鉄道を利用した毎日の通勤・通学がこれまでの生活の前提であったのに対し、「駅」に行く必要のない人々が増え、居住や長期滞在先を拠点とした利便性の高い移動サービスの需要が高まると考えられます。

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このような場所と移動のニーズを満たすための取組みとして、MaaS(Mobility as a Service)を活用した地域再生が有効です。特に地方でのMaaSを活用した地域再生は、アフターコロナ時代のワーケーション促進と観光産業活性化に高い効果が期待できると考えています。

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3.官民連携によるワーケーション誘致と地域活性化

地域開発では、行政サービス提供の役割を担う自治体の取組み意思に加え、地域の有力企業のイニシアティブがあれば鬼に金棒です。開発効果の影響を直接受ける産業分野の有力企業が地域開発に計画段階から関わることで、自治体は実効性の高い施策を打ち出しやすくなります。

実際に住宅地開発では、不動産ディベロッパーが自治体と連携して地域開発に取組む事例が多数あります。同様に地方観光の活性化でも、観光開発が収益に直結する有力企業(大手リゾートホテルや民営化後の空港など)が自治体と連携することで、地域開発効果が増すと考えられます。

これに対し大手リゾートホテルは、これまで近隣の宿泊施設と競合しながら独自路線で利用客にアプローチすることが多かったかもしれません。しかしワーケーション促進のためには学校受入を始めとした行政サービスが不可欠であり、自治体との連携の重要性が高まります。

自家用車でリゾートホテルに訪れる家族旅行客も、ワーケーションでは家族別々に滞在先で日常生活を再現するための移動手段が必要になります。こういった長期滞在者が直面するモビリティ課題は、リゾート地の住民が抱えるモビリティ課題と共通点も多く、一緒に解決することで採算性や経済合理性も高まると考えられます。

また、長期滞在旅行客が増えることで、リゾート地での日常生活も変わる可能性があります。さびれた地方の温泉地でおいしいパンやケーキが食べたくても難しかったのが、長期滞在旅行客が増え消費需要が高まることで、飲食店などの地域住民が利用できる生活の選択肢も増えると考えられます。

官民連携によるワーケーション誘致の実現は、観光産業活性化だけでなくリゾート地の住民の生活の利便性向上や豊かさ(選択肢拡充)に結び付くものと考えています。

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おわりに

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

観光や交通などの産業へのコロナの負のインパクトの報道が絶えない昨今ですが、今回のレポートの内容を関連産業の活性化に少しでも役立てて頂くことができればとても嬉しいです。








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