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管理職の仕事は「掛け替えのある私」を作ること

こんにちは。キャリコン社労士の村井真子です。

今、様々な企業でいわゆる働き方改革関連のお仕事をいただいていますが(ありがとうございます!)、仕事をしながらつくづく思うのは、管理職の方の仕事というのは、本質的には「掛け替えのあるあなた」を作っていく仕事なんだなということです。

人は、それぞれ掛け替えない存在です。

掛け替えのない、つまり唯一無二の。ほかに替えのない存在。すべての個人は掛け替えない、世界でたった一人のオリジナルです。だからこそ、人は人を殺してはいけないのだし、その掛け替えのなさのために尊厳というものがあるのだと私は思っています。

が、会社組織において、「掛け替えのないあなた」はたいていの場合、癌になります。

唯一無二のあなただけができる仕事やオンリーワンの存在としてあなたを見てくれる営業先があることは快感です。「あなた」の個人としての価値は高まるし、そのような仕事を許し、さらにはプラスの評価さえくれる会社は居場所としての機能としても満点です。そのような方は会社に行くことが幸せだし、楽しいし、辛いことや苦しいこともあるけれど、それ以上に大きなやりがいを抱えておられることでしょう。

でも、これは癌のもとなのです。

なぜなら、企業においてその仕事が「あなた」にしかできないということは、大きなリスクであるからです。

たとえば、「あなた」が明日事故に遭って、仕事ができなくなったら。たとえば、「あなた」が転職したら。

「あなた」の不在は会社に大きなダメージをもたらします。「あなた」しかできない仕事として上記のような状態を許容していた企業は、ブラックボックス化していた仕事の多さに唖然とするでしょう。というか、何がブラックボックスになっているのかすら分からないということだってあり得ます。「あなた」だけが持っていた顧客リスト、「あなた」だけが開拓した販路の連絡先、受発注の情報と進捗……数え上げればきりがありません。

このような状況を忌避するため、現在多くの企業では「かけがえのないあなただけの仕事」=属人性の高い仕事を排除し、あるいは透明化を進めています。

極端な話、管理職の方々の仕事はこれに尽きるといっても過言ではありません。

ひとりひとりが持っている仕事を見える化し、効率的に行われているか、会社として受注している仕事が滞りなく行われているかを明確化することで、企業全体で重複している仕事をなくしたり、空いたリソースで新しい仕事を生み出すことが管理職の仕事の大きな柱です。

そして、管理職の方自身も「掛け替えのある」存在であることが必要です。同階級、あるいはさらに上の上長にきちんと自分の仕事、部下の仕事の進捗が把握できる状態にしておくこと。

こうして、改革が進んだ企業はどんどん掛け替えのある人材ばかりになってゆきます。

(だからこそ、誰もが休みやすく、働きやすい職場環境が実現できるのです。)

「掛け替えのある私」なんてつまらない、存在価値がないみたいな気がしてしまう、そんな方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、これは「会社に所属しているあなた」の話です。

企業から一歩外に出れば、企業の肩書を外せば、あなたは依然として掛け替えのない、尊重されるべき一個の個人です。

残念ながら、企業に入ってコンサルをしていますと、それを勘違いしておられる方が一定数おられる印象です。会社が自分の一番の居場所になってしまっていて、居場所を守るために属人性の高い仕事に固執する。自分の仕事だと抱え込む。そういうケースも多々あります。

でも、そうであっても、企業の中にいる間は「掛け替えのあるあなた」である必要があります。あなたが抜けても円滑に仕事がまわることこそが、企業におけるあなたの優秀さの証です。

組織で仕事をする方は、ぜひこのことをぜひ知っていただけたらと思います。



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