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5Gがもたらす社会全体のデジタル化

日本は、少子高齢化(超高齢化)や都市圏の人口集中、自然災害の多発等、課題が多く残る先進国になっています。そんな中で、新型コロナウイルス感染症拡大が、我々の生命や経済活動に甚大な影響を与えていることは間違いありません。この問題を解決すべくICT「Information and communication Technology:情報通信技術」が非常に重要な役割を担っています。例えば、パンデミック下における会議や会社業務では、リモート会議やリモートで業務を行なったりと従来では浸透がなかった技術が注目されています。

直近の未来 〜ICTによる変化〜

少子高齢化と人口減少による生産年齢人口の減少は労働投入の減少となり、労働者1人あたりの生産性を高めなければ、経済規模の縮小や人口不足の深刻化など、今後の経済・労働環境にマイナスの影響を与えることが明白となっています。

労働生産性を向上させるためには、機械化・ロボット化等ICTの導入により業務効率化を図り、労働投入量を減少させることが必要になります。

生産労働者の代替者になるだけでは、もちろんありません。

冒頭にも陳述した「リモート」を2020年はさらなる加速をすることは目に見えています。この理由として、挙げられるのは「東京オリンピック」です。

IOC(International Olympic Committee:国際オリンピック委員会)副委員長は、「2021年夏にコロナ下でも東京オリンピックを開催する」と会見で述べました。

コロナ下でオリンピックを行うということは、「無観客」で行うことが前提となると思われます。「従来のオリンピックでもテレビでリアルタイムで見れ、リモートは無縁ではないか?」とも言われるでしょう。

しかし私は、AR(拡張現実)といった分野を用いてリモートは進化していくと考えています。

「人は、なぜ観客になるのでしょうか?」の問いに対して、「臨場感を味わいたい」「一緒に声を出して応援したい」などが多数を占めると考えます。

後者の「一緒に声を出して応援したい」は、ソーシャルディスタンスの関係上現実的に難しいことは目に見えています。

しかし、「臨場感を味わう」ことはARによって満たすことができるでしょう。ここで使われる技術こそ5Gです。超高速かつ低遅延の性質を持つ5GとARを活用することで、特定選手の動きにフォーカスできたり、自分が選手の目線で見ることができたりするようになるでしょう。

この技術がおそらく、オリンピックまでに完成とはいかないまでも実施されるのではないでしょうか。また、ここで4K・8Kなどの映像技術も相関的に成長すると思われます。

また、コロナが終息し従来通りのオリンピックとなると、AI活用の多言語翻訳機器や海外では現金よりも主流になっているキャッシュレスがさらなる加速を見せることになるでしょう。

キャッシュレスが進むとどうなるでしょうか?

「ATMが入らなくなる時代に入る」「貨幣の交換をしないため感染症防止対策となる」「時間的・人材的コスト削減(レジの並ぶ時間、レジ閉めの時間[副次的に人件費]の軽減)」といったメリットが大きいことが挙げられます。

オリンピック開催は、多くのメリットがあるキャッシュレスを促進する良い機会になるでしょう。

日本政府が見る将来像

さて、皆さんは今後どのような世界を望みますか?

日本政府の未来像を見る前に鍵となる言葉として「サイバー空間(デジタル空間)」、「フィジカル空間(リアル空間)」、「ミラーワールド(CPS:サイバー・フィジカル・システム)」が挙げられます。

これらは下記で説明していますので参照程度にご覧ください。

今後世界の動向として、5Gの生活の浸透とともに、AIやIoTの社会実装が進むことによって、サイバー空間とフィジカル空間が一体化したCPSが実現し、膨大なデータを最大限活用したデータ主導型の「超スマート社会」に移行していくことは間違いありません。

実際にアメリカではGAFA、中国ではBATHを筆頭に「スマートシティ」の現実化が見えてきています。中国の深圳市では自動運転かつ電気自動車の公共バスが走り、警察の代わりにドローンが交通規制(信号無視やスピード違反、シートベルト着用)を監視しています。

このように「スマートシティ」は、身近に迫りつつあります。

日本政府は、2030年代に期待される社会像として次の図を示しています。

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Inclusiveな社会

距離の制約からの解放と身体的制約からの解放

リモートオフィスやバーチャル空間でもARやVRで臨場感溢れる娯楽等が楽しめる

アバターの活用によって障がい者が働けることや出張の不要、遠隔地域でも仕事ができる

能力の拡張

同時翻訳によって、言語に縛られないことや生体電気信号を感知して歩行支援を行うパワードスーツによって身体能力や認知能力の拡張を行う。

個の能力の最大化

オンラインによる個の能力や嗜好に合わせたカリキュラムを提供、受講履歴や仕事の成績がデータとして蓄積され評価される情報時代の到来。

Sustainableな社会

業務の省略化と共助によるコミュニティの維持

AIやRPA[Robotic Process Automation:ロボット化による自動化]を駆使して可能なものから自動化を進めていく。AIで災害や事故を予測しアラートを上げることで未然帽子や被害の最小限を図る。

市民同士の助け合いや行政だけではカバーできない範囲における共助を促すため、情報共有と王の仕組みの構築

②社会インフラの自動制御による最適化

AIやIoTの活用によって、交通渋滞のない道路、無駄のない効率的な物流、エネルギーの最適化等を実現する。

③パーソナライズされたサービスの提供

個人の健康データに基づく予防医療など、蓄積されたデータ位基づき最適化されたパーソナライズされたサービスを提供する。

Dependableな社会

①信頼性の高い情報の保存及び開示

行政機関等が保有する公共性の高いデータは活用しやすい形でオープン化されることで、市民が多角的な角度から分析・検証することができる。また、セキュリティやプライバシーの確保は量子コンピュータやブロックチェーンによって保存される。

②災害に強い街づくり

防災に備えるための必要な情報が詳細な地域単位で開示される。VRやARの活用により、災害発症時の詳細なシミュレーションを提供をすることによって、住民の防災意識を醸成する。

データ活用によって被害状況を迅速かつ正確に把握することによって、土砂等によって封鎖された場所でもロボットやドローンを活用した救助活動によって生命を保護できる。

日本が目指す「スマートシティ」に対する課題点

日本には、GAFAやBATHのような巨大IT企業が存在しないことが課題として挙げられる。しかし、ITベンチャー企業の起業数は近年増加傾向にあり、破壊的イノベーションの創出が期待される。ITベンチャー企業に対する資金援助や大企業が買収することによる「スマートシティ」に向けた根本的な準備が必要不可欠になるだろう。

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