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「概念化」は正解のない問題を解くために欠かせない手法だ

【ポイント】

  • ものごとを概念的にとらえ本質を見抜くスキルのことを「概念化力」と呼ぶ。

  • ビジネスは「正解のない問題」だらけなのに、多くの人は「正解のない問題」と「正解のある問題」の違いを意識していない。

  • 「正解のない問題」は効果的な解法が示されていないので、合意形成には工夫が必要。


このブログでは、ものごとを概念的にとらえ本質を見抜くスキルのことを「概念化力」と呼びます。では、概念化力とは何の役に立つのでしょうか。

結論から言えば、概念化力は「正解のない問題」を解く上で有効です。

みなさんが学校で勉強してきたことの大半は「正解のある問題」が対象でした。解法が与えられ、それに沿って問題を解くわけです。導き出された答えが正解か否かの判定も簡単でした。若手社員のころに上司に指示されてやってきた仕事の多くも、正解のある問題でした。

ところが、責任ある地位に就くと、正解のない問題を解く場面が増えます。

  • 事業計画の立案

  • 事業戦略の見直し

  • 構造改革

  • 商品企画

  • 顧客への価値提案

  • 協業活動の推進

  • プロジェクトマネジメント

これらはどれも正解のない問題、難題ばかりです。
ではなぜ、正解のない問題を解くのが難しいのでしょうか。
正解のある問題を解きやすかった理由の裏返しに過ぎませんが、次の2つを挙げておきましょう。

  • 効果的な解法が示されていない

  • 導き出した解答が正解であることを証明できない

効果的な解法が示されていないということは、解法から自分で考えなければなりません。導き出した解答が正解であることを証明できないということは、ほかの人たちとの合意形成に工夫が必要ということです。

つまり、解法を導き出すスキルや合意形成するスキルが身に付いてなければ、正解のない問題を解くことはできないということです。

概念化力は、解法を導き出すスキルと合意形成するスキルというふうに言い換えることができます。

このような説明が通用するのは、問題を「正解のない問題」と「正解のある問題」に区別しているからです。ところが、多くの人は「正解のない問題」と「正解のある問題」の違いを意識していません。だから、概念化力の存在にも、その重要性にも、気が付いていません。

このブログを通じて、正解のない問題を解くために概念化力が役立つことを実感していただければと思います。今後は、徐々にではありますがそのあたりを紐解いていきます。

例を挙げて、理解を深めていただくことにしましょう。
それは、ある事業体の管理者との議論を終え、別れる間際のことでした。

 「今日話した内容を次回までに図表にまとめてきてください」
A氏  「えっ、何をまとめるのですか」
 「市場にどんなセグメントがあって、それぞれがどのような満たされない要求を持っているのかを今日は議論しました。この内容を整理すれば市場を俯瞰することができます。次回はこの全体像をもとに、ターゲットセグメントについて議論しましょう」
A氏  「どのようにまとめればいいですか。枠組みなりを教えてください」
 「いや、それを考えてほしいのです。枠組みを考えているうちに、検討すべきことや抜けが浮かび上がってくるはずです」
A氏  「枠組みくらいは教えてもらわないと私は作成できません」

正直なところ、このときの反応には私もびっくりしました。
A氏は若くして管理職となったばかりでした。話をしていると、頭の回転の速さが印象的でした。担当者として周囲に評価されていたことは間違いありません。

彼にお願いしたのは市場環境の概念化でした。彼は、準備された枠組みに内容を埋めることはできても、頭の中を概念的に整理することは苦手だったのでしょう。正解のない問題を解く術を持ち合わせていませんでした。それ以前に、正解のある問題と正解のない問題の区別を彼はできていませんでした。その証に、悪びれた様子は彼のどこにも見当たりませんでした。

A氏の探求心を期待して、私は正解のない問題の存在と特徴を彼に説明しました。A氏は「承知しました。まとめてみますので、次回に意見をください」と言って難題を持ち帰りました。
1週間後、私は彼の探求心の賜物を目にしました。その後の議論では、彼が試行錯誤した確かな足跡をうかがい知ることがでたのです。


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