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静かな国に住むというのは

この国は、なんて優しくて繊細なんだろう。

久しぶりに帰ってきたら、ありありとそれが際立ってみえてきた。

新緑の香りが濃くて、濃くて、
くらくらしそうだ。

人々が、小さな狭い場所を、分け合って生活している。

まるでテレパシーみたいに、無意識に周りを読んで、上手に、丁寧に、身をこなしている。

今、駅百選には選ばれる古い駅のホームに立っている。
平日なのにすごい人だ。
ホームは、狭くてこわいし。

ぶつからないように、列が乱れて広がらないように。
たくさんの乗客がホームに規則的に入ってくる電車に吸い込まれていく。
たしか、こういうの、運動会であったよね。
マスゲームだったかな。

皆んな、電車に乗る練習でもしているのか?
外国人ならばそう思うかもしれない。
かなりの人数なのに、みんな、決まった方向に決まった速度で動いていく。

そして静かだ。
みんな、喋っているのに。
なんでだろう、街が、雨が、話し声を吸ってしまっているようだ。

以前、日本で一緒に働いていた外国人が言っていた。

日本はすごいね!
こんなに人がいるのに静かだね。

その気持ちがよく分かるよ。
本当に、不思議なくらい、静かなんだ。

もしかしたら、この国は、ある意味でちょっと、特別なんじゃないか

なんて思ってしまった。
他の国をそんなに知らないけど。

土地がシュウッと、いろいろ吸っていく気がしてならない。

独り言だけど。
この感覚を忘れないうちに、メモをしておこう

5/16 雨




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