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50話-七帝柔道体験記 後編

そして話は戻るが世界大会が終わった後、アマゾンさんから連絡が来た。

名古屋で今名大戦と言うものをやっていて、15対15の柔術家対七帝柔道と言う組み合わせの七帝柔道ルールだった。

私は何かと高専柔道とは縁があったのでこれも何かの縁だと思いその団体戦のメンバーを引き受けた。

場所は名古屋大学柔道場。

柔術チームには、
アマゾンさん
シュレックさん
タクミさん
世羅さん
大輔さん
マサキさん
細川さん
宮地さん
岡本さん
小澤さん
伊東さん
神田さん
新美さん
生田さん
とオールスターが揃っていた。

私は三番手を任された。

相手は伊丹さんと言う選手で東海大の柔道部のスケットで呼ばれた方だった。

ハーフで何度か返して最後バックチョークの形になったが時間切れ。

引き分けに終わった。

七帝チームもかなり善戦したが最後はアマゾンさんを残し柔術チームが勝利した。

その後、一人の七帝の選手が「僕と足抜き勝負してもらえませんか?」と挑んで来た。

爆発した頭で私と似た体型の男は阪大の刺繍を胸につけていた。

添田航平と名乗った。

私は彼を知っていた。

阪大の足抜き名人だ。

彼はどちらの盾と矛が強いか試したいと言った。

私は良いよと一言返した。

足抜き勝負はハーフガードからスタートし足を抜くか、ひっくり返した方の勝ち。

時間制限も無かったので3本勝負にした。






ハーフガードで足組を組んだ。

添田さんの構えを見て「何か得意型があるな」と思った。

するといきなり対角に被さってきた。脇を締める力が強い。

すると添田さんは腹にクロスで隠した手を潜り込ませて来た。

私はヤバイと思い、咄嗟に距離を取った。

すると一瞬足を抜かれた。

私はエビでついていき腹這いになりハーフに戻した。

すぐ胸と胸を合わせブリッジしてスイープした。

添田さんがクソ〜ッと唸った。

初めて見る型だった。

岡本さんが使う一番絞りと言う名の脇締めに似てるなと思った。

ただ締めではない。

組み手を作ったら足を捨ててくる感じだ。

何となく予想し、私は対策を立てた。

2本目は対角に被さってくる型を利用して右手を作られる前にディープハーフに入った。

そこからラペラを繋いでスイープ。

段々分かってきた。

添田さんの技は作りに少し時間がいる。

3本目は作られた。しかし持っているところが前帯で甘かった。

この方向には弱いだろうと思いフェイント入れてブリッジで返した。



添田さんは悔しがった後、「あんな返され方したことないです!」と良い無邪気に様々な質問をしてきた。

気持ちの良い人だと私は思った。

そして技術交流。

あの技は「犬神家パス」と言うらしい。

あの型を作った後は足を捨てて三点倒立のようになるからそう言う名前らしい。

私はやはり七帝柔道は面白いと思った。

この添田さんは後2018年に柔術の全日本選手権の黒帯で優勝するほどの実力者になった。

私はやはり創意工夫する力がある人はどこにいてもどんな環境でも強くなれると知った。

その後CARPE DIEMに東北大の伊東さんが入会した。

まだまだ高専柔道は私を楽しませてくれる。

素晴らしい組み技競技だ。

いつか今流行っているQUINTETに七帝チームが来る事を密かに願っている。

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