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【感想】キングオブコント2021(オープニング映像と新審査員と平場の話)

キングオブコント史上でも屈指の良い大会。
今風の表現ならそれこそ神回というやつか(もう古い?)
ちょっとM-1の出来次第では「今年はキングオブコントの方が面白かった」となっても全然おかしくないレベルだと思う。

前置き

この記事をわざわざ読んでくださっている奇特なあなたはきっとお笑いが好きなのだと思うので、最初に僕のスタンス的なものを。
僕もお笑いはそれなりに好きだと自負しているが(あくまで「それなりに」ですが)好きな芸人はいない
よってキングオブコントで誰に優勝してほしいという願望も一切ない。
これは他の賞レースでも同様である。
あくまで1つのバラエティ番組として楽しんでいる。

そんな自分の一番の楽しみは審査。
といっても自分でテレビを見ながら採点するわけではない。

どの審査員がどんな軸で誰をどう評価するか?を見られるショーとして楽しんでいる。
生放送のリアルタイムで各審査員の点数が開示されるというのは時間をかけた厳正公平な審査よりショーとしての面白さを優先した作りだと思っているので、自分もそれに乗っかっているというわけである。
なので審査員が刷新されるという今年は結構楽しみにしていた。

オープニング映像

さて、そんなこんなで審査員の刷新に注目していた今大会だが、実は審査員だけでなくオープニング映像の監督も交代している。
例年の佐藤大輔演出×立木文彦ナレーションというPRIDEからRIZINまで脈々と受け継がれる格闘技煽りV風のテイストも好きだったが、今年は『愛がなんだ』や『街の上で』などの映画で知られる今泉力哉監督が担当。

ニュースで知った時は大変驚いたのだが、その後冷静になりいざ当日を迎えてみると意外と適任な人選なのではないかという気がしてきた。

で、期待通りオープニング映像とても良かったのだけど、

あの尺では今泉監督っぽさは薄かった気はするw
(上のツイートだと若干ディスってる感ありますが、僕は映画・ドラマだと編集テンポが速い方が好みなので全然好きでした)

まぁご本人もこうおっしゃっているので。

僕は長い時間で“尺”を使って表情や空気を伝えることを得意としているので、短い“尺”で自分の色を出すのは難しかったです。出たのかな(笑)。

出典:https://natalie.mu/eiga/news/446584

審査員

当日数時間かけて発表された今年の審査員は
・かまいたち山内
・ロバート秋山
・バイきんぐ小峠
・東京03飯塚
・松本人志
の5名。
ネームバリューは文句なし。

かまいたち山内が

今年の初めにオファー頂いて、

と言っていたのでかなり前から動いていたようだ。
そう考えると6月放送の『キングオブコントの会』でみんなで楽しくコントやってた映像がまた違った味わいを持ってくる面もw

審査員に求められるのは
1. 点数を乱高下させすぎず、でも適切な差は付けること
2. コメントを振られた際に言語化して説明できること
昨年までの審査員だとさまぁ〜ず三村やバナナマン日村はこの辺りが苦手そうな印象があった。
ただし、これは三村や日村がコント師・芸人として優秀でないという意味では全くない。
芸人の資質と審査員の資質は全く異なる。
僕は学生時代にESSに所属していて、英語ディベートという競技をやっていたのだが、やはりプレイヤーとして強いかどうかとOBになってから審査員(ジャッジ)に向いているかどうかは全然別物だった。
その点、新審査員はこの言語化スキルが全員とても安定していて本当に良かった。

個人的に印象的だったのは小峠のコメント。

ボケ台詞を特に言ってないんですよね。なのにあれだけ笑いをかっさらうのはすごい技術だなと思って。
(ニッポンの社長の1stステージに対して)
あの入口で下ネタじゃないっていうのがすごいなと思って。
(空気階段の1stステージに対して)

これ以外にも「このネタは何がすごいのか?」を視聴者に伝えるコメントをしていたと思う。

点数を並べてみる。
(ところでnoteって表のマクロとかってないんですかね?)

        |山 |秋|小|飯|松|
蛙亭      |93|90|93|93|92|
ジェラードン  |90|96|92|91|93|
男性ブランコ  |96|96|94|95|91|
うるとらブギーズ|90|93|93|94|90|
ニッポンの社長 |95|95|94|90|89|
そいつどいつ  |92|89|91|89|95|
ニューヨーク  |91|90|90|92|90|
ザ・マミィ   |96|96|95|93|96|
空気階段    |98|97|97|97|97|
マヂカルラブリー|92|91|89|89|94|

投稿時刻が20:04ということはニッポンの社長の点数が出た後にツイートしてるけどこの印象は今も変わらず。
小峠やっぱり掴めないな。
山内にも秋山にも飯塚にも近いように見えてくるw
バランス型って感じなのかな?
(これは僕が勝手に審査傾向を掴もうとして掴めないというだけで、小峠の採点がダメだとかそういう意味では全くないです。念のため)

色んな傾向の審査員が混ざっているのも素晴らしい。
全員が同傾向なら複数人の審査員を置く意味が無いので。

平場

オープニングで今年は良いメンツが揃ったと松ちゃん。

浜ちゃん「最終的に同点とかなる可能性もありますから。そうなったらジャッジして頂かないと。あなた審査委員長ですから」
松ちゃん「どうしたの?情緒がもうアレやで?」
浜ちゃん「審査員長ですから!」
松ちゃん「漢方飲みなさい」
浜ちゃん「漢方飲んだら治るんですか?」w
松ちゃん「情緒の方を認めるな」w

3時間後に一瞬的中しかけた予言w
あとあの一瞬で浜ちゃんの返しのズレを逃さない松ちゃんさすが。

点数出た後のやり取りはニューヨーク屋敷が出色。

松本さんが「みんな笑うな」って言ったからや!
あれは不正行為です!
トップバッターからのやり直しを申請します。

ボケとツッコミが明確なネタだったので漫才でも出来たのではないかとコメントする松ちゃん。

屋敷「じゃあM-1でこのネタやるんで高得点つけてくださいよ?」www

最後に、今年の中継担当はバイきんぐ西村とかまいたち濱家。
ファイナルステージの空気階段のネタ前に時間を繋ぐ2人。

濱家「西村さんどうですか今大会?」
西村「いや〜本当に世紀の一戦というかね。歴史に残る戦いじゃないでしょうか」www

一斉にツッコまれる西村。

濱家「西村さんの、上がったのかステイなのか順位変わるのかって予想98%ぐらい当たってますんで今」
西村「驚異の的中率です」
濱家「来年は審査員の席どうでしょうか?」
浜ちゃん「松本さんどうですか?」
松ちゃん「もう笑うしかないですね」w

審査員適正とはまた別のスキルを発揮する西村w

おまけ

そういえば今年はコントに強い追い風が吹いてましたね。

2021年4月クール、金子茂樹脚本の傑作ドラマ。

あとこれはM-1決勝のタイミングで紹介しようと思っていたのだけど、冒頭に書いたように今年はキングオブコントがもしかしたらもしかして年間ベスト賞レースになる可能性もあるので浜口倫太郎の小説『ワラグル』もここで出してしまおう。

お笑い好きなら間違いなく楽しめる小説。
ちなみに、もし本作の叙述トリックが面白いと感じた人には下村敦史の『ヴィクトリアン・ホテル』もオススメです。

以上、おまけ情報でした。

この記事の〆はTVerのリンクでも貼っておきましょう。

キングオブコントが放送直後からTVerで無料配信されるなんて良い時代になったもんです。

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