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ワークテラス佐久に「コワーキングエリア」をつくってみた。

僕は、佐久市の施設であるワークテラス佐久(コワーキングスペース&サテライトオフィス)の運営もしているわけですが、この8月に「コワーキングエリア」という新しい部屋を作ってみました。理由は、仕事中でも、より気軽に雑談や相談が、あわよくばその場でプレゼンが始まったりしてワイガヤで何かが生まれるきっかけとなる場を作りたかったからです。

「え?働く場なのに、それじゃ集中できないじゃん!」と思う方のほうがたぶん多いんじゃないと思いますが、コワーキングってそもそも集中して仕事する場じゃないと僕は思っています。

コワーキングスペースが全国に急激に増え、さらには新型コロナのおかげで、良くも悪くもテレワークが一気に広がったため、「コワーキング」という言葉が独り歩きしている感があるので、

改めてコワーキングってそもそもどんな場なのか?
そして、なぜ今回ワークテラス佐久にコワーキングエリアをつくったのか?どんなことを実現していきたいのか?

などをつづってみたいと思います。

◆そもそもコワーキングって何?

日本で最初にコワーキングを名乗って場をつくった、神戸カフーツ伊藤富雄さんが代表理事を務めるコワーキング協同組合によれば、

コワーキングとは

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であり、さらには

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コワーキングには上記のような5大価値があると定義されています。

コワーキングを使ったことのある人ならイメージしてもらえると思いますが、コワーキングにはいろんな人が出入りして各自仕事をしています。その場でたまたま居合わせた人が会話をすることでつながり、当然趣味や仕事の話にもなるだろうから、そこでお互いの知見や経験を共有(シェア)することもあるはずです。さらに、お互いの特技をコラボさせてプロジェクトや事業が立ち上がることもあり、そうやって人が交流することで一つのコミュニティとしても機能していきます。そして、コラボした事業等が地域にとっても意味があり継続できるようなものになっていったら、そこには継続性が生まれます。

つまり、机やいす・Wi-Fiなどを共有してPC持ち込んで仕事だけする場、もしかしたら世間一般にはこの意味のほうが「コワーキングスペース」として浸透してしまっているかもしれませんが、このような場はコワーキングではないのです。

また、コワーキングはcoとworkingを合わせた造語で「coworking」と書きますが、たまに「co-working」というようにハイフン(‐)が入った表記を見ます。実はこれ全然意味が違います。そんな細かいことどうでもいいじゃない、と思う人はたくさんいると思いますが、coworkingという言葉には上述したような意味が込められているわけで、少なくとも「コワーキング」を掲げて場を運営するならば、言葉がうまれた意味に敬意をもってかかわるべきだと思っています。

このハイフンについては、東京初、日本ではほぼ同時に2番目にコワーキングを開いたPAX Coworkingの佐谷恭さんが熱く綴っていますので、こちらをご参照ください。コワーキングに関わる人は、ぜひご一読を。

ということで、コワーキングはただ単に仕事をする環境を共有するだけの場ではありません。僕自身5年前から佐久地域でコワーキングを運営しているわけですが、僕自身が仕事で納期に追われているときは、正直コワーキングいきません。もちろん日常はコワーキングにいって仕事をしていますが、そこでの出会いや雑談などの交流の方を大事にしています。その方が自分の人生にとってプラスであり、楽しいからです。

◆ワークテラス佐久はどんな施設?実はオープン当初は全然コワーキングにならなかった。

さて、そんな僕が昨年2020年4月にオープンした佐久市のコワーキングである「ワークテラス佐久」の運営をすることになったわけですが、どんな施設かというと、

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外観

オープンラウンジ

スタンディングデスク(オープンラウンジ)

ボックス席(オープンラウンジ)

ワークスペース(オープンラウンジ)

めちゃくちゃ広くて、ゆったりと場を使える贅沢なスペースなんです。コワーキングあるあるですが、机ひとつに対していくつか椅子を設置していますが、結局ソーシャルディスタンスといえばいいでしょうか、1人で1つの机を使ってしまいます。ですので、利用者同士の距離がとにかく遠くなってしまうんですよね。となると、日常的な雑談がなかなか起きないのです。それどころか、打ち合わせの会話がうるさいから集中できない、集中できる部屋を作ってほしいというニーズが出てきて、個人的には大変無念ではありましたが、市の施設ということもあり、一部屋つぶして「集中スペース」なんて部屋をつくったりもしました。


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もともと、5年前に僕が民間で始めたコワーキングはこんな感じの場でした。写真でわかるように、一人一人の距離が近く、雑談から多くのコトが起きていました。やはりこれがコワーキングの醍醐味なのです。その経験があったので、ワークテラスでも交流やコラボはきっと起こるだろうと思っていたわけですが・・・場の設計というのも非常に大事なんだと痛感し、ここ1年半位試行錯誤してきました。

で、場で人が自然とつながる仕掛けもいろいろとやってみました。

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会員さんの紹介カードを作って、座っている席に掲示してもらったり、

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カフェエリアを充実させたり、会員さんが来やすい場所に設置しなおしてみたり、

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本の感想で人をつなぐ「街ライブラリー」をやってみたり、

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庭に畑を作って、野菜フリーにしてみたり、

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メンバーにも協力してもらって、写真で人をつなぐギャラリーをつくったりしてみたわけですが、、、

んーーー、なかなか日常的に雑談が起こる状況ってのには、なかなかつながらないなーと、思ってました。

もちろん、会員さん同士を、スタッフがつないだりなどは、当たり前のようにやってます。でも、なんか、僕が理想としているコワーキングとは違ったわけです。

◆いつでも雑談&プレゼン可の「コワーキングエリア」を作ってみた

ということで、もう、THEコワーキングな場をつくろうということで、作っちゃいました。8月3日正式オープンしました。

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部屋の感じはこんな感じ。席の距離は近く、雑談が自然に起きやすい環境にしています。こちらは、コワーキングエリア初日の写真。これもコワーキングあるあるですが、初日は見事に「孤ワーキング」でした。

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また、コワーキングエリアには、こんな「トリセツ」を設定しました。

☑はじめましての人が座っていたら、ぜひ話しかけて自分の活動やお互いの活動を語り合ってください。きっと楽しい仲間ができるはずです。
☑生産性より創造性を優先します。できるだけ通常業務は39%以下にし、「余白」をスケジュールにたくさん入れてから利用することをお勧めします。なお、余白に加えて「今自分のやりたいこと」を意識して利用すると創造性がより発揮されます。
☑もちろん自分の仕事していただいてOKです。でも、耳だけはエリア内で行われている雑談に意識を向けていてください。あなたをワクワクさせる情報が入ってくるはずです。その時は思い切って手を止めて雑談に入ることをお勧めします。
☑このエリアでひらめいたアイデアはすぐに実行すると、きっと良いことがあります。できることなら、退室する前にイベントを立てるなり、アポを取るなり小さな行動を起こすことをお勧めします。
☑「あー話しすぎて仕事全然すすまなかった」と思っても後悔しないことです。進まなかった仕事以上に価値のある「何か」を手に入れたはずです。
☑自由に雑談やプレゼンをしてOKなエリアですが、相手の状況を考えない一方的な行動はしないでください。

通常業務はなるべく39%以下にして、こちらで起こる出会いや雑談からの創造性を大切にしてもらえるようにお願いしました。

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あと、雑談の中からその場で具体化できるようにと、ビジネスモデルキャンバスなどのツールも常設しました。

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プロジェクタ―も常設しているので、コワーキングエリアで仕事をしている人の許可をとれば、その場でプレゼンも可にしました。こちらの写真はこちらのスペースのこけら落とし的にやったイベントの様子です。それぞれ自分の活動などをプレゼンしてもらい、集まったみんなで意見交換しました。

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また、これは僕の原点でもあるのですが、自分のやりたいことを実現するために行動する人がその地域に多ければ多いほど、その地域は活性化すると思っています。そういった意味でも、自分の内なる声から「これやりたい!」をプレゼンしてもらって、みんなで実現を応援しあえる場を作っていきたいと思います。自分の内なる声から湧き出てくる「Myプロジェクト」と、地域課題などを解決する「Ourプロジェクト」の二つの区分でとりあえず進めていこうと思っています。

ちなみにこのイベント名は「3939(サクサク)カクサク」。記念すべき第1回は10月6日(水)、初回なのでメンバー限定で実施したいと思います。こちらの企画もメンバーの皆さんに意見いただきながら、コトが起こり続ける場にできればと思っています。

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◆改めてワークテラス佐久の良いところ

ということで、今回はワークテラス佐久に「コワーキングエリア」を設置し、さまざまな交流が生まれ自分にとっても社会にとっても良いコトが起こるような企画も改めて打ち始めました。何かやりたいことがある人は是非ワークテラス佐久に来てもらえると嬉しいです。

そして、改めて、この施設の広さが良い意味で「すみ分け」できることは、良いことだと思っています。集中したいときは、集中スペースに。ウェブ会議したいときは、オープンラウンジや会議室で。コワーキングしたいときは「コワーキングエリア」へ。

今後も、多様な人がそれぞれの個性を発揮し、コトが起こる場を作っていきたいと思います。

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