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2021-22シーズン展望 -富山は昨シーズンを超えられるのか?-

2020-21シーズン。
富山は球団最高勝率の39勝を記録し、CSでも初勝利を挙げる飛躍のシーズンとなった。

しかし、フルメンバーならば来年こそはと期待が高まっていた矢先、オフにチームを牽引していた若手三銃士の松脇・岡田・前田選手が移籍してしまった。

今回のオフで最もインパクトがあったのはここだろう。

その後は晴山・松井・小野選手と補強をしたが、昨シーズンより戦力ダウンしたと見る人が多いのではないかと思う。

しかし、実は意外とそうでもない。

彼らと入れ替わりで加入した選手達とのケミストリーを紐解くと、2021-22シーズンの富山は案外昨シーズン以上に強くなるかもしれないのだ。

今回の記事では最初に若手三銃士が抜けたことによる不安要素を説明し、それでも富山が昨シーズン以上に強くなる可能性について解説していきたい。

※この記事はドワイト・ラモス選手の契約発表前の記事です


1、若手三銃士が抜けた不安要素

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マルチプレイヤーだった若手三銃士

昨シーズン、若手三銃士が担っていた役割は多い。

岡田選手はスコアラーだが、PGも兼任できる。
さらにシュータークラスにスリーも入り、クラッチタイムではマブンガと同等の存在感を見せた。

前田選手、松脇選手はシューターだがディフェンダーでもある。
そのディフェンスも日本人選手だけでなく、スイッチした際の外国籍インサイドもある程度単独で守ることができた。(特に松脇)

さらに言えば彼らは3&D選手という枠にも収まらない。
前田選手は2ポイントエリアの得点パターンをいくつか持っており、松脇選手はステップバックからのスリーやP&Rからのクリエイト、ボール運びも担うことができた。

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↑ 時にはジョーダンテイラー選手を吹き飛ばすほど頑丈だった松脇選手

彼らは総じて役割の潰しが効く「マルチプレイヤー」だった。

外国籍選手の合流の遅れや怪我人などDNPが多かった昨シーズンの富山にとって、彼らがボール運び、スリー、クリエイト、速攻、DF、リバウンドと様々な仕事をこなしてくれたことは大きかった。
(松脇、前田に関しては60試合すべてに出場)

東地区で39勝を挙げることができたのは彼らの貢献が大きい。

戦力ダウンした要素

そして、彼らが抜けたあと。
富山は松井啓十郎、晴山ケビン、小野龍猛との契約を発表した。

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ソロモン選手はブライスジョンソン選手と、橋本選手は小野選手と入れ替わりで戦力維持という見方をした場合。
若手三銃士が抜け、替わりに入ったのは晴山選手と松井選手という見方になる。
シュート力に関しては申し分ない。どころか、見方によってはスケールアップしたと言えるかもしれない。

しかし、スケールダウンした要素がある。
それは自らズレを作る能力。つまり、クリエイト能力だ。

P&Rのハンドラーや1on1でDFとのズレを作る起点になり、味方のシュートをクリエイトする。そして時には自ら点を取る力。

これを持った選手が減ったことは間違いない。

仮にズレのきっかけがセットプレーによるオフボールスクリーンなど、個の能力に頼らない形で生まれるなら問題ない。

しかし、常にオフェンスがそう上手くいくわけではない。
セットオフェンスを先読みされたり、誰かが間違えたりしてボールが止まることは往々にしてある。

昨シーズンならば、ボールが止まった状況でも若手三銃士を含めた理不尽なオフェンダー達がタフショットを決めてしのぐことができた。

しかし、今シーズンのロスターではそういったゴリ押しは現実的ではない。

そうなればそういった状況のボールの所有率は宇都とマブンガに偏ることになる。
つまり彼らがボール運びからクリエイトやシュートまでを1人で担うことが続く時、それは富山が上手く行っていないことを表す。

さらに今シーズンは昨シーズンによく見られたマブンガ選手のアイソ連発や長時間労働をどうしても避けたい理由があるのだ。


シーズン終盤の
日程と最悪のケース

下記の日程を見てほしい。

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シーズン終盤、3月から4月にかけて過密日程が待っているのだ。
もしもこの時期にマブンガ選手の個人技に偏ることが多かったならば。
昨シーズンのように彼の膝の状態が悪化し、多くの試合を欠場することになる。

そうなればアウトサイドの攻撃の起点は宇都に偏る。
ズレができた状態からスコアできる選手はたくさんいるが、そのズレを作るスタート地点が宇都に限定されているならばディフェンスはしやすい。

若手三銃士はもういないのだから。

パスが上手く回らないとなれば、スミスの攻撃力も生かせない。
そうなれば最悪の場合は17-18シーズンのドリュー・ヴァイニー離脱後の富山のようにもなりかねない。(※)

※2017-18シーズンの富山を知らない方のために

富山は12月まで17勝15敗で中地区2位でCS圏内だった。
しかし宇都と共にゲームメイクとクリエイトの役目を分け合っていたドリュー・ヴァイニーが2月に契約解除。
元々ロールプレーヤーやシューターが多かったロスターだったこともあり、他チームからのスカウティングも相まってマークが宇都に集中。
残りの試合を7勝21敗と失速し、中地区5位で残留プレーオフへと進むことになった。


2、富山は昨シーズン以上に強くなる?

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若手三銃士が抜けたメリット

ここまでは若手三銃士が抜けたことのネガティブな面について説明した。

しかし、物事には見方を変えれば悪い部分だけでなく良い部分もあるもの。
実はこれにも目先を変えればメリットがあるのだ。

それは

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