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【マンチェスター・ユナイテッド】グレイザー・ファミリーが嫌われる理由【ウッドワード込み】

こんにちはMasaユナイテッドです。

今回のテーマはマンチェスター・ユナイテッドの悪名高きオーナー【グレイザー・ファミリー】です。

「グレイザー一族って、何が悪いのか良く知らないけど、ユナイテッド低迷の根源なんでしょう?」

っていうユナイテッド・ファンやサッカー愛好家の方々も結構いると思います。そういう私も、「お金」や「ビジネス」に疎いので、そこまでグレイザー・ファミリーに関心を寄せてきませんでしたし、ピッチ上で行われるフットボールとは、1枚壁があるような感覚で見ていました。

そこで、自分自身の勉強の為と、

「グレイザー一族ってなんで嫌われてるの?」

という疑問に答えるためにコラムを書いてみます。

【グレイザー・ファミリーが嫌われる理由】

それを一言で言うと

【クラブの成績より、利益を優先】している為です

5つの項目で見ていきます。

①タンパベイ・バッカニアーズの経営

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写真:マルコム・グレイザー

グレイザー一族が嫌われる理由の1つ目は【タンパベイ・バッカニアーズの経営手口が悪どい】からです。

これに関しては、直接マンチェスター・ユナイテッドに関係している訳ではないのですが、マルコム・グレイザーの“経営理念”的なものを良く表しているので、取り上げます。

前情報として、タンパベイ・バッカニアーズというのは、アメリカのフロリダ州タンパを本拠地とするNFLのチームです。1995年に、オーナーの死去に伴い、全くアメリカン・フットボールにくわしくないマルコム・グレイザーが1億9200万ドル(当時のレートで約192億9000万円)で買収します。

そのマルコム・グレイザーは

✔ニューヨーク州ロチェスター生まれ
✔リトアニア系ユダヤ人の家庭
✔15歳で父親の時計販売業を継ぐ
✔時計販売業と不動産業で財をなす
✔ショッピングモールや老人ホームなどのビジネスも展開
✔経営は3人の息子であるジョエル、ブライアン、エドワードが担当
✔2014年5月28日に死去 86歳没

という人物です。

そのバッカニアーズの経営手口ですが、買収してすぐに、新スタジアム建設の必要性を訴えます。その建設費用の半分はグレイザー家が負担し、残り半分は市税で賄うように、行政に掛け合います。でなければ、スタジアムを他の市に移すという脅しつきで。

協議の結果「コミュニティー投資税」と呼ばれるものが採用されます。これは向こう30年間にわたって消費税のうちの0.5%を公共施設事業などの返済に充てようとするもので、これにより30年間で計上されるおよそ27億ドル(約3021億円)の市税から、新スタジアムの建設費をまかなえるようになります。もちろん、スタジアムでの売り上げは、全てグレイザー一家の懐に入ります。

このように、グレイザーは、巧妙な手口で私財をほとんど投じる事無く新スタジアムを手に入れます。現在のバッカニアーズの資産価値は9億8100万ドル(約1097億2000万円)と見積もられ、これは買収当時のおよそ5倍です。

そのやり口だけでも印象が良くないですが、その後、マンチェスター・ユナイテッドの買収によって、ほとんどバッカニアーズの経営に力を入れなくなっていき、地元ファンやマスコミの反感を買うことになります。

これがグレイザー一族が嫌われる根拠の1つ目です。

②ユナイテッドの買収手口

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写真:右からウッドワード、アブラム・グレイザー ジョエル・グレイザー

そして、嫌われる要因の2つ目は【マンチェスター・ユナイテッドの買収手口が悪どい】為です。

2003年から2005年にかけて、ひそかにユナイテッドの株を買い集めていたグレイザー一族ですが、最終的な買収方法は「レバレッジ・バイアウト」という手法です(買収額は7億9000万ポンド=当時のレートで約1580億円)。これは買収先を担保に資金を借り入れる方法です。

つまり、グレイザーは

ユナイテッド自体に借金を負わせ、ユナイテッドの売り上げでその借金を返済していく

というやり方で買収を実行しました。

リーグ優勝争いの常連にして負債なしという、模範的なビッグクラブだったユナイテッドが、オーナーの交代と同時に5億2500万ポンド(約650億円)ものローンという負債が生まれたのですから、地元ファンから非難されて当然です。溜まりに溜まった不満は、グレイザー家の経営に反対するサポーターの有志でFCユナイテッド・オブ・マンチェスター(現プレミアリーグ6部)というクラブを設立する事態にまで発展しました。

もともとはユナイテッド買収を画策していたところに、お家騒動で、ファーガソンと共同株主だった2人の人物が、所有していた株を売却し、そのチャンスを掴んだたけのグレイザーですが、ユナイテッドの買収に際しても、ほとんど自分たちの懐を傷めずに経営権を獲得しています。

この事がグレイザー一族が嫌われる2つ目の要因です。

③ウッドワードの移籍交渉

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写真:ユナイテッド公式より

オーナーとして、ユナイテッド・サポーターに反感を買っているクレイザー一族ですが、エド・ウッドワードも、しばしばその不満の矛先を向けられています。1月29日には、一部ファンが暴徒化し、ウッドワードの自宅を襲撃する事件も起きてしまいました。

10年以上CEOを務めたデイビッド・ギルが退き、2013年からユナイテッドの副社長と最高経営責任者を兼任しているエド・ウッドワードですが、もともと、アメリカのJPモルガン・チェース銀行での職務経験を持つ、やり手のビジネスマンでした。

ユナイテッドはSDを置かずに、ウッドワードが強化担当も兼ねるやり方をしています。フットボールの世界では、超のつくど素人で、移籍市場でのつたない動きは度々非難の対象になっています。

✔クロースの移籍に失敗
✔ポグバの買戻しに9540万£
✔無名に近いマルシャルに5400万£
✔思うように補強できずに、ファン・ハール、
モウリーニョにキレられる

など、失敗談を上げればきりがないですが、よく言われるのは、選手の市場価格以上の値段で、買わされることが多いという事です。素人なので、交渉相手のオーナーや、代理人などに足元を見られ、いいように扱われているという面があります。

その一方で、ゼネラル・モータースなど大口のスポンサー契約をまとめたり、アジア方面(ユナイテッドへの憧れが強い)の放映権料や、グッズ販売などで、毎年のように最高売り上げを更新しており、財務面での才能は評価に値します。

とはいえ、ファンやサポーターにしてみれば、純粋にクラブを強くするというよりは、クラブを商業的な面でしか見ていない印象を、グレイザーやウッドワードからは受けるのです。

これが、ユナイテッド首脳陣が嫌われる3つ目の理由です。

④ビジネスの成功と所有権の犯罪

グレイザー家とウッドワードは、先述したように、ビジネスの手腕を発揮し、売り上げを伸ばし、借金を返済し続けています。マルカ紙の18-19シーズンのクラブ別売上ランキングでは、バルサ、レアルに次ぐ3位が7億1150万ユーロ(約870億円)を売り上げたユナイテッドでした。2019年7月発表の、フォーブス紙によると、その資産価値は38億1000万ドル(約4140億円)で、グレイザーが買収した時の約2.6倍です。成績は下がっているにも関わらずです。

ビジネス面での成功という意味では、一定の評価ができるのも確かです。レバレッジ・バイアウトにしても、違法な手法ではありません。しかし、サポーターやファンの意見は違います。

2015年、『マンチェスター・ユナイテッド・サポーターズ・トラスト』という団体は次のような声明を発表しています。(2015年5月)

「私財を一銭も投ずることのない買収は、ほとんどのクラブでは『所有権の犯罪』と考えられる。しかもグレイザー一族はそれだけでは飽き足らず、マンチェスター・ユナイテッドから多額の金銭を貪っているのだ。レバレッジド・バイアウトによる借金の返済だけでなく、株主である自らへの報酬や、いまだにクラブが抱える借金を考慮すれば、その額はゆうに10億ポンドを超える。その額は今も増え続けている。古今東西のフットボール史において、これほどまでにクラブからカネをむしり取ったオーナーはいない」

これが、アンチ・グレイザーの代表的な意見であり、多くのユナイテッド・サポーターの思うところです。

⑤オーナー交代の可能性

2020年2月、こんな報道がありました。サウジアラビアの皇太子がユナイテッドの買収を画策しているというものです。サウジアラビアの皇太子ムハンマド・ビン・サルマンは、2018年から19年にかけても、ユナイテッドを買収しようとしているとの報道がありました。その時は、グレイザー家が交渉を拒否したようです。再熱ですね…。

グレイザー家の魔の手から、ユナイテッドを開放するには、オーナーの交代しかありません。しかし、金持ちならだれでも良いというわけでもないですね。このサウジアラビアの皇太子は、次期国王になりますが、そんな人物が、1サッカークラブを持つとどうなるんでしょう?メッシも、ネイマールも、アザールも、皆ユナイテッドの選手に...。いや、むしろバルサごと買ってしまうかもしれませんね(笑)。なんか、とても現実離れした話です。しかも、この皇太子には黒い噂もあり、正直どうかなと...。

これだけ、サッカークラブに資産価値が見いだされてしまった現代社会だと、そのクラブに、心底愛情を持つ金持ちがオーナーになるなんてことは、もうないのかもしれません。投資家たちの“おもちゃ”として扱われる運命なのかもしれません。

しかし、サッカークラブはオーナーの物であると同時に、サポーターの物でもあります。それは、どんなに時代が変わっても、変わらない真理だと私は思います。

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