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【19/20プレミアリーグ第9節】マンチェスター・ユナイテッドVSリヴァプール マッチレビュー

こんにちはMasaユナイテッドです。今節はリヴァプールとのナショナル・ダービーです。選手もサポーターも熱くなる一戦で、注目度も高いですが、クロップが来てからのリヴァプールの進歩は目覚ましいものがあり、ユナイテッドではもはや太刀打ちできないとも言われていました。15-16シーズンの途中で就任したクロップ監督は就任当初からチームが完成するのに4年は掛かると言っていました。計画的にチームを強化してきた事が実っているのが今のリヴァプールでしょう。ユナイテッドも見習うべき所が多々あると思います。今回の対戦はどうなったのか。ではいってみましょう!


前節のレビューはこちら

👿ラインナップ

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ユナイテッドは今シーズン初めて3バックを採用。3-4-1-2で試合に臨む。3バックの一角にはロホが入った。2トップはラッシュフォードとジェームズトップ下にペレイラという布陣。代表マッチウィークの2週間の間にワンビサカ、マルシャル、ジョーンズが復帰。しかしまだ、ポグバ、ショーは戻ってこられず。一方のレッズはサラーが離脱。3トップの一角にはオリギを起用。中盤はワイナルドゥムとヘンダーソンでミルナーはベンチから。それにしてもリバプールは、ほぼスタメン固定で運動量の多いフットボールを志向しながら、これだけ怪我人が少ないのは羨ましい限りだ(笑)。

【Substitutes】
ユナイテッド:ロメロ ウィリアムズ ジョーンズ  ガーナー マタ  グリーンウッド
リヴァプール:アドリアン ゴメス ロブレン  チェンバレン  ララーナ  ケイタ  ミルナー

👿前半~3-4-1-2システムの狙い~

開幕から8戦、頑なに使ってきた4-2-3-1を使わず、3-4-1-2のフォーメーションで、リヴァプールとの大一番に臨んだユナイテッド。開幕から8戦全勝と無敵状態のライバルチームに対して、最大級の警戒と対策を施して試合に入ったユナイテッドのゲームプランから見ていく。

ユナイテッドの3-4-1-2はリヴァプールの4-3-3に完全に噛み合う形。リヴァプールの攻撃の肝はアーノルドとロバートソン両SBの上がりであるが、これを抑え、無効化するためにWBを配置し、完全にマンマークで見ることを徹底したユナイテッド。レッズの3トップはナローに絞る事が多いが、この3トップに対してもユナイテッドの3CBがしっかり1対1で対応する。ユナイテッドのボール非保持時は5-3-2。前線からのプレスでボールリカヴァリーできないときは引いてブロックを組む形を選択していた。これが基本的なユナイテッドのディフェンス。

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ユナイテッドの攻撃プランは超シンプル。ボールを奪ったらできるだけ早く、高い位置を取るレッズの両SB裏のスペースへボールを送り、ラッシュフォードとジェームズの2トップを走らせ、レッズのCBと1対1の局面を作る事。CBを1枚外に吊り出し中を薄くし、センタリングでペレイラと逆サイドのFWに合わせる形で得点を狙った。このSB裏を突くやり方は90分間続けられるが、アーセナルがリヴァプール戦で見せた形と同じだと思う。オーバメヤンとペペがSB裏を突くことでチャンスを作り出していたが、アーセナルは中盤をダイヤモンドにした4-4-2だったので、逆にリヴァプールのSBの上がりに対してはケアできていなかった。ユナイテッドは5バックにすることでその問題を解決。特に前半はアーノルドとロバートソンに決定的な仕事をさせなかった。(前半のクロスはアーノルド3本、ロバートソン2本のみ)

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ラッシュフォードとジェームズはそれぞれ、ファン・ダイクとマティプとマッチアップする事が多かったが、2人は良くタスクをこなし、気合も入っていたのでグランド・デュエルで負けていなかった。(マティプに至ってはデュエルに1回しか勝っていない。)そして、ユナイテッドのトランジッションのキーマンだったのはペレイラだ。前プレのスイッチャーの役割をこなし、守備時にはファビーニョに付いてパスの出所の1つを抑え、攻撃時には吊り出されたレッズCBのスペースへ再三侵入していた。彼のベストゲームと言っても過言ではない程よく役割をこなしていたと思う。ワン=ビサカがロバートソンをひきつけ ラッシュフォードがファンダイクを外に引っ張り中央にペレイラが侵入する形が何度も見られた。

レッズのSBに対しては狙い通り抑えられていたが、12分マティプから落ちてきたフィリミーノに楔のパスが入る。この1プレーからリバプールは息を吹き返す。フィルミーノの落ちるプレーは定番だが、ユナイテッドはそこに対しての対応が曖昧に見えた。というより、特別意識していなかったという印象を受ける。マンマークで考えるとマグワイアが付いて行くことになるが、ゾーンで考えるとフレッジかマクトミネイが見ることになる。基本的にはフレッジが対応することが多かったが、これにはヘンダーソンのポジションが大いに関係している。15分過ぎからヘンダーソンが右のアウトレーンにポジションを取ることが多くなる。マネは中央気味に移動し、フィルミーノが1列落ちる旋回の動きで4-2-3-1気味に。ただずっとこの形を維持するわけでもなく、通常の4-3-3に戻る事も多く、連動性が高いために自然にできているのか、クロップの指示だったのかは判断が難しい。

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サラーは不在だったが、いくら両SBを抑えられても、マネとフィルミーノの2人で崩し切れるリヴァプールは33分、セットプレーからカウンターでマネからフィルミーノへ。シュートがミートしなかったが、かなり危ないシーンだった。そのすぐ後にも、オフサイドにはなったが、フィルミーノのヘディングシュートもあり、ユナイテッドは押し込まれた時間だったが、先制したのはユナイテッド。35分リンデロフがファール気味にオリギを潰してボール奪い、マクトミネイからジェームズへ。ジェームズから絶妙のクロスが入りラッシュフォードが決めた!まさにユナイテッドの狙い通りの形での先制点だった。43分にはマネのゴールがVARでハンドと判定され取り消され、ユナイテッドが1対0で前半を折り返す。

【前半スタッツ 左ユナイテッド/右リヴァプール】(SofaScore参考)

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👿後半~クロップの修正力~

1点をリードされたクロップ監督は後半頭から、オリギをトップ、マネを左WG、ヘンダーソンを右WG、フィルミーノをトップ下、ワイナルドゥムとファビーニョのダブルボランチに置いた4-2-3-1を基本フォーメーションに変更する。前半の途中から何度か見られた形だが、後半に入りはっきりと変更してきた。この変更は、マンマークでハメてくるユナイテッドにギャップをもたらすことが目的で、この結果フレッジかマクトミネイどちらかが守備の基準点を失うことになり、対応を迫れれることになる。

そこに気づいたスールシャール監督は50分にラッシュフォードを呼び寄せ指示を出す。そこからフレッジを1列前へ上げてファビーニョを見させて、ペレイラはワイナルドゥムをマークするように変更する。後半フレッジが高い位置を取るようになったのはこの為だ。しかし、前でボールを奪えない場合はしっかり下がってブロックを形成できていたので、フレッジの運動量のおかげで後ろが薄くなることはなかった。

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なかなか引いたブロックを崩せないリヴァプールは59分、効果的な働きができなかったオリギに代えてチェンバレンを投入。左WGに配置し、マネをトップに変えた。ボールを支配するも、得点できないリヴァプールに対してユナイテッドは66分、ボール奪ったペレイラからSB裏のスペースで待っていたラッシュフォードにパス。ゴール前まで持ち込んでジェームズがダイアゴナルのランニングでコースを開けてラッシュフォードがシュートまで行くカウンターが炸裂する。シュートは僅かに枠から逸れたが、ユナイテッドの狙いがまたハマったシーンだった。

71分クロップは交代カードを切る。キャプテンのヘンダーソンに変えてララーナを入れ、前線を押し上げて4-2-4気味に変化。さらにユナイテッドの5バックに対して、リヴァプールの4トップは内に絞り、開けた両サイドの大外をアーノルド、ロバートソンが上がり、6対5の数的優位を作るようになる。通常4バックの相手に対して、3トップ+2SBの5枚で数的優位を作っているのを、ダブルボランチにすることで5バックのユナイテッド相手に再現した形だ。

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リヴァプールに圧倒的に支配されたユナイテッドだったが、今日はライバルが相手ということで気合が違った。72分にはダイナミックな展開からペレイラ→フレッジとボックス内でつなぎシュートまでいく。惜しいシーンだったが、SBを上げられるようになったリヴァプールにユナイテッドのWBは苦戦。ユナイテッドはラインを下げざるを得なくなり、かなり押し込まれ始める。そこでスールシャール監督はジェームズを左SHに、ペレイラを右SHに落とし、5-4-1にしてSBのケアをさせるように変更する。

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クロップ監督はこれに対して81分にワイナルドゥムに代えてケイタを入れ、さらに前への推進力を増やす。ユナイテッドは意地のカウンターを繰り出しフレッジのシュートまで行くが決められず。83分マルシャルが交代で入ったその直後、ロバートソンからのクロスにフィルミーノがゴール前でスルーし、ララーナがシュート。同点に追いつく。ユナイテッドの先制点同様、こちらも指揮官クロップの狙い通りの得点と言って良いだろう。最後にユナイテッドはウィリアムズを入れるが試合はそのままドローで終了。リヴァプールの連勝を止めたのはなんとユナイテッドだった。

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【Substitution】
60分 リヴァプール オリギ⇔チェンバレン
71分 リヴァプール ヘンダーソン⇔ララーナ 
74分 リヴァプール ワイナルドゥム⇔ケイタ 
84分 ユナイテッド ラッシュフォード⇔マルシャル
90分    ユナイテッド   ペレイラ⇔ウィリアムズ

【後半スタッツ 左ユナイテッド/右リヴァプール】(SofaScore参考)

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👿まとめ~気合だけは合格点~

代表マッチウィークの2週間の間に、スールシャール監督はこれまでの自チームの分析と、対リバプール対策を用意すると語っていたが、その成果を出せたライバルとの戦いだったと言える。支配率が68%と32%と圧倒されたが、今回の3-4-1-2システムは対リヴァプールの意味合いが強いかもしれないが、4-2-3-1より機能しており、今のメンバーにも合っていると思う。前に出てくる相手だったので、鋭いカウンターが打てたとも言えるが、やはり2トップでサイドから仕掛ける方がラッシュフォードの良さが出るし、引いた相手に対しても両WBを上げる事で数的優位を作りやすいはずだ。今後もこのシステムを見てみたい。

スールシャールのマンマーク気味でレッズの両SBを無効化するやり方に対して、システムを変更して修正したクロップ。それに対して修正を加えたスールシャールという風に、これまで試合中の修正に物足りなさのあったスールシャールに少し改善が見られたのも朗報だ。ただ、ゴールまでの道筋がレッズのSB裏のスペースを突くというだけの1パターンしか用意されていなかった事と、交代カードを1枚残した上に、マタやグリーンウッドといった攻撃的選手を入れなかった事には疑問が残る。ペレイラとジェームズが機能していたので、そこは代えにくかったのかもしれないが…。

決定力不足の改善はまだまだ時間が掛かりそうだ。ゴール期待値が0.79とそこまで高くなかったが、「そこはせめて枠内に飛ばしてくれよ」というシーンが2、3度あった。ようやく怪我から復帰したマルシャルに掛かる期待は大きい。

格上には善戦するが、格下には苦戦するスールシャール・ユナイテッド。今回はホームでリヴァプール戦とあってチームの士気も高かったが、アウェーでの試合はかなり改善が必要で、まだまだ苦しい戦いが続くだろうと予想できる。ユナイテッドは勝ち点10の14位。次節は19位に沈む昇格組のノーリッチ・シティとアウェーで対戦だ。マンチェスター・シティを破っているチームなので気を抜くわけにはいかない試合になる。

【ゴール期待値「xG」】(understat.com参照)

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【ポジショナル・レポート 左ユナイテッド/右リヴァプール】

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【トータルスタッツ】(プレミア公式参照)

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👿選手評価

プレミア公式のMOMはラッシュフォードだった。先述したように2トップとスペースのある状況で良さが発揮された。先制点を挙げドリブルは最多の7回を記録。積極的に仕掛けた事を物語る。ペレイラとジェームズも個人的には好印象だった。特にペレイラはインターセプトとボールリカバリーが最多。チャンスクリエイトの数もチーム最多と攻守に渡ってチームのキーマンとして機能した。精度はもっと上げて欲しいところもあるが、リンガードよりは10番のポジションに適しているかもしれない。

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特別良くなかった選手はいないが、マクトミネイが攻撃面でほとんど目立たなかったのは少し残念。フィルミーノとワイナルドゥムに対するケアもあってほとんど上がれず。チームバランスを第一のタスクに置いた結果だろう。

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次回はヨーロッパリーグ パルチザン戦を挟んでプレミアリーグ第10節 10月28日(月)キャロウ・ロードでのノーリッチ・シティ戦 1:30キックオフ。カモン!ユナイテッド!!

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