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【19/20プレミアリーグ第11節】ボーンマスVSマンチェスター・ユナイテッド マッチレビュー

こんにちはMasaユナイテッドです。今節はボーンマスと対戦です。ボーンマスの監督であるエディ・ハウは、戦術面からも評価の高い監督ですが、現役時代もボーンマスでプレーしたディフェンダーだったそうです。2007年に怪我のため29歳で現役を引退。2009年からボーンマスの監督に就任し、途中1年バーンリーの監督期間がありますが、ずっとボーンマスを率いています。エディ・ハウは以前「プレーするのに大事なのは頭なんだ」と言っていたそうですが、スールシャール監督は直感に頼ったプレーを良しとしています。方やディフェンダー出身。方やストライカー出身とまるで正反対な監督対決。どうなったのか?ではいってみましょう!

前節のレビューはこちら

👿ラインナップ

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ユナイテッドは前節ノリッジ戦と同じフォーメーション、同じメンバーで臨む。中盤はマクトミネイとフレッジのコンビ。トップ下にペレイラ。最前線にマルシャルが入る。なかなか怪我人が戻ってこないが、ショーとマティッチはトレーニングを開始しており、復帰は近いかもしれない。対する現在9位のボーンマスは直近3試合で無得点。さらに9/21のサウサンプトン戦以来勝利がない。もっと言えば昨シーズンの1月以降、ホームでの勝利はわずかに2勝だけ。システムは4-4-2。ほぼメンバー固定で戦うボーンマス。FWのキングはユナイテッドのアカデミー出身だ。デイヴィッド・ブルックスが足首の負傷で開幕から離脱中で、7月に臀部の手術を受けたダン・ゴスリングも復帰できていない。チャーリー・ダニエルズ、ジュニア・スタニスラスも、膝の負傷で欠場を続けている。

【Substitutes】
ボーンマス:ボルツ メファム フランシス  ケリー  ルイス・クック ソランケ  ダンジュマ
ユナイテッド:ロメロ ウィリアムズ ロホ ガーナー  マタ リンガード  グリーンウッド

👿前半~ノリッジ戦のようにいく?~

最初に書いておこうと思うが、ユナイテッドの戦術分析をしていると、全くもって何がしたいのか分からない試合に遭遇することがある(笑)自分の力量不足ももちろんあるが、わざわざ戦術分析する必要があるのだろうか?と思うことがある。今節のボーンマス戦は正にそんな試合だった。かなり浅っい分析記事になりそうだが、なんとかやっていこうと思う(笑)。

降りしきる雨と、ボールが流されるほどの風が吹きすさぶなか始まったランチタイム・キックオフのボーンマス戦。前節、快勝したノリッジ戦と全く同じメンバーで臨んだユナイテッド。確かに現状これがベストメンバー、ベスト布陣ではあっただろう。そして試合の入り方もノリッジ戦と同じような戦い方で入った。マルシャルに縦パスを入れて、そこからチャンスメイクしていくやり方だ。早速2分にはその形から、裏へ抜け出したジェームズへ繋いでゴール前へクロス。ペレイラが空振りしてしまうが決定機になりかねない先制パンチを繰り出す。

ボーンマスも開始から積極的に前からプレスを仕掛ける。カラム・ウィルソンがプレスのスイッチ役となり、それに連動する形でフレイザー、さらにはビリングが前出てプレスを掛けるボーンマスに対してユナイテッドは、素早く縦パスをマルシャル、あるいはペレイラに入れて、SB裏のスペースをジェームズが使う形を狙う。6分には右サイドの崩しからペレイラがハーフスペースへ侵入してシュートを放つ。このシーンはレルマとビリングの間のマークの受け渡しが曖昧だったためにペレイラがフリーになった。トップ下のペレイラを中盤センターのレルマとビリングの2人で見ていたが開始直後は基本レルマが見ていた。しかし、このシーンはペレイラがビリングのサイドに移動したため、レルマはビリングに任せたが、ビリングは反応が遅れていた。

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このシーンと7分のジェームズがリコの上がった裏へ抜け出しクロスを上げて、ゴール前にフレッジが侵入してシュートを打つ場面を境に、エディ・ハウ監督は修正を加える。ユナイテッドがチャンスメイクできていた理由は3つあった。まず1つ目は、ビリングが前プレに出ていくので、その背後にスペースがあり、ペレイラやマルシャルが使えていたこと。2つ目はボーンマスの4バック間の距離が広かったこと。3つ目はボーンマスの3ライン間も広かったこと。この3点をハウ監督は素早く修正。ビリングの重心を下げさせ、4バックは絞り気味になって縦パスを入れさせない意識が高くなり、前プレの時と、リトリートする場面との意思統一をし、ライン間距離が広がらないようにした。

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雨が強くなった10分あたりから、ボーンマスはギアを1段上げる。ボールを奪ったら、素早くユナイテッドのSB裏に長いボールを出しウィルソンを走らせる。ウィルソンがキープしている間に、フレイザーが怒涛のように押し上げてきてフォローする。ボーンマスの得意な形で毎試合のようにやっていることだが、この左サイドの形に対して右サイドは、ハリー・ウィルソンとスミスのオーバーラップからチャンスメイクしていた。15分から18分辺りはこの右サイドから押し込む展開に。このようにボーンマスの攻撃はほぼサイドからで、解説ででもあったように中央からの崩しはほとんど見れらえなかった。

ボーンマスのサイド攻撃には勢いがあったので、ユナイテッドの両SBは上がれなくなっていく。その代りマクトミネイとフレッジは、相対するレルマとビリングのポジションによっては前まで出ていける状況だった。にも拘わらず、この2人を使う意識が低く、ジェームズの右サイドばかりに拘ったのには疑問が残る。もはや縦パスが入れられなくなったユナイテッドはカウンター狙い、もしくはポゼッションで押し込んだ時はコーナーを取ってセットプレーからしか打つ手がなくなる。

その後、前半はお互いにリトリートからのカウンターがメインになっていくが、トランジッションの速さで勢いがあったのはボーンマスの方。ボーンマスのパスを受けた選手を追い越して2人目、3人目が前へ出る動き。それに斜めの楔が非常に効いていた。前半終了間際の得点は、正にこの2点から崩して、最後はキングが技ありのシュートを決めた。ホーム、ボーンマスが1対0とリードして前半を折り返す。

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【前半スタッツ 左ボーンマス/右ユナイテッド】(SofaScore参考)

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👿後半~脅威のトランジッション~

後半、同点に追いつきたいユナイテッドだったが、何の変化も感じられなかった。それに対してボーンマスは引き続き鋭いトランジッションでユナイテッドゴールに迫る場面も。ボーンマスは中盤でユナイテッドボールになると素早くリトリート。4-4のブロックを敷く。中盤もディフェンスラインも非常にコンパクトな幅で縦パスを入れさせない。サイドの深い位置までボールを運ばれると、SHのブレイザーが下がって対応。5バック気味になってあくまで中央はコンパクトさを保つようにしていた。

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そしてボールを奪えば、奪ったサイドのFW、(カラム・ウィルソンまたはキング)がユナイテッドのSB裏のスペースへ出て、そこに目掛けてボールを送る事が約束事になっているようだ。FWがボールをキープしている間に2列目の選手がどんどん前へ出てパスコースを作り、出来るだけフニッシュで終わる意識もあった。ボールを失った時にカウンターを逆に喰らうリスクを下げる為だが、仮にロストしてもどんどん前へ出てきているのでセカンドボールを拾える事も多かった。このように欧州屈指と言っても良いトランジッションの速さと組織力で攻守に渡ってユナイテッドを寄せつけなかったボーンマス。得点こそ、1点だけだったが、自分達のプレーを迷いなくやっていたのは明らかにボーンマスだった。

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ユナイテッドは68分にペレイラに代えてリンガードを入れるまで変化なし。リンガードを入れて確かに少しはマシになったが、ボーンマスのネガトラのスピードを超えるスピードでは攻められず。68分のカウンターからフレッジがシュートを放つシーンや、80分から入ったグリーンウッドのポスト直撃のシュートなど、チャンスがなかったわけではないが、最後までボーンマスのブロックを崩せず0対1で敗れた

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【Substitution】
68分 ユナイテッド ペレイラ⇔リンガード 
80分 ユナイテッド ジェームズ⇔グリーンウッド
81分 ユナイテッド ワン=ビサカ⇔ウィリアムズ
86分 ボーンマス ハリー・ウィルソン⇔ルイス・クック

【後半スタッツ 左ボーンマス/右ユナイテッド】(SofaScore参考)

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👿まとめ~ノー・プラン ノー・アイデア~

快勝の前節ノリッジ戦が嘘のように低調な出来だったユナイテッド。ユナイテッドに関して殆ど書く事ができなくて申し訳ないが、余りにもやりたい事が見えず、工夫も全く見えなかったので、ほとんどボーンマスの分析内容になってしまった(笑)。本当にボーンマスのトランジッション戦術は見事だった。あれだけ走るフットボールをやって、交代カードを1枚しか切らなかったのも信じがたい。

ユナイテッドが機能していたのは最初の10分だけ。その後はボーンマスに修正され、何も出来なくなった。スールシャールは恐らく、この試合に関してほとんど準備出来ていなかったのではないだろうか?ミッドウィークにあったカラバオ・カップのチェルシー戦の後中1日しかなかったのと、ノリッジ戦のように戦えば勝てると踏んでいたように思う。ボーンマスは何もユナイテッド戦だけの特別な事をしたわけでもない。それなのに、崩すための工夫が何もなく、時間だけが過ぎていく試合内容は見ていて悲しくなるレベルだった。

試合後のスールシャールのコメントからは選手のクオリティ不足を敗戦の要因にしている様に聞こえるが、攻撃戦術を選手の能力任せにした結果だ。スールシャールがビッグクラブ相手の時はしっかり準備して、善戦出来るのに対して、一般的に格下と言われる相手には苦戦するのは、選手のクオリティだけで勝てると考え、策を講じていない為ではないだろうか?

ボーンマスがシュート13本の内、エリア内からのシュートが9本なのに対して、ユナイテッドはシュート15本の内、5本だけがエリア内でのシュートだ。ブロックを敷かれると相変わらず崩さないのが数字からもわかる。ゴール期待値もユナイテッド0.64、ボーンマス1.87。ユナイテッドはほとんど決定機がなかったと言える。

リーグ戦次節はホームで好調ブライトンと対戦だ。選手のネイムバリューはさて置き、順位表では上をいく相手だ。今回のような無策な試合はもうあってはならない。しっかり準備、対策を立てた臨んでほしい。

【ゴール期待値「xG」】(understat.com参照)

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【ポジショナル・レポート 左ボーンマス/右ユナイテッド】

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【トータルスタッツ】(プレミア公式参照)

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👿選手評価

ユナイテッドの良かった選手を挙げるのは難しいが、デ・ヘアは枠内の5本のシュートを防ぎ、最小失点に抑えたのは流石。62分のキングのシュートハリー・ウィルソンの74分のシュートを防いだのはかなりチームの助けとなった。

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数字だけで見るとフレッジはかなりプレー精度が良かったことがわかる。パス成功率87%、キーパスは最多の3本。グランド・デュエルも11回中7回勝っている。ただ個人的な感想では、対レルマという事を考えれば、もっと前線と絡めたと思う。前半の項でも書いたが、フレッジとマクトミネイは比較的自由があったはずだ。前線の動き出しが悪いこともあるが、4本放ったシュートはもう少し、キーパーを脅かす精度で打ってほしかった。

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良くなかった選手は断トツでペレイラだろう。パス成功率はわずかに60%クロスは6本全て失敗。グランド・デュエルは6回中2回勝利。ロストは23回。せっかく前2試合で10番としての適性を見せていただけに、今節の出来には正直がっかりだ。ノリッジ戦でも書いたが、前線とのコンビネーションが悪すぎる。次節はリンガードかマタにポジションを奪われているかもしれない。

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次回はELパルチザン戦を挟んでプレミアリーグ第12節 11月10日(日)オールド・トラッフォードでのブライトン戦 23:00キックオフ。カモン!ユナイテッド!!

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