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アイドルの配信アプリオーディション

最近ではアイドルのオーディションに配信アプリを使ったオーディションというものが増えてきました。当然ながらグループによってその配信アプリオーディションの比重は異なります。

あくまでオーディションの参考の1つにするというグループもあれば、期間内の累計獲得ポイント上位◯位以内は必ず次の審査に進むという風にしているグループもあります。


なぜこんなに配信アプリオーディションというものが流行っているのでしょうか。理由はいくつか考えられます。

まずは、配信アプリの存在がメジャーになって来たことです。今では本当に多くの配信アプリが存在しており、数年前と比べて、配信をするということが誰にでも身近になりました。
このような配信アプリが身近になったという環境がまずは大きな原因としてあります。

そして、この配信アプリを使うことでそのグループのファンやこれからファンになるかもしれない人たちとのやり取りを簡単に見ることができることも理由の1つでしょう。
ファンは、オーディション参加者の中から配信アプリを見ることで人柄や顔を直接会う前にある程度知ることができ、自分の推しができます。
配信者は、今までしたことがないファンの人への対応の練習をすることができます。
そして運営は、配信者のその対応の様子を簡単にチェックすることができます。
今までは、アイドルになってからではないと出来なかったこの3者のそれぞれの行動がオーディションの段階でできるようになったのです。
これはなかなか画期的なことだと思います。

まだ、配信アプリを使う大きな理由があります。それは数値化が簡単にできるということです。ほとんどの配信アプリには、フォロワー数の表示や累計獲得ポイントの表示があります。人間というのは数字に大きな信頼を寄せているので、この2つの数字を見てしまうとそればかりに気を取られてしまいます。また、数字という物差しがあれば、オーディション参加者たちを簡単に順位づけできてしまいます。

これなら運営は毎日配信者全員の配信の様子をチェックしなくても誰がファンに受けているのか分かりますし、どの参加者が自分たちが運営しているグループに入ってくれれば1番稼いでくれそうかもすぐに分かります。

これは結構恐ろしいことです。なぜなら、もともと運営というのはプロとしてダイヤの原石を見つけ当てそれを磨くことが仕事だと思うのですが、それを放棄して配信の視聴者によって作られた数字だけで新メンバーを選んでしまうことになる可能性がとても高いからです。
もちろんファンと一緒になって作り上げたグループだと言えるかもしれませんが、やはりプロの目で決めたメンバーの方が安心感があります。配信アプリオーディションなんてなかった時代のアイドルの方で頂点まで登り詰めたような人たちを果たして僕たちは見抜けたでしょうか。


配信アプリオーディションが浸透した理由を説明していたら、そのデメリットの話に行き当たりました。デメリットついでにもう1つ僕が配信アプリオーディションについて怖いなと思うことを挙げます。

それは、もともと配信アプリをしていた配信者の子がオーディションを受ける場合です。
当然同じ芸能のジャンルなので、アイドルのオーディション参加者を見てみると1人くらいは配信者をしていた子がいます。
仮にその子がこれまで使っていた配信アプリとは違うアプリでオーディションが行われようとも彼女たちは確実に上位に食い込みます。なぜなら、配信者である本人もそのファンの人たちも配信アプリの使い方を知っているからです。
基本的には似たようなアプリなので、どの時間に配信すれば人が集まるか、どんな配信をすれば課金してもらえるか、どういう風にすれば効率的に無料アイテムをゲットできるかなど配信アプリの攻略法を知っているのです。
配信者時代のファンの人もついているのでもちろん配信アプリオーディションでは無双してしまいます。
そして、その結果を見た運営は彼女を合格させます。なぜなら配信アプリに表示されている数字を見て決めるからです。
これが思わぬ落とし穴になるのです。

配信アプリというのは、もちろんそのアプリ内での数字がモノを言います。上でも述べましたが、配信者の価値を測る物差しにはフォロワー数や累計獲得ポイントがあります。では、アイドルではどうでしょう。アイドルになれば配信アプリというのはメインの仕事とは言えません。歌って踊ること、握手やハイタッチをしてファンの人と会話をすることがメインの仕事になります。
なので数字の面で言うと、そこでどれだけのファンを増やすことができてどれだけのお金を自分に払ってもらえるかが大事になります。いくら配信アプリでは数字があってもアイドルにはその数字よりも大事な数字があるのです。オーディションの時には配信アプリでの数字を見ていた運営も、アイドルになった彼女には新しい物差しでの数字を求めてきます。そのギャップを埋めることは難しいことです。

だから、配信者をしていたことでオーディション当時や加入当初は人気だったメンバーがアイドルになってからは伸び悩み、オーディションの数字上では勝っていた子にどんどん抜かされていき、ついには夢半ばにして卒業してしまうということが実際に起こるのです。

オーディションの頃の周りの子はまだアイドルでもなんでもない素人の子だったのでファンが少なく、それに比べたら自分の方がファンが多いように見えるのは仕方がありません。

そして、配信者が好きなファンの方というのはなかなかイベント現場に足を運べないため配信アプリにその分課金をしているという人も多いと思います。しかし、握手券やグッズの売り上げの方がメンバーのチーム内での序列に影響しやすいので、配信アプリ以外で応援することが難しいというファンが比較的多い元配信者の子はアイドルになってから苦労することになるかもしれません。

最近流行っているアイドルの配信アプリオーディションですが色々考えてみると流行っている理由や問題点が見えてきました。

これからのアイドルオーディションはどのようになっていくのかに注目したり、配信アプリオーディション時のランキングとアイドルになってから数年後の人気ランキングを比べて見るとおもしろいかもしれません。

サポートお待ちしております^_^