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雑誌もプラモも売れない時代に起きた化学反応

プラモデル・オブ・ザ・イヤーなんて賞があったら、今年はこのキットたちが受賞するのではないか。

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模型店には売ってなくて書店で買える雑誌の付録なんですけどね。しかし、受賞にいたるだけの理由と出来がこのキットたちにはある。そもそもそんな賞はないけれども。

小学1年生10月号の付録『トリケラトプス』と、小学8年生10・11月号の付録『ティラノサウルス』。(リンクは雑誌のFujisanとAmazonを貼っておきました。2020/10/15現在でまだ定価で買えてます。在庫僅少)

小学館とバンダイがコラボして今年はこんな素晴らしいプラモが生まれたわけだけど、これが1000円程度で買えちゃう。しかも本まで付いてくる。どっちがオマケかわからないくらいに素敵なプラモなんですよ、これが。

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ランナーを見てわかるとおり、パーツ数は小学生向けだけあって少ない。

けれど、そのディテールが半端じゃない。子供向けなんてことは忘れてマジになってるよ、バンダイ。いいぞ、いいぞ、もっとやれ。

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プラモに触れたことがない子供を想定してか『接着剤・ニッパー・塗装は不要』のバンダイお得意の入門編仕様。ごくごく簡単な説明書を眺めながらパーツを手でぶちぶちともぎ取り、組み立てていく。

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小さいのに歯もちゃんと再現。1000円でこんな素晴らしいキットが手にはいるなんて他メーカーは涙目では。

15分もあれば、ストレスフリーでぱぱっと完成。出来上がった恐竜骨格を眺めると大きさの割に実に精緻にできていて、ああここに内臓が入るのか、最初に化石を見つけた人はよくもまあ骨をこういった順番で並べて恐竜に仕上げたもんだなぁ、なんて想像がかきたてられる。

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今のティラノサウルスは羽毛が生えていたり、写真のようには立ち上がっていなかったりと時代の変化まで勉強できちゃいます。

しかも『小学8年生』の誌面ではこの骨格に紙粘土を薄く盛って復元画を再現してみよう!なんて企画まである。バンダイもすごいけど、小学館もすごいぞ!なんだその神企画。もはや造形の世界じゃん。美大で教えているようなことをさらっと小学生に紹介するなんて、これぞ知育雑誌、これぞ知育玩具。この企画を見て、本当に手を動かして粘土を盛り、自ら生み出した口の皮や目の窪みの造形美にゾクゾクするような体験をする小学生が生まれるといいなぁ…。

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スマホやゲームが全盛の今、子供がプラモに触れることが当たり前ではなくなってます。そんななかで、今回の企画は現代っ子にプラモという遊びがあるんだと知らせる良いきっかけになるし、造形への興味につながる可能性さえある。しかも破格のお値段とクオリティ。

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小学生、いや中学生でも楽しめるのでその年頃のお子さんをお持ちの方はぜひ、この素晴らしい雑誌を子供に与えてみてください。一緒に作る必要はありません。もし子供が投げ出しても数日経つまで待つくらいに、彼らが答えを出すまで待ってやりましょう。補助輪は本の中にたくさんあります。

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ところでバンダイさん。このシリーズ、もうちょっと高くてもいいからキットとしてバンバン出してくれませんかね?モデラーと称する大きな子供たちが夢中になること請け合いですよ、これ!

恐竜だけじゃなく、身近な犬とか猫とか鳥とか…。ホネホネシリーズっていいと思うんだけどなぁ。

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