猿でも分かるアメリカ経済の見方
コロナの影響によって世界経済が壊滅的な打撃を受けています。特にアメリカ経済への打撃は深刻で、失業保険の申請数も爆発的に伸びています。
新聞、テレビ、雑誌、インターネットメディアなどいたるところで経済についての話がありますが、経済を中長期で考える・予想するという点でまともな情報を探すのは非常に困難です。なぜなら、玉石混合であったり情報がふるかったり、下手すれば間違った情報も溢れているからです。
その一見すると難解なイメージと、大人になってから今さら人に聞くのは恥ずかしいという思いから、経済を知ったかすることが多いのではないでしょうか?
実は経済を見る・考えるということ自体はそれほど難しいことではありません。ただ単に教えてくれる人がいないだけです。重要なのは経済活動は点ではなく線、つまり繋がっているということです。
経済活動は点ではなく線、つまり繋がっているということです。
経済を理解する上で参考になるのはアメリカ経済です。非常によくデザインされている上に、他の国に比べてとてもシンプルな動きをするからです。そこで皆さんにも分かるように少し解説をしたいと思います。
この上の図はアメリカ経済の動きを一枚にまとめたものです。もちろん細かい点などは省略していますが、これだけおさえておけば経済をざっくり理解出来るようになるという最重要点です。
ここでまず見るべきは経済の原点とも言える消費活動になります。 左中段の"Personal"とは個人消費の内訳で和訳すると 収入+借入−ガソリン-税金 = 貯金+消費 となっています。つまり、単純な収入に加えて借金出来る金額から、ガソリン(アメリカは車社会のため)と税金を差し引いた金額が貯金したり物を買ったり出来る金額になるということです。
そして実際に消費される先が”Product/Service"の部分になります。普通の人の生活の中での消費は大きく分けて3種類あります。日用品といった小売、車、そして家です。
ここで消費されたお金はお店やサービス業、そして工場といった企業に流れます。企業に流れるお金が流れれば流れる程、企業もそれだけ多くの消費・投資活動を行うことが出来るわけです。
ここで大事になるのは、日用品よりも車、車よりも家が与える経済インパクトの方が大きいという点です。つまり、一枚のTシャツが売れるより一台の車が売れる方が経済的インパクトが大きく、一台の車が売れるより一軒の家が売れる方が経済的インパクトが大きいということです。つまり、家が売れなくなる、建設されなくなるというのはそれだけ経済に与える打撃が大きいというわけです。
そうやって消費者が使ったお金が企業に流れ、企業がより活発にお金を使えば雇用が生まれるようになります。この企業の活動が影響を与えるのが"Employee market"、つまり雇用市場です。
雇用市場の原理は普通の商品と同じです。人材への需要が高くなればなるほど、支払われる給料は高くなるといった具合です。そして、この給与額を決める要素は2つあります。労働時間と時間当たり給与です。
給与=時間当たり賃金×労働時間
企業は最初、賃上げをする変わりになるべく残業時間を増やそうとします。そうすれば、もちろん従業員の給料は上がります。しかし、いつまでも残業させるわけにもいかないので給料を上げたり、新しい人を雇う必要が出てくるわけです。
こうして企業から従業員に支払われるお金が個人の収入"Personal"に戻ってくるというわけです。
これに加えて、Debt(借金)出来る金額が消費に影響を与えます。例えば、日用品を買う際にクレジットカードから、車を買う際にオートローンから、そして家を買う際には銀行などから借金をするわけです。つまり、借金出来るキャパというのは消費出来るキャパに直接影響を与えるわけです。
ここで挙げている内容は全てデータを取ることが出来ます。つまり、お金の流れがどうなっているのかを実際に追うことが出来るという意味です。
経済を読むとはこういったお金の流れを読むということに他なりません。実際には経済は金融市場の動きや国の経済政策にも影響を受けます。なので、確実に経済を読むにはもう少し深い知識と情報が必要になります。しかし、このベースだけでもしっかり理解しておけば、経済対策や経済指標が発表された際に次の一手を読むことができるのです。
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