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心の発達を科学すること(発達心理学)を通してヒトを理解する_自己紹介

 発達心理学を専門に研究している今福です。現在は大学で教員をしています。noteでは心理学の研究成果を紹介しながら,普段考えていることを言葉で表現していきたいと思います。本日は自己紹介をしながら,自分の研究領域である発達心理学について語ります。

(1)発達心理学の道へ

 八王子に生まれ,小学生の時には近所の川で魚釣りをしたりザリガニをとったり,バスケやドッジボールをして過ごしました。友達とパワプロくんをして,広島カープが好きになったのもこの頃...。小学校のクラブは合唱団とソフトボールと釣り部,中高はテニス部でした。

 大学には一浪して入学しました。浪人時代にYUKI(元JUDY AND MARYのボーカル)の歌を聴くようになり,それ以来ハマっています。最近はあいみょんをよく聴きます。

 私は大学1年生の終わり頃に,実験心理学を学ぶ道を選びました。慶應義塾大学文学部では,大学2年次から専門に分かれます。3年次には,子どもの教育を科学的根拠(エビデンス)に基づいて考えていきたいと思い,発達心理学のゼミに所属しました。子どもの頃から生き物が好きだったことが影響しているのでしょうか。

 卒業論文では「乳児における自己の名前に対する脳反応:NIRSと行動指標による検討」という研究を行いました。当時の私は「"自分" て何だろう」「"自分" の認識はいつ発達するのだろう」というギモンをもって研究に取り組んでいました。

 大学院は京都大学大学院教育学研究科に進学し,6年間を京都で過ごしました。京都では研究室のメンバーや研究環境にも恵まれたのですが,神社・寺院などの観光スポットが身近にあり,今思えばとても幸せな環境で過ごしていました。よく鴨川や銀閣寺近くの琵琶湖疎水沿いをランニングしていました。なんて贅沢!

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(写真:南禅寺にて)

(2)発達心理学を学ぶことで得られるもの

 発達心理学は,ヒトが生まれてから死ぬまでの生涯に渡る心身の発達過程を扱います。時には「ヒトはどのように進化してきたのか?」「ヒトとは何か?」「ヒトはどこへ向かうのか?」という根源的な問いについても考察します。

 発達心理学は,生物学的基盤をもって生まれたヒトの心や行動が,環境との相互作用を通じてどのように生涯発達するのかを,実験や調査などの実証的方法で研究する学問です。

 心や行動の発達を,量的(数値化した)・質的(数値化できない)データから解き明かしていきます。卒業論文で「乳児が自分の名前を認識しているか」を調べた時には,赤ちゃんの名前(自分の名前)と見知らぬ名前(他人の名前)をスピーカーから提示し,音声に注意を向けた時間を測定し,6ヶ月児が自分の名前の音声をより長く聴取することを明らかにしました。

 発達心理学を学ぶことで,「ヒトはいつから,どのように自分の名前を認識するのか」「言語をどのように獲得するのか」「社会性はどのように発達するのか」「継続力はどのように身につくのか」などの発達の様相について理解を深めることができます。

 つまり,ヒトの心や行動が,いつ(when),どのように(how),なぜ(why)生まれてくるのかを明らかにすることを通じて,ヒトについて多面的に理解します。子どもに関わる仕事をする人は,子どもの発達理解は必須ですよね。

 さらに,発達心理学を研究する過程では,仮説思考力,論理的思考力,批判的思考力などが身につくと思います。私もまだまだですが,これらは物事の本質を考え,その考えを他人に伝える上でとても重要な能力ですね。

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(3)「赤ちゃんの心はどのように育つのか:社会性とことばの発達を科学する(ミネルヴァ書房)」を出版

 2019年5月に,これまで勉強してきたこと,研究してきたことをまとめた「赤ちゃんの心はどのように育つのか:社会性とことばの発達を科学する(ミネルヴァ書房)」という本を出版する機会に恵まれました。自分の研究に加えて,海外の研究論文をたくさん引用して書きました。

赤ちゃんや子どもの心をどう育むのか。それを考えるためには,赤ちゃんや子どもの発達段階や,発達の個人差を理解することから始めなければなりません。心の発達について理解できれば,適切なかかわりができるようになり、子育ての不安が安心に変わります。さあ,心の発達について学んでいきましょう。(「赤ちゃんの心はどのように育つのか」第1章 心の発達を科学する[第1節]より抜粋)

 この本は「赤ちゃん」の発達を軸に書いていますが,幼児や思春期の子どもの発達についても触れています(詳細は目次を)。発達心理学に興味がある方や子育て・保育・教育などに携わっておられる方はぜひ読んでみてください。本の表紙はシシヤマザキさんに描いていただきました。取材いただいた記事もよければご覧ください。

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 今後は基礎研究を進めながら,お話しをいただいている現場との共同研究や絵本・おもちゃ制作などにも積極的に取り組んでいきたいと思います。

 より良い子育て・保育環境の構築,教育支援に向けてコラボレーションや共同研究したい,取材や講演依頼をしたい,という方はお気軽にご連絡ください。

 研究の詳細については,reseachmapをご覧ください。

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