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SaaSは盛り上がってほしいけど、それだけじゃ足りない気がしている

気づいたら、想いがほとばしってしまい、久しぶりにTwitterで1,000文字近いスレッドを書いちゃいました。

記事はSaaS業界で働く魅力を訴える内容なのですが、私にとっては、日本市場、特に中小企業のIT化の構造的問題と解決策について同意するところがたくさんありました。
せっかくなので補足を加えつつ、noteにまとめておきます。


SECTION1. 事業成長の安定で、投資を呼び込むのがSaaS

浅田  私は、このデジタル後進国が生まれてしまった原因を、IT人材の多くが事業会社ではなくSIerと呼ばれるITベンダー側にいるという点にみています。日本ではソフトウェアエンジニアの約4分の3ほどが、ベンダーに勤めているといわれています。つまりシステム開発を発注する側は、ベンダーの言いなりにならざるを得なかった。ベンダーは自社が最も儲かるモデルを作る思考で動いている上、構造上のミスアラインメントにより、決して使いやすいとは言えないオンプレミスソフトの大量生産に繋がり、今の残念なIT環境が出来上がりました。
この構造が、ソフトウェア開発人材すなわちITエンジニアの偏在を生んだ。「開発は外注すれば良い」という時代が長く続いたことにより、ITエンジニアを抱える事業会社はかなり少ないのだ。このため、昨今叫ばれる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」はおろか、デジタライゼーション(デジタル化)すらもなかなか進まず、海外から「デジタル後進国」と見られるようになってきたというわけだ。

日本のIT人材がSI企業に偏っているから、構造的にコスト高+デジタル化すら進まず。
まあそうだよね、という感じなんだけど、あとで回収が必要な大事な伏線です。

SECTION2. メンバーの成長と愛着が、否応なく生まれるのがSaaS

浅田 メンバー一人ひとりが、嘘なく顧客に向き合い、オンボーディングさせ、どうしたらサクセスできるかを考える。営業、マーケティング、ファイナンスなど、どの役割の人も同じ目線を持っています。
そういった特性からか多くの場合、社員のエンゲージメントスコアが高いのですよ。多くの人が仕事に対して大きなやりがいを感じているようです。ぜひ、SI業界から大移動をしていただきたいですね(笑)。

SaaS企業は社員のエンゲージメントが高いと。これはとてもおもしろいインサイトですね。体感的にも納得感あります。
SaaSは会社や事業へのエンゲージ度が高く、SIは特定顧客やプロジェクトへのエンゲージ度が高い、という違いがありますよね。


SECTION3. 中小企業に広がり、日本のDXプラットフォームになり得るのがSaaS

福田  実は日本の付加価値(売り上げ-原価)の過半数は、中小企業から生まれているという統計データがあります。これは世界的に見ても高い比率であり、産業の裾野が広い。ですから、日本の競争力を維持・拡大するためにも中小企業のDXを推進することがテーマとして重要であり、だからこそ私たちChatworkのターゲットの中心も中小企業なんです。

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図は同記事より抜粋、以下同様

ですよねー、ですよねー!

浅田  ちなみに、このイベントを聞いている人たちにとっては、ビジネスチャットなんてもう当たり前のものに思えますよね。どれくらい利用しているかと聞かれたら「半分以上くらいなんじゃないの?」と答えるでしょう。でも実際には10%台の前半くらいだと言われていて、これも先程述べた中小企業が多いという産業構造に起因しています。まだいわゆる「イノベーター」や「アーリーアダプター」にしか浸透していないんです。

ですよねー、ですよねー!


SECTION4. SaaS好きなら知っておきたいPLG

福田  PLGは我々にとっては新しい概念ではなく、すでにPLGの仕組みが回っており、毎日数千ユーザーが新規登録してくれています。
(中略)
数千の新規ユーザーのうち7割くらいが、この招待というかたちで入ってくれています。

私の大好物 #PLG の話。
Chatworkさんは毎日数千の新規登録があり、うち7割が招待と。
これはすばらしいですね!

また、フリーミアムモデルでのフリーユーザーのアクティブ化はプロダクトマネージャーの仕事だったけど、PLGモデルではそれに加えて、初期活用支援をインサイドが、有料化をフィールドセールスが担う、というSales Modelはとても参考になりますね。

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SECTION5. HorizontalとVerticalは、対立ではなく融合すべし

もし、顧客のITリテラシーが非常に高いという状況なら、ビジネスモデルや業務プロセスに合わせたビジネスチャットの利用方法の設計が可能です。しかし先ほど浅田さんが述べたようにデジタル後進国である日本においては、この「設計」を自社で行える企業はそう多くありません。

なので私たちは、ホリゾンタルなプロダクトを提供しながらも、中小企業の顧客が直面する課題を解決するノウハウまで、合わせて提供していきます。介護業界の顧客ならこう導入する、建設業界ならこう導入する、小売業界なら……というかたちで、ホリゾンタルSaaSを、バーティカルすなわち、課題解決的に導入していくんです。

顧客側に業務設計できる人がいないので、ベンダーが業種別の課題解決アプローチをしていく。
ここはまさに先日のnoteきっかけで多くの方と議論しているテーマ。

やっぱりそういうアプローチになりますよねー、わかります。
難易度は高いけど、実現できれば大きなグロースに、というのは100%同意です。
ただそれではいずれ頭打ちになるのでは、という懸念も...(後述します)

またHorizontal SaaSが中小企業におけるDX推進のプラットフォームになるという点も100%同意です。


SECTION6. SaaSはどこも、まだまだ人手不足

SaaSって盛り上がっているけどまだまだ人材不足なんです。他業界からの転職はウェルカムです。SaaS業界で転々とするキャリアがあるといいと思うのですが、まったくもってそんな状況ではありません。

はい、まったくそのとおり!
SI/受託開発系はもちろん、非ITな異業種からの転職でもめっちゃ活躍している例はたくさんあるので、ぜひ興味を持ってほしいなーと思う!

一方で、それだけでは結局SaaS企業にIT人材が集まるだけで、冒頭の「IT人材偏在問題」が解決しないんですよね。これが解決せず、事業会社にIT人材が増えていかないと、長期的にはSaaS企業の首を絞めることになっちゃう。
なぜなら顧客側にIT人材がいないと、課題が認識されないから。
顧客が課題と思わなければ、解決策(SaaS)は必要とされない。

エンジニアである必要はないし、ITにむちゃくちゃ詳しい必要もないと思うんだけど、社内の業務とITをつなぐ人材が増えないと、SaaSが必要というニーズも増えないし、導入もうまく進められない、という課題感を持ってます。

そこを、「だからこそ課題認識してもらうために啓蒙するんだ」「デマンドを作るんだ」とマーケティングチームが頑張ったり、「だから初期の導入支援(オンボーディング)に注力!」「ちゃんと定着するように伴走」とカスタマーサクセスチームが頑張るのは素晴らしいし、志はそうあってほしいのだけど、限界があるのも事実。
SaaS企業がどんなに頑張って啓蒙・支援しようと思っても、経済合理性を越えてリソースを投下できない。まして、VCのような経済合理性の塊のような人たちから資金調達してたらなおさら。

巨大な中小企業マーケットを動かすにはここをBreakthroughしないと、結局IT投資するのは大企業だけで、構造は変わらない...... とか言ってる私にも、もちろんまだ解はありません!

でも、同じ絵を見ている人が世の中に増えていけば、きっと解が見つかると思うので、いろんな人がいろんなチャレンジをしていくのが大事なのかなー、と思いました。とにかく良記事でした!


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