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「もやもや」が、あることをきっかけに晴れて行った話(後編)

マネーフォワード取締役 グループ執行役員、ビジネスカンパニー COOの竹田です。

前編では、この1年ずっと抱えていた「もやもや」の詳細について書きました。

後編はその「もやもや」を晴らしたコーチングについて書いていきたいと思います。

初めてのコーチングセッション

前編でまとめた通り、以下の3つの問いを用意して、初めてのコーチングに臨みました。

  1. 問いを立てる力を磨きたい

  2. 具体を抽象化する力を付けたい

  3. 自分自身の特性(強みや弱み)を知りたい

ところが実際は、コーチングを受ける前に、こんな悩みの変換をする必要はまったくありませんでした。なぜなら、セッションが始まって10分もしないうちに、私はコーチから問われるままに、ごく自然に、自分の悩みを吐露し始めたからです。

なぜ、こうなったのか。お会いして10分足らず。しかもZoomです。

担当コーチとの出会い

こうなった要因の一つは、担当してくださったコーチと私の相性が良かったことが大きいだろうと思います。

少し話を戻すと、実はコーチングを受けるにあたっては、ほかの複数の会社から具体的なお話を聞いています。いずれの会社もコーチの資格を持った方がお話をしてくださったのですが、私は少しでも違和感を感じた会社は選ばなかったのです。

その中には業界でとても有名な会社もあれば、よく知っている経営者の方が受けて非常に効果があったと伺っていた会社もありました。ただ、これから私の抱えている、この手強い「もやもや」に並走していただく方を選ぶにあたっては、そういった外的な指標や評判よりも自分の直感の方が大事だろうと思ったわけです。

ちなみに私は宝くじやくじ引きで当たりを引いたことは一度もないのですが、人との出会いだけはいつもついていると自負しています。今回もその私の引きの強さは健在だったようです。

初セッションでお会いしたコーチは私にぴったりでした。自己開示力が非常に高いコーチに対して、私は早々に「そこまでお話ししてくださるのか」と引き込まれ、安心した結果が、開始10分での悩みの吐露に繋がったのだと思います。この最初の1時間のコーチングセッションは本当にあっという間でした。

そして、そのセッションの最後に言われた言葉は今でもよく覚えています。

あることを言われると、ある感情が湧き起こってしまう。その原因は自分自身にあるんです。そのルーツをこれから探りにいきましょう。

つまりこういうことです。例えば、自分からするとどうしても許容できない発言があったとします。ところが、全く同じことを同じ状況で、同じ人から言われても、なんら意に介さず普通の状態でいる人もいます。この場合、許容できない原因は自分のほうにあるわけです。

ではなぜ、自分は許容できないのに、他人は許容できるのか。それは過去の体験の中で、自分自身で書いた「生き方のシナリオのようなもの」に原因があるようなのです。

コーチングを通じて得たこと

この「シナリオのようなもの」を自分で作り上げてしまった時代に一体何があったのか。

自分自身のルーツを探る旅

こうして私は、コーチと共に自分自身のルーツを探る旅に出ました。具体的には、生まれてから今に至るまでの「幸福度の変遷」をチャートに書きあらわし、その変化のときどきで起きた事柄と感情を解明してゆきます。

幼少期から今に至るまでの人生の中でした体験や、そこで作られた価値観を探ることは、自分の特性や思考の癖、モチベーションの源泉を含めた、自分自身の理解を深めていくことそのものです。

私の場合、幼少期の両親との関係性とそこでの体験が、いまの自分の価値観に大きく影響していることが分かってきました。

ちなみに私の両親は特に変わっているわけではなく、ごく普通の田舎の一般家庭の、比較的仲も良い両親でした。ただ父はちょっと厳格で子供に厳しく、母はそんな親父と子供の間を取り持ってくれるような関係でした。

そんな両親の元、まだ1人で生きてゆく力のない子供時代の私は、どうやらその厳しい父になんとかして守ってもらおう(=認めてもらおう)と試行錯誤をしてきた節があるようなのです。

そしてそんな中で積み重ねた、うまくいった体験やそうではなかった体験が、自分のシナリオのルーツになっているようなのです。

セッションの結果

このように自分のルーツと、感情のメカニズムを理解することは、自分自身を圧倒的にメタ認知できるようになることと同じですから、影響は絶大です。

私はこのセッションを経たあたりから一時的な感情にあまり左右されなくなり、以前よりも自分のことをコントロールできる感覚を掴んでいったように思います。

そうして、自己理解が進むにつれて、私にとって最も大きな悩みだった「自分が真にやるべきことがなんなのか」ということも少しずつハッキリしてきたのです。

不思議なのですが、自分自身の理解が進むと、他人の理解もしやすくなっていきます。より相手のことがわかるようになると、私の他の2つのテーマだった「問いを立てる力」「具体を抽象化する力」も見えてくるものがあることに気づきました。

私の場合は、その力をつける以前に「できない自分を知られたくない」と思うばかりに、「上手にできている他人と同じように、自分ができていないこと」を悩んでいました。

でもよく考えてみれば他人は他人であって、同じようになる必要はどこにもないわけです。それよりも自分をよく知り、他人に向き合い、ことに向き合って思ったことを言えば良いのだし、伝えれば良いわけです。

以前の私は、例えば会議でキレがないと落ち込み、優れた経営者の方と会えば凹み、できないことを課せられればコンプレックスを感じ、その度にパフォーマンスがブレていたように思います。

「凹んでいても仕方がない。できないなら、これからやればいい。伸び代しかない!」と、ポジティブに切り替えようとしても、できない時はどうしてもできないものでした。

それが、コーチとのセッションを重ねる中で、私は自分のオリジナリティを認められるようになり、「必要以上に自信をなくす」とか「いじけてしまう」ような状況から脱することができました。

「もやもや」が晴れた今思うこと

コーチングは研修ではないので、新たなスキルや能力、知識が身についたりするものではないと思います。

では何が得られるかというと、視野や視座が圧倒的に広がったり、思考が深くなったり、自分が進むべき道がクリアになったりするものなのではないかと思います。

その結果、悩んでいることに対しても、向かっていこうとする勇気と力を得ることができます。ただ、それらは全部元々持っている自分自身の力です。

すなわち、コーチングの効果というのは「元々持っている自分自身の能力の発現」ということなのかもしれません。

「限界などというものは実はない」

以前の私と比べると、いまはどんなことがあっても、自分を信じることができるようになりました。

人はみんな、自分の知らない自分があるのだと思います。そんな自分を紐解いて自分を知ることは、日々学んで成長し続ける力と、そしてなにより、どんな時も自分を決して諦めない力を得ることにつながるんだと今、思っています。

このnoteが誰かのご参考になれば幸いです!

Work illustrations by Storyset

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