詐欺師はどこまでも詐欺師

時間軸はズレて話は、前後しますが。

技術部の社員たちは、詐欺師の指示通り新製品の完成間近となりました。

すると詐欺師は、旧知の友に大手商社マンがいるので、そこから世界中に
売りましょう。
まずは、一千台を一気売りましょう。

なので、その関係者達と視察に行って来ます。
日焼けして帰って来ますよ!

と言って、しばらく会社に来ませんでした。
連休もあったので、みんなその言葉を信じていました。

私は、1台でも売れたら、上出来だよなと思っていましたが。

そして一週間ほどして、シラッとした様子で出社して来ました。

日焼けなどしていません。

視察はいかがでしたか?
進展はありましたか?

と聞くと

行った場所が紛争地帯だったので、入国できなかった。
政府高官とは会えなかった。

と言うのです。

これ以上、何も聞くなよオーラ全開でした。
その日は、30分程で会社から帰ってしまいました。
あー、ウソだったのだなと思いましたが、誰にもそんな事言えません。

母や親族Aにそんな事言ったら、殺されるとまで思っていました。

専務には、何かおかしくない?とほのめかしてみた物の、その頃の専務は詐欺師を神様のように崇めていたので、
全く話になりませんでした。

私の中で、フツフツと詐欺師に対して不信感を募らせて行きます。

誰にも言えない。
でも、でも、何かおかしい。

ちゃんとその時、詐欺師にどこに行っていたのか、誰と行ったのかと詰めよればよかったのです。

詐欺師を怒らせたくないとの気持ちが、私を支配していました。

詐欺師が怒る=会社を去る=会社のお金が戻って来ない。

そんな構図が出来上がっていたのです。

母や親族Aに、またいじめられる。

それが、怖かったのです。

いい娘をしなきゃいけない。

親に認めてもらいたかった。

そんなくだらない事を考えていました。

それからも詐欺師は、新製品を
銀行にアピールをして、次は後進国に
売る予定なんですよ。
社会貢献活動をやります。

私と専務のいる前では、そんな話をしていました。

夢や希望を持たせる話を 社員の前では、次々と話していました。

銀行担当者とは、詐欺師一人で対応をしていたので、一体どんなホラ話を
していたのでしょうか。

誰も同席させないのです。

今でも、その理由はわかりません。

様々な展示会に、新製品のお披露目と言う事で、出展しますが。
出展して、広いブースにはお金がかかります。

まだその頃には、専務を焚き付けては
どんどんやって下さいと指示を出していました。

費用もちゃんと払っていたようです。

ある航空機部品を作っている会社から、技術提携の依頼が舞い込みます。

社員たちは、喜んで契約をしたいと
言って来ました。

詐欺師は、最初余りいい顔はしませんでしたが、技術開発費はその会社が出すと言った途端、態度はガラリと変わります。

いい話じゃないですか!
会社のいい宣伝にもなりますしねぇ。

あら?
あんなに渋ってたのに、どう言う事?

詐欺師は

早速、専務と技術責任者とで
挨拶に行って来て下さい。

そうですねー。
高価な手土産を持って行って下さい!

はぁ、行ってきます。

また、ウソ笑顔と訳のわからない話を
しなくちゃいけないのか・・・

かのソフトウェア会社からは、4年に一度の世界中のCEO が集まるパーティが、
今年は日本で開催されますので、
是非出席してもらえませか?
との事。

ひえー!
そんな所に行けないよー。
私、何すればいいのよー。
無理無理!

しかし、詐欺師の命令でパーティに
放り込まれます。

名だたる誰もが知ってる大会社の
代表がズラリ。

通訳代わりに、私の子供(大人その上バリキャリ)
をお供に出席しました。

あー、留学させといてよかった。

某ソフトウェアの支社長の案内で、次々と名刺交換をして行きました。

本社のCEOにもお会いしました。

皆さんご夫婦でいらしているので、
奥様方は皆、お知り合いのようでした。

セレブな美しい方々。

アメリカドラマでしか見た事がない、輝いているパーティです。

その中に放り込まれた迷子の仔犬。

逃げたくても逃げられない。

そんな居心地の悪い場所でした。

詐欺師には、
銀行や異業種交流会、そして様々なパーティでは、
名刺交換するのが
貴女の仕事です。

さて何枚交換できますか?
最低でも、100枚はもらって来て下さい。

は???
言ってる意味がわかりませんが。

でも言われた事はやらないといけない。
私の仕事なんだから。

精一杯やりました。
精神的には、ホントに辛かった。
罪悪感の塊になっていました。

ではまた。

あ、今日は父のお墓での行事がありました。

シャトルバスで、始まる1時間以上も前に着きました。

仕方なく待合室で、待っていました。

親族Aから聞いていた時間の10分前に
その場に行くと、もう終わったと。

え?
ナンデもう始まるよ位の連絡はないの?

余計な事は、ヤイヤイ言ってくるのに。

親族Aは上機嫌で、家まで送ろうかと言いましたが、即却下。

私の家、知ってるんだと背筋が凍りましたが。

やっぱり私は親との縁が、ないのかなと、ちょいとネガティブに。

誰もいなくなった墓前に、お線香を上げ一人でゆっくりお参りできました。

お父さん、ごめんなさい。
心血注いで育てた会社を 倒産させてしまいました。
あんなに大切にしていた社員に
とんでもない迷惑をかけてしまいました。
家族の為の残してくれた物も、全て無くなってしまいました。

ホントにごめんなさい。
お父さん🙏

もうお墓には二度と来る事はないと思うけど、私は何があっても生きて行きます。
子供たち孫たちをどうぞ見守ってやって下さい。

ゆっくり父とお別れができました。
あえて父が、この時間を与えてくれたのかもしれない。

そう思える位、スッキリした気持ちになりました。

空を見上げると綺麗な青空が、広がっていました。

私なりの親子姉妹のけじめをつけました。

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