ある老舗精密機器会社の倒産の裏側⑦

今までの投稿で、ザッとあらすじを
書いて、わかって頂けたかと思いますが。

詐欺師がどの様に親族Aに近づいて行ったのか。

いつだったかまだ詐欺師の事を 信用していた時に、「新聞の訃報記事を見れば、どこの誰が亡くなったか、すぐわかるんですよ(笑)」と言っていた事がありました。

その時は、ふーんと思っただけなのですが、よくよく考えると父が亡くなり、訃報記事をチェックし、家族構成を調べて獲物を狙って、
親族Aの隣に引っ越して来たんだなと、気づきました。

警察の方にも、最初から騙すつもりで近づいて来るのが、詐欺師のやり口ですと言っていました。

我が家は、父以外大人の男性がいないのです。

甥っ子はまだ、学生でしたし。

そんなうまい儲け話がある訳ないと、
引き止めるうるさく言う、男性のいない家だったのです。

障害のある次男を抱え、元夫は詐欺で
勾留され、孤独な親族Aに詐欺師は、何くれとなく
それはもう親切に親身になって、親族Aの面倒を見ていました。

詐欺師は、もっと大きなビニールハウスを立てて、本格的に花の栽培をしたいと言い出し、どこかいい場所はないですかね?と親族Aに聞きました。

親族Aの次男が、しょっちゅう暴れるので、家の修理を頼んでいた建築関係の
親方に相談します、

すると、ここに広い空き地を貸してくれる人がいると、話を持って来ました。

詐欺師は、早速そこを借り親方にビニールハウスを建ててもらいます。

詐欺師曰く、花を作ってる人間に悪い人はいませんからねぇと親族Aにも、私にもそう言うのです(この嘘つき野郎)

そしてそのビニールハウス(後に農園と言う事になる)で栽培した花は、親族Aや母の所に山ほど届けられる様になります。

私にも、時々母が分けてくれました。

それはもう立派なユリの花でした。

年末には、チューリップの鉢植えが届きます。

母や親族Aは、ますます詐欺師への信頼を深めて行きました。

「今、一千万以上預けてくれたら、18ヶ月後には2.5倍に増やせるチャンスが来ています。どうですか?」と連絡が来ます。

つい欲を出してしまった私は、
お願いしますとお金を振り込んでしまいました。

あと2ヶ月で、お金が返ってくるなー。
子供達家族で、どこか旅行に行こうかな? それとも2番目の子供に家の頭金に、渡してあけようかな?
と楽しみにしていた私でした。
ホントに、お気楽な私でした。

そしてその契約の満期が来る2ヶ月前「国税局が入ったので、あのお金は今は動かせません」
と言われてしまいました。

え?何それ?

父の遺産相続税もちゃんと払ったし、
大きな買物もしてないのに・・・

その上、「三番目の子供さんの海外挙式にも行かないで下さい」
と言われてしまいました。

「こんな派手な事をしては、いけません」 と詐欺師釘を刺されてしまいました。

姉からは、最初から反対だったのよ。
そんな大勢で行く必要ないないんだから

家族みんなで行く予定してを していましたから。
子供達は、がっかりしてホントに可哀相な事をしてしまいました。(泣)

そして2年が経ったある日の事、詐欺師から電話がありました。

「会社に貸していた1億が、戻って来ますよね。それも善意の第三者である自分に預けて下さい。
国税局がまだあなたを狙っています。
これは国税局との空中戦ですよ。
会社から振り込まれたら、すぐ私の所に移して下さい」

と言うのです。
何で知ってるの?
親族Aが、その事を詐欺師に話していたのです。
その頃、私は自宅ではなく子供の都合で、別の場所に住んでいました。

え?そうなの?
不審に思いながらも、慣れない土地で銀行を探し、言われるがまま会社から返して貰った1億を
いとも簡単に詐欺師に振り込んでしまったのです。

不審に思ったときは、やってはいけないのです。
必ず、それなりの所に聞くなり相談するのです。
自分の直感を信じて下さい。

詐欺師からメールが来ました。
「これで安全です。もう心配はいりません。」

でも何だかんだスッキリしない。
自分の中に、こんな事ってあるのだろうか?
国税局には、罰金払いましたって言ってたよな。

その時に、振り込む前に友人の税理士さんに相談すればよかった。
いや、国税局の話があった時に聞けばよかったのです。

でもその時には詐欺師から
「今回の国税局の事は、誰にも言ってはいけません。
自分の友人が、この情報を極秘で教えてくれたんですから。
私のクライアントにも迷惑がかかるので、絶対他言しないで下さい。あとは私に任せて下さい。
国税局との折衝は私がやりますから」

と言われていました。

しばらくして「あの1億は私が借りた事にしましょう」
と金銭貸借書なる物を渡されました。
利子として、栽培した花を毎月渡すと書かれていました。

貰った事はありませんが。

私は、コロッと騙されていたのです。
何度も言いますが!

国税局は必ず、本人に連絡があります。
代理人が話をできる事など、絶対ないのです。

世間知らずの私でした。

そこからどんどん深みにハマって行ってしまうのです。

挙げ句は、一族の資産管理までするようになります。

親族Aが、余計な事をいろいろ話してしまっていました。

「子や孫の代まで、裕福に幸せに暮らせるお金を 今のうちに残して置きましょう」

親族Aは、詐欺師のその言葉にまんまと乗せられてしまったのです。

後に親族Aからは、「私は私利私欲の為にしたんじゃない。みんなの幸せを思ってしたんだ」とメールが来ましたが。

あんたの欲がそうさせたんだろ!

とツッコミたくなりました。

ある時親族Aに「家族みんな、こんなめちゃくちゃになって・・」
と私が言い出すと、遮るように
「これ以上言わないで欲しい。私が悪いんだから」と反省の色なく、会話は止められてしまいました。

せめて、ごめんなさいの一言くらい言ってほしかったなーと今でも思います。

詐欺師は資産運用計画書なる物を作り、私にこう言います。

「一度に大金が動くと目立つので、
毎月生活に困らない金額を5年間払います。
最後の1年でお約束の金額になるようにしました」

あ、そうですか。
でも毎月の支払いは、1年で途切れます。

詐欺師が会社に入ったので、半年は私は無給のまま。
蓄えで生活していました。

やっと会社からお給料が、もらえるようになりましたが、詐欺師から
「あの生活費として渡していた金額を含めてのお給料です」

ん?
何で?
それとこれとは、別じゃないの?
だって、それを含めてたら税金高くなるし。
でも、それを言えない私でした。

詐欺師を怒らせたくないと、くだらない思いがあったのです。
詐欺師気分を害する=母や親族Aが怒る

こんな思考が出来上がっていたのです。

母や親族Aの顔色をうかがう癖が、幼い頃からあったので。

お給料もらえるから、まぁいいか
生活できるから、まぁいいか。

と容易く考えてしまいました。

その頃、詐欺師は社員達に

「社長はお嬢様育ちで金遣いが荒くて困ったもんです。
多額の借金があって、自分が返済してキレイにして会社に来てもらったんですよー」

と話していたと、あとになってある社員から聞かされました。

どこまでも私を悪い人、自分は良い人として、社員の信頼を得ようとしていたのです。

「お金の心配はいりません。
順調に財務は、動いています。
財務部と言うのは、会社がこれだけの資金が今必要だといわれたら、すぐさまドンと用意するのが、ホントの財務担当者なんですよ」

といつも社員の前で、豪語していました。
詐欺師って、平気でこんな事言えるから詐欺師なんですね。

まだまだ続きます。

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