見出し画像

詩「白昼夢」


 愛

まちがわないように知恵を貸すよりも
転ばないように手を貸すよりも

まちがえることを、転ぶことを、
負けることを、忘れることを、

ただ手を広げて見ている
とびらはずっと鍵をかけないままで
愛にできることは ただそのくらい

 恋

あなたの恋がさめるときが来るなら
わたしの恋もきっとさめるでしょう
だから何も心配はしない

あなたの恋がさめても
わたしの恋がさめなかったとしたら
それはきっとわたしからわたしへの
こんがらがった愛なのでしょう
だからやっぱり何も心配はしない

二人分の生活が舞い上げる埃
吸いこむ掃除機の横でカーテンがゆれる
その場かぎりの半透明の影もゆれる

ほんとうは恋も愛もまだ茫洋として
心配だってしないわけが

だけどこうして言ってしまいたくなる
季節を遡ったようにあたたかな
冬の白昼夢



文字でもものづくりでも、どこか通じ合える人と出会いたくて表現をしているんだと思います。何か感じてくださったならとてもうれしいです。