詩「夕焼けタクシードライブ」
後部座席に身をあずけ
オレンジの光に頬を焼かれていた
空席の右側に伸びる影
飲みかけのペットボトルが転がって
はみ出した日差しにぬるまってゆく
大きなピアスが揺れる
不規則な楕円を天井に映す
夕焼けのタクシードライブ
私を挟んで光と影
疲ればかりを残した一日
動かない体 記憶だけが自動再生
安らぎ ∟ 苛立ち
安定 ∟ 退屈
憧れ ∟ 嫉妬
焦燥 ∟ 憩い
希望 ∟ 欠乏
置き去り ∟ 共感
あの子を挟んで光と影
左頬の反射 右腕の日陰
正も負もなく 正も負もよぶ
存在の両側に同じものは作れずに
愛も憎しみもある不透明な体
深く 浅く 呼吸をくりかえす
おねがい
透明な視線だけは左右を見つめていて
あらゆる葛藤の真ん中をゆく
日が暮れるまでのタクシードライブ
文字でもものづくりでも、どこか通じ合える人と出会いたくて表現をしているんだと思います。何か感じてくださったならとてもうれしいです。