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「僕は いるよ」の気軽さで。

山登りだ。空気が素敵に美味しい。僕らはワンゲル部。
五人で急角度の小径を登っている。
「村石君、ラジカセを持ってきたんだって?」
「持ってきたよ、音楽かけようか?」
「山登りにさ、ラジカセなんて持ってくるやついないぞ」
「僕はいるよ」 
( 森博嗣「アイソパラメトリック」)

このやりとりが すごく好きだ。
「そんなやついないぞ」に対して「僕はいるよ」。
ひと休みするのにちょうど良さそうな 切り株の写真のあるページの
「山登りにさ、」から「僕はいるよ」に 線を引く。

そうだよね。私もあの時、こう返せば良かったな。
あの時も。あの時も。
むっとすることなんて無かったんだ。
他に「そんなやつ」、いても いなくても べつにいい、
「僕はいるよ」で良かったんだと気付いたときの、心 広がる感じ。


天気がいい日に音楽はつきものだ。
私も山登りにはラジカセを、、、
いや、ラジカセは重いから リコーダー持っていこう。

( なんだか自由な気分になった 今の私の鞄にはいつも、
  世界でいちばん小さなリコーダーが入れてある。
  ボールペンぐらいの長さの ”クライネ ソプラニーノ リコーダー”。
  ピアノはラジカセ以上に重くて ちょっと持ち歩けないから、
  とても軽くて、とても小さな特別を。)

他に同じ人がいないことなんて 普通のことだ。
誰だってそう。ひとりひとり特別な ふつうだ。

そういうものとして、私は いるよ。
「僕はいるよ」、の気軽さで。

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・・・さて。

なんでここへ来て文章書いてるんだ、っていう話なんですが。
モッコーBグル部
さん主催の
ノートバトン『ココセン』
という企画のトップバッターです。
https://note.mu/notebaton/n/nb7cfea9ec4ea

『ココセンとは、この本のココにセンを引いた
  (そして励まされた、救われたなどの)エピソード』

ココロに引いたセンを教えてください、っていう企画。
もともと 本を読んで線を引く、という行為は好きだし、
・・・『ココセン』。すてきな響きではないですか。

ノートバトン本部。 https://note.mu/notebaton
モッコーBグル部 さん。 https://note.mu/yocy_gowe 


せっかくだから、この記事にどれを使おうか迷った
お気に入りの『ココセン』達。他にもいくつか貼っちゃおう。
大好きな言葉がならんでいるのを見るのはすてきだ。

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10セントしかないときは靴を磨きに行け。 
( ウエイン・ワン「ここより何処かで」※映画 )
一見、非ジャズ時のみっともなさを、ジャズ時でカバーできると思いたくなるが、これはだめだ。逆を考えてみればいい。ジャズ時の失敗をどうやってほかのところで取りもどせるだろう。
( 山下洋輔「ピアニストを笑え!」)
お前は気付いていないんだ、私の知る限り才能は過剰ではなくて欠落だ、
ありとあらゆる能力を使ってその欠落を埋めようとする、それが表現なんだ、お前はその欠落を放置しようとしている、その欠落は意志を持っていて ひょっとしたらおまえ自身よりも強いかも知れない。

( 村上龍「ラッフルズホテル」)
どんな戦場にも一輪の花が風に揺れている。
( 柳美里「家族シネマ」)


(追記)
バトンを 北千住 艸 さんに受け取っていただくことが出来ました!(嬉)
「ひとりで飲む。ふたりで食べる」。超すてきです。
https://note.mu/soukitasenjyu/n/nf708dacebf74
バトン記事一覧マガジンはこちらです。
https://note.mu/notebaton/m/mdc6c5c99193b


#notebaton #ココセン #推薦図書 #読書 #ビール愛好者党 #森博嗣

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