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イワナガヒメとコノハナサクヤヒメ

私の母は美人。高齢者となった今でも、若く見えるし、綺麗な部類に入ると思う。化粧も毎日バッチリしている。自分への自信で満ち溢れているひとだ。

子供の頃から母にずっと言われ続けてきた。
「ワタシの昔は優秀で何でもできる子だったのに、アンタはなんでできないの?」「ワタシは自他共に認める美人なのに、アンタは本当に不細工よね」「アンタのそういう醜いトコロは○○の伯母さん(父方の親戚)にそっくりね」

私の顔は父親似。そして妹は母親似。母親の愛情がひたすら妹に注がれるのは自然なことだった。
私は小中学校と酷いイジメを受けていても放置されていたが、妹は家計をやりくりして私立中学・高校へ、そして名門大学にも合格した。母親は妹の塾の送迎もしていたし、海外留学もさせた。美しくて賢くて優秀な妹は母の自尊心を満たすのに十分だったのだろう。
母の愛情を受けて、美人の妹ますます美しく、妹と比較され続けた姉の私は、身も心も醜くなっていった。

昔、日本神話のイワナガヒメとコノハナサクヤヒメの話を読んだ時、自分のようだと涙が出た。醜い姉イワナガヒメと美しい妹コノハナサクヤヒメ。
あまりの醜さにニニギノミコトに一目見ただけで追い返された姉のイワナガヒメ。彼女も好きで醜く生まれたわけではなかったろうに。その後の永久の年月を彼女はどんな思いで過ごしたのだろうか。