単発小説

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【小説】ログインボーナス10年分

「詐欺だ!」
虚しく叫び、俺はスマホを放り出した。
『ログインボーナス10年分!!』
そんな広告に惹かれて某ソシャゲをはじめたのが昨日のことだ。
妙に露出度の高い女性キャラに迎えられ、リセマラ不要の初回ガチャを回す。評判と好みを天秤にかけてレアキャラをお迎えする。ボックスから10年分のログインボーナスを受け取り、チュートリアルを終えたところで昨日はやめた。
そして今日、続きをやろうとしたところで気

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ありがとうございます!ねこはよろこんでいます。
8

【ショートショート】圧縮

男の家は、見た目よりずっと広かった。
見た目の割にとかいうレベルじゃなく、明らかに外観と体積が釣り合っていないのだ。だって外見はドア一枚しかないのだから。まるでどこでもドアだ。
「なにせ未来の技術ですからね、空間を圧縮しているんです」
さっきからこの調子だ。最初は春先特有のあれかとも思ったが、もはや信じるしかない。
混乱を鎮めるために、私はテーブルについた。コップの紅茶をいただいてしまおう。一杯ぐ

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すべるねこのかぜきるはやさ
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【小説?】制服とスカートと風船

・制服
・風船
・スカート #お題ガチャ #創作単語スロット https://odaibako.net/gacha/28?share=tw

制服のスカートが風に翻る。彼女が手に持った糸からは、赤い球体が伸びている。
彼女の足取りは風に弾むよう。胸はキタイでいっぱいで、いまにも宙に浮き上がりそうだ。
一歩を踏み出すたびに飛び上がろうとする風船を、糸の先の人体がなんとか押さえている。

そう、制服

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(うれしがっている)
5

【小説】鉢植えのセイロンティー

私はスリランカの道端で、呆然と立ちすくんでいた。着いて早々に身ぐるみ剥がされたのだ。安すぎるタクシーにほいほい乗った私がうかつだった。
「相場の半額まで値切ったぞ!」内心鼻高々だった私をタクシーは裏路地に運び、現れた数人の男たちが荷物を運んでいった。スマートなものだった。すべては流れるように進み、着の身着の私だけが裏路地に残された。

私はすぐさま大使館に駆け込んだ。パスポートの再発行までは数日。

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まいどありがとうございます。おじぎです。
6

【小説】コップ一杯と父の遺影

父は死ぬ前に言った。コップ一杯の水をくれ、と。
ぼくは動かなかった。父は手を伸ばしたまま死んでいった。
誰もがぼくを責めた。お父さんがいるからあなたがいるのよ。そこまで大きくなるのにどれだけかかったか分かってるのか。いくらお父さんと仲が悪かったからって。
ぼくは黙って、葬式の準備を進める。
葬儀会社から電話があった。父の写真がいるらしい。遺影に使うので、写りのいいものを探してほしいらしい。
アルバ

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(うれしがっている)
5

【小説】星が降る夜に

星が降る夜に
笑いながら
ひたすらに後悔した
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濃紺の夜空を、無数の光の筋が横切る。
気持ちのいい夜だ。頬を初夏の風が撫で、自然と顔が緩む。
皮肉なものだ。世界を滅ぼすミサイルの軌跡がこんなにも美しいなんて。
俺は少しだけ、スイッチを押したことを後悔した。

まいどありがとうございます。おじぎです。
9

【小説】偶然のない人生を

あるとき、神が男に語りかけた。
「偶然のない世界をお前にやろう。お前はその人生のはじめからを、一切の偶然を排除してやり直すのだ」。
願ってもないことだった。常々、人生は偶然に左右されすぎると思っていたからだ。男は二つ返事で飛びついた。
次の瞬間、男は虚空に浮かんでいた。
「これでお前を振り回すものは何もない。さあ望むがいい、そのままに与えよう」
しかし、男には欲しい物も、したいこともなかった。形さ

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【小説?】甘酸っぱい今日の夢

女優のわかい女の子が押しかけてきた。高校生くらい。
在宅で映画を撮るのだ、あなたが相手役に選ばれたといって、むりやりぼくの家に居候してしまう。ぼくも高校生くらいに戻っている。
映画は二人きりで撮る。監督すらいない。恋愛映画。
一緒にお風呂に入るシーンまである。映画の撮影なのか、そうでないのかわからない。
劇場公開の日、隣の席に座った彼女が言う。映画なんてうそ。ぼくに一目惚れして、いい仲になりたいか

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おれいに福をまねきます

【小説】本の虫と本を読まないその彼女

彼と彼女が帰ってきた。
ドアを開けて荷物を下ろす。彼女は腕いっぱいの野菜と肉と米。彼は腕いっぱいの本。
ただいまおかえりとお互い声を掛け合って、一息ついた二人は荷物の整頓にかかる。

彼女は冷蔵庫をあけて、手当たり次第に成果を詰め込む。野菜は野菜室に、肉は冷凍庫に。はみ出た野菜を惣菜と一緒に店に押し込んでドアを締め、米は冷暗所に放り込んで終わりだ。
毎週一度の買い出し。そのたび食料庫はいっぱいにな

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ひみつ:アイコンのねこはまるねこといいます
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【小説】蠅とビスクドール

私の可愛い赤ん坊 琥珀の瞳に金の髪
抱き上げる手を求めては 部屋をよちよち這い回る

私の可愛い赤ん坊 一人で寝るのは寂しかろ
可愛いあなたにそっくりの 可愛い人形あげましょう

私の可愛い赤ん坊 ビスクドールが大好きで
手をつないだり咥えたり まるであなたが二人いる

私の可愛い赤ん坊 そそっかし屋のおしゃまさん
ちょっと離した目の隙に ベッドの柵を抜け出して

私の可愛い赤ん坊 よちよち歩きを

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(うれしがっている)
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