見出し画像

Hamee(東1/3134) 社長交代を読む

 Hameeから代表取締役の異動を含めた改組に関するリリースが出ています。このタイミングでの社長交代に驚きました。本決算があと少しで閉じるタイミングで、決算等のリリースがあるわけではありませんが、翌期からの新体制について記事にして確認しておくことにします。

 なお、前回の決算精査記事はQ2の時でした。以下引用しておきます。

 まずは代表取締役異動の件です。

画像1

 創業社長の樋口さんが代表権を持ったまま会長職となり、実質的なNo.2であった水島さんが代表権を持ち社長へ就任するという内容です。水島さんは、足元ではコマース事業のグローバルを中心に展開を進められていますが、元々は横浜銀行の行員からHameeに財務の専門家としてIPOのため転職されてきた方です。社長と二人三脚でこの会社を上場させ、今後の成長を牽引させてくれる存在です。その意味から社長昇格は規定線だと思います。
 一方で、中計の途中のこのタイミングでの人事ですし、この会社の規模で代表権をそれぞれが持つというスタイルが最適だと判断されたのはどういう経緯なのかと興味深いなと思います。
 ちなみに水島さんは小田原出身で小田原高校から慶應義塾へ進学されていますが、樋口さんとの出会いは、小田原の塾の先生の紹介だったそうです。ステップだったら面白いなと、ステップの株主として思ったのであります(笑)。

 ちょうど、樋口さんと水島さんの対談記事が最近UPされていました。この記事はHameeに関心がある方であればご一読をお勧めいたします。この記事の中で、「社長」への思いの部分にフラグがありましたね(笑)。

 総会での印象の樋口さんは飄々としていて、あまり情熱というものを直接感じることがないのですが(失礼)、こういった対談を見ていると改めてとても素敵な方だなと思います。ベンチャー気質が高く変にイケイケという感じもないですし、意識高い系の背伸びを周りに促すようなテンションでもありません。その人自身をとても尊重されているし、もっと創業社長らしくリーダーシップを発揮すればいいのに、そういう強いものをあまり感じないのは押しつけをしないということでもあり、それはとてもいい面なのかもしれません。組織としての意義みたいな所を大切にされていますよね。

 そして今回の件でメッセージも出されています。個人的に特に印象に残った点を赤線を引いています。

画像2

 重要な経営判断やカルチャー醸成に重きを置き、執行責任を全て水島さんに委譲し、更に組織作り全般も任せるという事ですね。創業者である樋口さんに代表権を残していますし、当面は実質的な社内オペレーションは変わらないかもしれませんが、稟議等の煩わしさは同社は相対的に低いでしょうから、そういう弊害を抑制しつつ、新しい組織やマネジメントを作っていくいい機会になればいいですね。個性を活かす組織作りやそこから時代を先行した創出を企図している事が良く伝わるメッセージだと思います。事業を育て、会社組織をそれぞれの個別最適で醸成させていくチャレンジを図っていくことは、足元のスマホケース商材をうんぬんするという枠組みとはまるで違った所を見ていますし、プラットフォームでECの風に乗るとかよりも更にもっと違う次元での将来展望をみています。ですからとても抽象的だともいえます。この辺りをどう捉えるかは投資家のスタイルによっても大きく賛否は分かれそうだとも思います。

 某ファイナンス掲示板には、樋口さんが少し株を売ったからと失望を超えた中傷のような書き込みもありますが、私はこれもいい事だと思っていました。人によっても受け取り方は変わるものでしょう。今回の社長退任だって、きっと多くの非難もあるかもしれませんね。見方によってはエグジットして逃げた、みたいな印象もあるかもしれませんが、私はもう少し色々な事に思いを馳せてみるとそういうことではないのだと素直に受け止めています。

 それぞれを尊重する文化がある中で、2代表制であることが、経営層と現場社員の双方にとってどういうメリットデメリットがあるのか、そして、そのデメリットをどう抑制し、メリットを活かすのか、今後の新たな体制構築の中で留意したい事はぜひ生で聞いてみたいです。

 それから、Hameeにとって自律性や多様性というものをとても大切にしていると思料されるわけですし、それが「クリエティブに魂」に繋がっているわけです。これは同社のアイデンティティのようなものですが、これまでの創業社長としてどういう点を大切にされてきたのかを踏まえ水島さんにどういう変化と踏襲を期待しているか、また水島さん自身が踏襲したい、あるいは変化させていきたいと思っている所をそれぞれ聞いてみたいです。ここは総会用に大切に温めておきたいと思います(笑)。

 また、今回は社長人事以外に組織改組のリリースも出ています。

画像3

 かねてよりデータセントリックな世界を創ると頑張っていましたが、DXマネジメント室を新設します。この辺りはまだまだスピード感が足りない部分でもあり、ぜひ推進してもらいたいですね。この部署は、具体的な案件を手掛けるというよりHameeの中で事業創出の環境を整える、あるいは立ち上げ時のマネジメント支援の側面が高いですね。

 そして個人的には驚きのHamic事業部の組成です。Hamicといえば、最初に子供の見守りスピーカーのHamicBearは開発の遅延もあり苦戦することとなりました。そして次のチャレンジとしてHamicPocketを直近でリリースしました。ただ、スマホ市場が大きな変化にある中で、価格訴求力の面からも環境は逆風な気もしていて、どうも投入タイミングが不遇もあっての事ですが懸念をしています。そんな中、事業部化ですよ。ということは、ある程度事業化が収益上も育ってきているとみる事も出来ますが、流石にそんな状況ではないと思うのですよね。どういう状況なんでしょうか。

 企業経営のレジリエンスを高める組織としてSX室ですか。レジリエンスって心理学の言葉だと思っていますが、逆境に打ち勝っていくマインドセットのようなものですよね。まぁ新しいチャレンジを重ねていくHameeには欠かせないものかもしれませんね。

 テックブリッジは名前の通りで、技術者の横ぐし組織のようなものですね。どうしてもこの界隈の技術者は自分の特化した技術を深化させる事には長けていますが、そのシーズをうまくインテグレートしていくことに意識が向きにくくなりがちです。視野を広げて技術ドリブンに特化し過ぎないという意味でもPF事業全体を俯瞰しながら連携を促す組織の組成はいい取り組みだと思います。

 組成された各所掌は兼務ですね。Hamic事業部の事業部長人事はないんですかね(笑)。人材を育てるという意味でもそれぞれに意義を持って組成した事と思うので、一人称で対応していけるよう、兼務ではない室長を任用してもらいたいですね。恐らく総会で新経営体制の際に出ると思うのですけどね。

画像4

 続いて執行役員人事です。

画像5

 これは個人的にとてもうれしい人事です。冒頭の直近決算記事でも言及していましたし、以下のツイートでも退職をされてしまったのかなと心配していました。

 冨山さんはCFOでIR責任者を離れ、元々横浜銀行でも経験されてきたVCに近いお仕事をされていたのですね。そして再び執行役員に戻ってこられました。元々CFOの頃の執行役員であられたので、何かしらご事情があったのか一度離れ、再度任用です。これは嬉しいです。総会の時に改めてご挨拶できるといいのですが…。なんにしてもIR担当としてIR照会への対応など、本当に的確で丁寧でした。現職の櫻井さんにもぜひ期待をしたいと思います。

画像6

 樋口さんがこのタイミングで退任は驚きましたが、私はとても単純で基本的に受け入れやすい性格なので、素直にHameeの今後を思うと一連のリリースの内容をポジティブに受け止めています。
 そしてこの新たな体制にシフトするにあたり、経営メンバーはもちろん、現場の方々もそれぞれに思いがあると思います。そういった思いをいい方向に向けて、課題でもあるスピード感のある新規事業投資に是非邁進していってもらいたいと思います。新社長の水島さんは総会でも何度か答弁に立たれておりますが、その限られたシーンでも優秀な方だと認識していますし、引用の対談記事でも樋口さんとの二人三脚のバランスもよさそうなので、ぜひ会社をいい方向に導いていってもらいたいと思います。

 今年は総会で祈祷をご一緒したり、また社内を巡らせてもらえる機会に恵まれればいいのですが、コロナ禍の下、難しいかもしれませんね。

 頑張れ、Hamee!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?