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ステップ(東1/9795) 株主総会レポート 2019/12/14

東証1部上場のステップの株主総会に出席してきました。株主総会の様子について、当記事にてご紹介したいと思います。なお、全文に渡り、私の心証に基づき脚色されており、意図せず誤認している可能性もあり、正確性が担保出来ない点はご容赦頂ければと思います。なお、ステップ社の概要は以下の記事にて纏めておりますので、併せてご参照頂ければと思います。

当記事は同銘柄の売買を推奨するものではありませんが、株主総会の読み物として、また同社の理解に繋がれば幸いです。加えて、お気づきの点などあればぜひツイッターブログにてコメント頂ければ幸いです。


0.基礎情報

 まずは当日のタイムテーブルです。手元の時計での測定です。
  10:00 定刻にて開会 (社長 龍井氏)
  10:02 株主数・議決権数の確認
      →1,816人/5,552人(32.7%)
      →134,213個/165,039個(81.3%)
  10:03 監査報告 (常勤監査役 上田氏)
  10:05 ①決算報告 (財務部長 今野氏)
  10:13 ②小中学部の事業報告(専務 遠藤氏)
  10:33 ③高校部の事業報告(取締役 大黒氏)
  10:54 ④労災問題の経過報告(社長 龍井氏)
  11:00 ⑤その他全体現況報告(社長 龍井氏)
  11:20 ⑥質疑
  12:23 質疑打ち切り・議案上程
  12:25 議案決議
  12:26 遠藤氏挨拶
  12:29 龍井氏挨拶
  12:30 閉会  

 会場は今年からステップ本部のすぐ裏にある商工会議所のセミナールームです。席数は約230席程度が用意されていたかと思います。昨年までのステップ本部では概ね100人超でいつも満席状態であり、今年は社長交代もありさすがにキャパオーバーという判断だったのだと思われます。

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予告通り、9:30ぴったりに受付開始です。私は張り切って今年も早く到着してしまいましたから、暫くロビーで過ごしましたが、スタッフの方々が慌ただしく準備されていました。途中、社員の方からもお声がけ頂き、ご挨拶もさせて頂きました。何より、ビルに入館した時に、いきなり新社長の遠藤氏とエレベーターをご一緒し、早いですね~とお声がけ頂き、また早過ぎる到着に恥ずかしくなりました(笑)。でも陽気にお声をかけて下さり明るく元気でいいな~と思いました。新社長となる区切りの時ということで変に肩の力が入るわけでもなく自然体(であるようにみえる)なのもまた良いですね。

いつものように後列には背広族の方が早々に陣取られ、個人投資家は前の方から順に席が埋まっていきます。他社と違い前列から埋まっていく様相は、結構珍しいような気がします。だいたい真ん中から後ろにかけて埋まっていきますからね。そして、最終的に見渡してみた感覚では9割方の席が埋まっていたようですので、やはり昨年に比べても相当参加されている方が増えたのだと思います。

受付では、総会の事業報告に使うプレゼン資料の紙資料やアンケート用紙のほか、お土産の鎌倉のお菓子(レ・ザンジュさん)とペットボトルのお茶が入った紙袋を頂きます。昨年のお茶はどこかのPBでしたが、今年はコカ・コーラの綾鷹ですね。どうでもいい情報ですね(笑)。

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そうこうしていると開会の10時の3分位前に、役員一同入場です。一礼をして前方に着席されます。いよいよ開会です。

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① 決算報告

 基本的に決算説明資料の内容に沿っての説明です。
 新規開校スクールの紹介では犬蔵スクールはコンビニ跡地での開校であったり、大学受験としては4年ぶりとなる横須賀地域の新規開校などがあった旨の報告がありました。
 その後は損益計算書や貸借対照表に沿った説明です。今期投資投下にあっても僅かながら営業増益なので、19期連続の営業増益ですね。凄いです。
 この他、説明の中で高校部で新設した横須賀校について、募集が好調である旨の報告もあり、新たな校舎の立ち上がりも順調ということで嬉しく思いました。

② 小中学部の事業報告

 遠藤氏が登壇しますが、生徒を前にした時の活気あるライブ授業の様相のテンションの高さです。先生として生徒からの人気が大変高いと伺っていますが、声のトーンや盛り上げ方などご本人なりに工夫されているのだろうと思います。終始楽しくお話を伺うことができました。話の構成も事業報告となるとお堅くもなりそうですが、時間割になぞらえて、5時間目の授業までをこなしていくようなストーリー仕立てになっています。章の区切りごとに、キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴ります(笑)。
 1時間目は「昨年の株主総会の復習」というタイトルです。ポイントとしては、横浜・川崎戦略の推進を頑張ると宣言し、大きく以下の点に取り組むと目標設定した旨のご紹介です。

 ・2019年春 横浜市内旧学区TOP校の合格実績No.1
 ・2020年春 横浜翠嵐高校の合格実績No.1
 ・合格者数実績だけでなく教務力を高め、合格率にも拘る

 キーンコーンカーンコーン。
 2時間目は「昨年の株主総会の答え合わせ」です。

 ・2019年春 横浜市内旧学区TOP校の合格実績No.1    →達成!
 ・2020年春 横浜翠嵐高校の合格実績No.1        →達成!
 ・合格者数実績だけでなく教務力を高め、合格率にも拘る →達成!

 他にもMARCH付属校合格実績No.1なども満たし、横浜翠嵐高校は2020年も1年前倒しで達成ということになりました。

 合格率については、県内全体の受験倍率は1.19倍だそうです。そんな中、横浜翠嵐高校は1.84倍と高倍率となっており、そんな高倍率の中で、横浜翠嵐高校のステップ生の合格率は82%と突出して高かった(ステップ生以外の合格率は46%)ということです。この実績によって、横浜翠嵐高校を目指す新中1生からの希望が増えて、横浜北部や川崎地域での生徒募集の良い波が来ていると手応えを感じられているようです。但し、現中3生と現中2生はまだ湘ゼミが1位だった頃の母集団であるため、ここでステップの教務力を活かした連続No.1実績を出し、現中1も含めて3連勝し、名実共に確固たるブランド化に繋げていきたいということでした。

 ステップは横浜戦略としてTOP校戦略が前に出ているため、上位層向けに注力した塾なのかと誤解を受けることもあるようなのですが、実際にはそんなことはないというご説明がありました。その論拠として、各スクールの時間割編成を作る際には、各スクールの教室長が一番基礎のクラスを受け持つという決まりになっているようです。つまり、教えることにおいてのベテランでもある教室長が、敢えて上位クラスを担当するのではなく、基礎クラスの底上げを図ることで、上位校注力ということではなく、基礎的な生徒を中堅から準TOP校などの希望する学校へ入れるということに注力しているという現れだよ、という説明ですね。上位の生徒にも魅力と感じてもらいつつ、基礎的な生徒にとっても愛されるという学習塾であり続けたいということでした。ただ、この教室長の下りについては、少し理解が及ばない所もあります。教室長は実際には教える事に注力出来るステップの環境にあっても、最低限のスクール運営上の管理業務も担っていることになると思われ、リソースがそちらに割かれる分、基礎クラスを受け持つことでバランスを取っているということなのでは?という率直な疑問も生まれました。この辺りは、どこかの場で真意を確認したいと思います。

 キーンコーンカーンコーン。
 3時間目は「小中学部の生徒数」です。小中学部の好調の一番の要因は、10年超の校舎の生徒数が減っていないということで、10年未満の校舎の純増積み上げ分がそのまま全体の押上げになっており、継続的に生徒数伸長に繋がっているという説明ですね。そして10年超の校舎の生徒が減っていないどころか、橋本校では開校24年目で過去最高、厚木は31年、海老名34年もいずれも過去最高更新をしている校舎が多数ということです。これがステップの強みの表れであるとアピールされていました。

 また、2020年開校予定の校舎の説明です。海老名扇町スクールは、再開発された地区に立地するもので、その街並みがドラマの撮影にも使われていて、この建設中のステップの校舎(看板)も少し映っているようですね。近隣の校舎が満員という事情もあるようで、既に電話の予約だけでも多数入っているようで、開校前から手応え十分ということですね。
 2つ目の生田は川崎の6校舎目の校舎ということです。生田駅の目の前という好立地を生かし、今後の横浜・川崎戦略のドミナント構築の先端として進めていきたいという想いのようですね。
 ステップキッズは旧辻堂北スクールを改装しての開校で準備を進めているようです。茅ケ崎は建設中のようですが、そのすぐ裏は茅ケ崎校とHi-STEP茅ケ崎が隣接しており、空中の渡り廊下で繋がるようなイメージで建築中らしいですね。

 キーンコーンカーンコーン。
 4時間目は「小中学部の取り組み」です。外部講師を招き、講習会を行ったようです。先生の質を高めるという活動の一環ですね。以下のようなテーマでの講習会を行ったようです。吃音の時には、一般からの参加の受付の呼びかけもあったかと思います。(かこつけて勉強しに行こうと思ったのですが、本業がどうしても外せず・・・)こういう学習指導には直結しないものの、子供の発達や個性に寄り添うための勉強や環境の俯瞰といった教師の底上げもぬかりないということですね。

 ・神奈川の入試制度の背景と大学入試との関連
 ・現代の精神医療の課題点
 ・イップスは治る
 ・吃音臨床の現場から 

 この講演会の様子の切り取り映像の紹介があります。このほか、室長会議の様子、高校受験ガイダンスの様子、そして授業の様子の動画もセットですね。

 キーンコーンカーンコーン。
 5時間目は「体育!?」です。ここはまぁひねり出した感じですかね(笑)。神奈川フューチャードリームズというプロ野球の独立リーグの運営母体は釣り具のタックルベリーで、ステップもオフィシャルスポンサーとして応援することになったそうです。認知度向上策の一環ですね。生徒は口コミで広がっているもので販促費も抑制されているわけですが、一方で人材獲得面が課題ですから、いずれにせよ社会人に認知度が広がる施策は必要だと思いますから、スポンサーというものを介してうまく活用できるといいですね。

③ 高校部の事業報告

 受験制度は英語の民間試験の導入見送り等、色々バタバタしているところだが、高校部の状況についての説明に移ります。

 生徒人数については順調に伸びているようです。横須賀校の新設もあるが、それ以外の校舎の寄与も背景にあるようです。学年別でも、高1生が+19.3%、高2生+8.5%と伸長率が高くこれは来年に繋がるよい流れになっているとのことです。なお、高3生も+5.3%でこちらもまた強いですね。
 効果的な集約という面からすると高2生が伸びてきているので、予備校と並べて選択肢のひとつにステップも入ってきているという現れでもあり手応えを感じられているようです。今後、神奈川県下においては、大手予備校を凌駕する選択肢の存在となれるよう、注力していきたいそうです。

 校舎の経年別のトレンドとしては10年超の校舎においても+8.8%となっており、まだまだ成長途上の状況にあり、成長余地が沢山あると考えられているようです。認知され、合格実績が地域単体で比較した時に、いよいよ大手予備校と遜色ない(どころか抜いてしまう)ところまで来ているわけなので、当然、認知度や訴求力の高まりによってまだまだポテンシャルがあるというのはごもっともな説明かと思います。

 合格実績については、特に私大については、定員厳格化の流れの影響の中で伸ばせたのは大きな成果との見解の一方、国公立については、地方学生の動向(つまり関東圏などの大学に通いたいという機運)によって、多少上下するそうで、若干減らしているという弁明でお話をされていました。

 また合格実績で大手予備校と比較する際にも、ステップは主に公立高校の生徒が母集団になっている一方で、大手予備校は上位私立校も多い中での比較なので、やはりそこにあっての実績と考えると健闘しているというのが担当役員の大黒氏の見解のようですね。

 定員厳格化によって私大は定員を大きく超過することはけしからんという制度で補助金を絞る政策になっているようですね。大きな私大でいうと、定員の1.1倍を超える生徒を入学させることで、補助金がなくなるという恐ろしい罰ゲームのようで、合格を出すのを躊躇してしまう、みたいなことが起こりそうですね。早慶上智+MARCHで年間2万人の合格者が減っているようです。これは、MARCHの大学が丸ごと1校消えたくらいのインパクトのようですね。そんなこんなで受験生が色々な大学を受けるようになって、結果、私大全体の合格偏差値があがっているみたいですね。東京都心の大学に通いたいという想いが強く、また定員厳格化で本命校が難しいとなると、併願校もレベルを下げる傾向が強まり、すると偏差値があがっていく、みたいなことになってるようです。日東駒専が旧水準のMARCH相当まできているようです。この辺りは実際の定量評価のスライドもあり客観性が高い説明だったと思います。

 速報として途中顧客満足度調査の結果も発表されていました。3冠達成ということでおめでとうございますね。しかも大学受験は大手予備校をさしおいて、全国で断トツトップだったようですね。

 途中、英語の授業の様子なども映像で紹介されていましたね。
ちなみに教師陣は英語教師34人いらしゃり、英検1級取得が13人、TOEIC900以上は10人、その他の教師も準1級又はTOEIC850以上を取得済のようです。

 民間テストの延期について、ステップ生にもアンケートを取られたようですが、概ね良かったと受け止めているようですね。詳細のコメントも紹介され、笑いも生まれましたが、ここでは表記は割愛します。
 いずれにせよ、ステップ教師陣としては、どんな改革や制度の変更があろうとも、本質的な教育指導をきちんとできていれば、どんな対策にもすぐに対応できるという体制を作っておくこと、そのための本質的な学力を教師が妥協なく提供し続ける質にこだわるという方針で今後も運営されていくとのことでした。

 また、高校部が目指す姿としては、映像授業も既に存在している。ここと連携を強化したり、AI教材も導入していきたいと検討をされているようです。しかしながら、基軸となるのはライブ授業とのことです。昨今、神奈川県下のライブ授業の塾が消滅してきたりもしているそうです。そんな中で、首都圏でライブ授業をやる塾として突出して差別化していきたいという狙いがあるようです。

 最後に高校部の日常の授業の1コマと合格発表の報告に来た時の喜びの様子の映像ですね。合格発表の瞬間の様子はなんか見ているだけで嬉しくなりますね。

④ 労災問題の経過報告

 昨年の労災認定に係る件についての経過報告がありました。労基所からの会社へのご指導があり、いずれも早急かつ全面的に対応を進めてきた旨の経緯についてお話がありました。詳細についてはこの場では割愛します。会社として、株主に対しては心配をかけて申し訳ないという件でのご報告でした。

⑤ その他全体現況報告

 まずはキッズ部門です。授業の様子からですが、子供には凄い可能性がありますよね。毎年拝見する様子から本当に感心をしてしまいます。

 キッズ部門は第一に「安心・安全な環境」を提供することを掲げています。そのうえで、強力なコンテンツによって、家庭ではなかなか対応が難しい才能を発揮・開花させる機会を提供できることを促していくようなスタンスです。記憶では昨年は「安心・安全」という事が全面には出てなかった(もちろんそういう方針ではあったと思いますが)中で、今年はこういうトーンということは授業中のけがへの対処の懸念などの質問も昨年出ていたので、そのあたりを配慮しての前面明文化といったところでしょうか。

 子供は自信を持つと伸びる、子供のポテンシャルは計り知れない程に大きいことから、それを最大限伸ばすオペレーションもこの4年で習熟させてきたようです。茅ケ崎と辻堂を新規開設するにあたり、藤沢で既にスタッフのOJTを通したノウハウ共有も進めており、教師集団のスキルネットワークを構築し、ゆくゆくはキッズのネットワーク化を進めていきたいようですね。但し、一番のネックは人材獲得のところです。既存の教師陣のそれぞれの得意分野を生かす中で強力コンテンツを運営出来ればいいのでしょうが、規模が大きくなるとなかなか難しい面もありますからね。最近、キッズの採用募集も出ていますが、案外ダンスとかボルタリングとかニッチなものを極めた方が、教育者として採用に応じてくれることもあるのではないかと思うので、そういう人材を発掘できるといいですよね。少なくても足元はそういう応募もきているようですからね。卒業生などのツテもあるでしょうから、ぜひ人材獲得のネックを克服し、各地で開設を待っている声もあるようですから、ゆっくりと広げていけるといいなと期待しています。

 この他、昨年での開示依頼があった小中学部と高校部の利益率の違いについても定量的な分析の解説がありました。結論としては、今年は小中学部で投資投下があったため利益率が下がっているとはいえ、同一水準の利益率になったという解説でした。もちろん、投資投下を除くとまだ小中学部の方が若干利益率がよいようですが、これも埋まって概ね平準化するものと思います。(定量データはここでは割愛します)

 以上、各セグメントのサマリとしてご説明されていました。

【小中学部】
 横浜・川崎戦略を更に強化し、横浜・川崎地区にブランドを作る。この先3年の実績を固めることでこれを岩盤なものとしていく。
【高校部】
 ステップの大学受験部門を人材力・教務力を基盤にしたライブ授業を磨き、この先5年を目安にその雄として育てる。なお、この5年に明確な根拠はない(笑)。
【キッズ】
 ステップキッズは県内に15-20校のネットワークが構築できる。10年で県下ネットワーク化の構築を進めていく。ひとえに人材育成にかかっている。中学や高校の先生の目線で子供の可能性を早期に見出すノウハウという観点で育成が奏功し適用出来れば画期的な学童が出来ると考えている。

⑥ 質疑応答

質疑応答の内容です。質問内容、答弁共に概要のみの記載としています。また、繰り返しになりますが、私の解釈が誤っている点もあると思いますがご容赦下さい。★印は私が質問した内容です。

Q)社外取締役の木島氏から見て、社内取締役の評価を教えて欲しい。

A)まず元湘ゼミの創業者をしていたという自己紹介の下りですね(笑)。社外取締役として一番の役割は「客観視」だと思っているとのことです。湘ゼミの頃からずっとステップが良い塾だとずっと思ってきたそうですが、一方でライバルとして戦う対象であったわけですね。そんな自分だからこそ、外からの目でステップの良い部分を客観的に捉えることができるという説明です。生徒本位で営業管理から教師を解き放つことでエネルギーを全集中できるところに横浜翠嵐の成果の差が現れてきていると考えられているようです。今でも周囲から様々な情報を得ながら客観的にデータに基づき分析もしているし、それを社内取締役に提言もできるとご自身を僭越ながらと謙遜しつつ自信をもって答弁されていました。もうマイクを話しませんね(笑)。とにかくよくお話になります。

Q)女性として昨年取締役に選任された森本氏はどのような職務執行を行ってきたか。

A)20年社員としてやってきたそうですね。この1年は勉強になる1年だったということで、ここは差し支えない答弁ですね。視野を広げ機会を頂いたということで、スタッフとのコミュニケーションを積極的に取るようにして、現場の様々な声に寄り添うように努められてきたようですね。女性というわけではないですが、うまく現場の声を拾っていく役割を深めていきたいという趣旨と受け止めました。

Q)遠藤新社長の公約は?

A)後ほど一括して豊富として回答してもらうようにしますとのことです。ここは事前にそのようにしようと考えられていたような気がします。

★Q)人材獲得・育成については、従来のリファラル採用やインターン等の応募を待つという受動的な対応に留まらない能動的な採用活動も人材獲得競争には必要と思うが施策について教えて欲しい。

A)とにかく質を磨き高める必要があるため人材獲得がなければ成長はないとのことです。既に新卒採用のピークを迎えているがもちろん100%順調という状況ではないという率直な状況があるようでして、新卒は若干計画を欠けつつある中で、教える事に専念できるという訴求力から中途採用の動きは活発のようです。また現状注力しているのは、OB採用のようです。キッズ、チューター、キャストの採用においては、4割程度が現状でステップ卒業生のOBからの採用のようです。毎年何千人という卒業生がいる中で、彼らの中で教育系の志向がある方に向けてメッセージを発信していきたいと考えているようです。

★Q)横浜・川崎の出校戦略は統計データから概ね20-40校程度の出校余地がまだあるものと思うが、今後どのような出校をイメージされているか。

A)小中学部で160校程度は余地があるものと捉えているようです。(現状130校ですから+30校ということで、やはり事前の定量イメージにも合いますね)また、社員数については、1000人程度を天井として考えているようです。これも以前にも仰っていました。一同に介してコミュニケーションを取れる限界みたいな感覚があるようでして、その根底には肥大化した組織は質が後退するというお考えがあるようです。では人員が校舎といった拡大戦略がどこかで止まるのではないかという疑問に対しては、量から質の強化により特化していくようです。これだけ質にこだわり、好実績をたたき上げ続けているステップではありますが、それでも課題は満載と語られていました。

★Q)社長交代にあたり、これまでのステップを変えずに「ゆっくり急ぐ」のもとに生徒本位の経営を続けていくと思うが、敢えて今後変えていきたいと思っていることがあれば教えて欲しい。また、龍井さん自身が今後変えていって欲しいと託したいものがあれば教えて欲しい。

A)最後に豊富の所で一括して挨拶とさせて欲しい。
(ここは結局具体的に変えたいことは語って頂けませんでした。まだ自分の色を出せるタイミングではなかったので、来年再度ぶつけてみたいと思います)

Q)新高1生の生徒数伸長率が+19%とのことだが、中3からの持ち上がりはどの程度の割合であるか。

A)概ね25%程度であるようです。校舎が小中の地域にもっとあればもう少し持ち上がりもあるかもしれないようですね。まだ校舎数が少ないですからね。各学年におけるざっくりとして内外からの比率も答弁されていましたが、即答していてびっくりしました。結構頭に数値を持っているようですね。

Q)子供の教育上のデータは重要な個人データに当たるが、神奈川県でHDDの消去が不十分で復元できてしまうなどの問題が生じているが、ステップではどのように成績データ等の管理を行っており破棄のプロセスをどう行っているか。

A)専門の業者に委託して破棄しているのが実情であるので、そこは改めて確認を取るようにするとの答弁でした。そのうえで、そもそも子供の教育データはスクールのPCには保持しておらず、本部のクローズドネットワーク(インターネットなどに繋がっていない環境)にのみ管理して置いているようです。したがって、ありていにいえば、生徒の教育データの流出リスクは低いとは思うのですが、やはり心配になる気持ちはわかりますね。

Q)小中の利益率が減り、高校部が上がってほぼ同水準とのことだが、どの程度まで利益率を伸ばせる要素があるのか。また小中学部の利益率が減っているのはなぜか。

A)現状25%程度なので概ねこの程度かなという感覚があるようです。元々は営業利益率が20%を確保したいとの方針でしかからね。小中学部は決算報告でも説明があった通り、売上原価に賞与支払いなどの投資分が乗っていますからね。特別賞与とあったので、営業外費用だと質問者の方は思われ、営業利益には影響しないでしょ、と思ったようですね。

Q)この10月に消費税増税分の価格転嫁を行ったが、影響はどのように出ているか。

A)影響はほぼないようです。その上で、値上げについて、何件かからはクレームみたいな話があるだろうと覚悟していたそうですが、4月から周知徹底を図っていたことも奏功し、苦情などの問い合わせ系は0件で値上げに踏み切ったそうです(といっても消費税増税分のみですが)。

Q)湘ゼミ経験の木島さんから見て横浜翠嵐はあと2つ勝てるのか。

A)ステップとそれ以外の塾において、先生の情熱の温度感が全く違うと感じられているようです。特殊試験対策はつまるところ、教務力の差が如実に出てくる中で、その差が歴然としていることを実感されているようです。また、受験指導という面でも競合は課題を抱えており、逆にステップがきちんと進路指導を実直にやれば泣く子が減るということもわかったこともあり、益々躍進すると思うとのことでした。ここらで色々●人くらいはいけるとか、あくまで木島さんの個人的見解で好き勝手話されていました(笑)。本当に楽しそうによく話していますね。結果として、遠藤さんらにはっぱをかけるような話になってしまいましたね。龍井さんも最後はもうここらへんでとマイクを奪うということで面白い光景でしたね(笑)。ただ、やはり相当な質の強化によってだいぶステップは優位なのかなと感じました。もちろん、合格実績はそんなに油断してよいものではないですし、何より生徒自身のひとつの人生のターニングポイントになるものでもありますから、あまりにとらわれすぎないようにしないとならないなと思います。

Q)キッズは横浜でもニーズがあると思う。早期にスピード感をもって出校を進めて欲しい。

A)キッズは小中学部のネットワークがあるところから出していく必要があり、理解を求める答弁でした。人材も有効活用ということですかね。いきなり小中学部も薄い横浜北部はまだ相当先になるのではないかなと個人的には思っています。

Q)龍井氏一族に資本が集中する中で、どのように資本移動をしていく方針なのか。

A)世代交代は大きな問題だと受け止められているようです。毎年この手の質問は出ますからね。中萬学院が静岡大手の会社に移動するということもありますし、ファンドが資本を握り、経営が傾くみたいな話はよく聞く話ですよね。ステップは情熱ある先生が集まり、ノルマに縛られずに自由闊達に生徒本位で対応されている中で、資本の力をどう移動させていくかについて、基本的な方針は「所有」と「経営」を分離するということのようですね。よきオーナーとして子孫に残し、経営は委譲して任せるという仕分けが必要という理解なのだと思います。そう捉えると、龍井さん一族に相続され、一方で、大株主として保有はするものの、経営は経営に任せるということなのだろうなと思います。安心してくれということで、まぁきちんと考えているよというメッセージですね。

Q)中小一貫校への考え方や制度について教えて欲しい。

A)スタンスとしては合格のために全てを投げうってというスタンスはとっていないですね。適正検査の問題は総合的な教養が前提となっている問題で、生徒の一定の能力を有し、成長が早熟な生徒には向くが、それが向かない生徒もまたいるわけですね。成長段階に差があるために総合的な学習を楽しむことを第一に大事にしてあげて合格ありきではない知性を広げるというところに関心を寄せていくことで、仮に不合格になっても本人がぼろぼろにならないよう、受験勉強も財産になるようなスタンスでやっていくとのことです。私は児童心理学や発達については自分の子でも大変苦労しているところもあり、この心や個性に寄り添った考え方というところは大きく賛同するところです。

その他コメント)
 ・合格実績に連続回数も掲示して欲しい。
 ・ステップの力で神奈川の学力を上げて欲しい。
 ・週刊ダイヤモンド12/7号が最強投資家の狙う割安株を読んで欲しい。

⑦ 挨拶・懇親会でのトピックス

 遠藤氏からの挨拶は、率直な挨拶で、公約も変えたいという具体的な内容にも言及はありませんでした。創業以来、ステップの根底にあるのは生徒への熱い思いであり、生徒ひとりひとりの目標を第一に寄り添っていくのことは変わらずやっていくとのことです。真新しい公約はまだないようで、現在の延長で対処すべき課題やその先にまだまだ目指さないといけない目標があるので、横浜翠嵐3連勝というものに向かってまずはまい進するのみですね。横浜・川崎にブランドを作り、県下を圧倒していくことを全力で取り組み、その目標がみえたら、また改めて宣言していきたいということでした。

 龍井氏からの挨拶は、社長としてやってきたものを後進へ渡すということで、私が想像できない苦楽があってその一つの区切りを迎えるわけですね。物語を想像するとちょっと泣きそうになりましたが、ユニホームを脱ぐという表現がなんとも複雑なキモチになりますね。もっと続けて欲しい、でもどこかでユニホームを脱ぐという決断も必要なわけですね。そしてユニホームを脱ぐということに放り投げるのかとか、新社長の手腕は大丈夫か?みたいなことを言っちゃう人も出てきてしまうのかもしれないなと心配にもなります。龍井さんが創業して大事に育て、かわいい生徒がいて、その生徒が教師になって活躍して、そういう組織の一線から退くという時に、そんな生半可なことをすることはないと私は信念を持っています。これからも代表権を持って会長職を続けるわけですが、それでもあえてこのような表現をされたのは、遠藤さんをはじめとした後進者へのメッセージでもあると思うのです。とても色々な事を考えさせられる挨拶でした(良い意味で)。

懇親会ではソフトドリンクとちょっとしたお菓子が振る舞われ立食形式ですね。各役員に色々お話をさせて頂きました。いくつかメモを残しておきます。

・配当性向ではなく安定配当をより前面に出すためにDOE目標を設定したらどうか。EPS安定しているもののBPSで配当拠出を決めることでより安定配当へのコミットが強まるとの思いをコミュニケーションしました。

・生徒単価については、現状から大きく伸ばす想定はなさそう。というかそこまでお金のことを先行して考える文化ではないのですよね。

・高校部出校については、今後も4年程度に1校程度で人材とのバランスを見ながらの出校としていきたい。具体的に出校したい場所も色々仰っていましたが、記載は割愛します。少なくても余地がないというトーンではないようですね。

・横浜・川崎は家賃相場がより高いため、それを吸収する料金テーブルを作ってもいいのではないかと議論。そもそも需要が強い地域などでは需給バランスからも値上げもありだと思うのですが、まぁやらないですよね。消費税増税分の改訂だけやってもちろん便乗値上げとかしないんですからね。

・働き方変革による労務管理の窮屈さへの社員の不満への対処に対して意見交換しましたが、どうしてもジレンマなんですよね。

・特色試験対応校はこれ以上は増えない。

・遠藤さんも実際は翠嵐行けると思ってただ立場的に保守的にならざるえず、来春という目標を掲げていた。(楽観的な部分と保守的な部分の両面を持ち合わせているのかもしれませんね。バランスあることは大事ですからね)

・人材獲得についてOB採用というのであれば、採用期からリーチするとどうしても採用色が出てしまうため、1年生とか2年生の頃からリーチするのもいいのでは。例えばステップが同窓会を主催してしまうとかですね。
それぞれ異なる大学に進学して疎遠になりがちであってもステップの呼びかけで受験を共に乗り切った仲間同士が集まることで生徒は気軽に集まりやすいし、卒業生と塾という新たな関係性の中で、例えばバイトの斡旋や、早期に就職の候補先として普及活動をしていくことは有効なのではないかなと思います。SNSの時代ではありますが、ライブ、対面を大事にしているステップですから同窓会も就職への流れもなんか温度感のあるスキームを作っていくことで囲い込みというとよくないですが、自然と興味・関心がよるみたいなところもあるのかなと思います。この辺りはジャストアイデアをぶつけてみましたが、もう少し考えを纏めてもっといい提案ができるといいなと思いました。

⑧ 所感

生徒本位から外れたり、欲目をもってスピード感を踏み込み過ぎたら危険信号なのですが、今年も全くそんな兆候もないですね。生徒本位は益々その質の向上への取り組みに磨きがかかっているようです。スピード感も横浜での実績を連勝して岩盤とするまでは出校を抑えるとともに、キッズのネットワーク化もみえてきたとはいえ、人材獲得面での慎重さも求められ、やはりスピード感の予測はゆっくりペースですね。わかりやすいでも客観的にみると退屈な戦略を実直にやっていくという姿勢があれば、問題ないと思います。

安定成長が続き、財務も厚いため、個人的にはもう少し還元姿勢に積極化への変化が出てきてもよいのかなとは思いますが、ここもまだ対話が必要かなと思いました。

社長交代が懸念事項という声も多いかと思いますし、一般論として、社長交代によって雰囲気や経営方針が変わり傾くということもよくあるようですかが、私はほとんど心配していません。遠藤さんはプレゼン力は高いですし、生徒や教師からの訴求力も抜群です。経営手腕が未知数なんて言われるかもしれませんが、そもそもステップはとてもわかりやすい成長シナリオをもっていて、授業の質さえ伴っていれば大きな誤りにはなりようがないわけです。

来春の実績への期待も今のところ明るい様相ですし、仮に数値的に伸びなかったとしても、もうここまで質で圧倒しているとなると、遅かれ早かれということなので、あとはゆっくり寄り添って待っていればいいだろうなと思います。

多くの個人投資家の方がおられ、まるのんさんですか?と声をかけて頂いた方もいらっしゃり嬉しく思いました。こういう場で個人投資家や会社の方々と今後もよいご縁に恵まれるのであれば、本当にありがたいことです。

総会終了後に、目の前のサイゼリヤで某敏腕投資家の方々と、延々と投資についてお話をして楽しいひとときでした。

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