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シュッピン(東1/3179) 2020/3 Q3決算精査

 東証1部(3179)上場のシュッピンがQ3決算及び通期業績予想修正が開示しています。今期は粗利率の確保を主軸とした経営がされておりその点ではよい面も見える一方で、消費税増税の影響などもありトップラインの伸長に課題が見られます。また、増税後の消費下支え策である政府のキャッシュレス還元施策に対応するため、持ち出してポイント付加を行う必要性に迫られており、販管費率が向上しており粗利の確保ほどのインパクトがない営業利益以下の伸びとなっています。当記事では主に決算の内容について簡単に内容を確認していきたいと思います。なお、PPT資料は未作成でありエクセルのみとなります。

また会社開示の決算補足説明資料がありますので、そちらを見て頂く方が正しい理解につながるかと思います。


①PLの状況

売上高と粗利の状況です。売上高は既に月次が開示されているので想定通りなのですが、3Qとしては前年同期比で10%の減収です。しかしながら、粗利率が18.6%まで向上し前期より2.6%改善しており粗利率としては3%の増益となっています。これは決算補足説明資料にもある通り、自社サイトへの誘導が機能したものと思われます。そして一応、粗利の確保に努めるという今期の方針にも合致した結果が数値上からも読むことができます。なお、セグメント毎にみても主力のカメラ事業と時計事業が弱く、相対的に筆記用具や自転車はそこまでの落ち込みではないようです。

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そして足元で利益の足枷の要因になっている販管費の状況です。同社はEコマースを展開し、実店舗のオペレーションを最低限とすることで販管費を徹底的に抑制することがビジネスモデルの優位性であります。しかしながら、この3Qについては販管費が増額されており、かつ増税後のマインド低下の影響で売上も落ちているため販管費率が13.5%まで上がっています。ここ数年ではなかった水準です。ちなみにこの販管費の増額の要因はポイント還元の強化のためです。現在、キャッシュレス還元事業として中小企業においては5%の還元が受けられるものの、同社は中小企業ではないため値段の平仄を取るために、自社の持ち出しで5%相当分のポイント付与を行うことを遂行しています。この政策は少なくても6月までは続きますからFY20の1Qまでは持ち出しによるポイントが出ていくこととなります。とはいえ、一般的な還元事業と異なり、あくまで自社ポイントですから、いつかこれを元手に更なる消費行動がみられるようになるといいのですよね。もしくは失効してしまうとあるいは戻入益とかになるのでしょうか(健全ではないですけどね)。

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粗利は稼いだものの販管費が重荷となっている営業利益の状況です。営業利益率は3Qで5.1%で前年同期比で+0.1%とほぼ前年並みの水準を確保できています。しかしながらトップラインが弱いこともあり、9%の営業減益となります。上期の貯金があるため、短信表面上は35%の営業増益なのですが、これを食いつぶしている状況です。ちなみに修正された通期予想によると、着地想定ベースでは前期比+20%程度の営業増益に縮小する見込みです。ただ、通期で2割増益であれば、PER20倍ちょいの会社としては及第点ではないかとも思いますけどね。

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なお、通期の業績予想を修正しています。売上は下期の増税後の影響が想定超で、とりわけモールでの売上減が計画を大きく下回る状況で下方修正に至っています。しかしながら、粗利の確保やポイント還元の補填等の負担がなかった上期の貯金もあり利益は上方修正となっています。但し、上期の上振れと比すると下期の苦戦ぶりが如実に感じられる内容になっています。

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一応、4Qの想定を逆算してみます。4Qの想定売上は89.0億、想定営業利益は1.9億となり、その利益率は2.1%となります。1Qから4Q想定までを時系列に並べると以下のようになります。
 売上: 84.0億 → 94.5億 → 85.3億 → 89.0億
 営業利益: 5.3億 → 6.0億 → 4.3億 → 1.9億
 営業利益率: 6.3% → 6.3% → 5.1% → 2.1%
こうみると、4Qが悪すぎるでしょうとなるのですが、今期は上方修正をしていることから、業績賞与が支払われます。ちなみに前期は業績未達となりこの業績賞与は支払われていません。今期に支払われる業績賞与は概ね1億超の1.4億程度とみると、業績賞与支払前の営業利益は3.3億となり、支払いのない前期の2.9億(利益率3.3%)、支払いのあった前々期の3.1億(利益率3.8%)と比較しても妥当な水準になります。それにしてもポイントの持ち出しの影響は結構大きいですね。改めて販管費率の抑制がキーになるということがよくわかります。

②IR照会

IR照会を行っています。メモ残しますが、あくまで私の主観によるものですし、脚色している部分もあり事実と異なる可能性がありますのでご留意下さいませ。

Q 修正後の4Q想定について
 営業利益率が2.1%と3Qより更に悪化するが、この主因は業績賞与の影響以外に要因はあるのか。
A
 3Qからポイント還元の補填のためのコストがかかっており、この部分は3Qと同様に使途するため、上期と比較するとまず販管費率が高くなることから利益率は上期比で下落する。その上で、業績予想を上方修正しているため業績賞与の支払いも予定しており、その部分で4Qに閉じた利益率押し下げ要因がある。この他の要因はない。

Q ポイント還元による販管費抑制の見込み
 そもそもシュッピンの各屋号は対象店舗として届け出る事が出来る余地はないのか。その上で、今後のポイント還元に係る対応についてはどう考えているか。
A
 あくまで中小企業を対象としたキャッシュレス還元事業であるため、シュッピンの各屋号においては形式要件を満たさずに申請できないといった事情がある。(鵜呑みにしたのですが、それなりに大きな会社も対象になっていたりするんですがそんなもんですかね(ちゃんと調べてないw))その上で、対象となっている中小の店舗やこれに合わせる形で対応している量販店との価格差を是正するために、ポイント発行により実質値段の平仄を合わせるため、6月まで続く当制度の対応のためポイントの持ち出しはせざる得ないものと認識している。
(6月末で政策は終了するのか、延長されるのか、あるいは別の形でやられるのかわかりませんが、6月できっかり終わってくれるのかも不安材料がありますよね)

Q 足元の売上の状況について
 消費増税の影響が長引いているように思えるし、実際、増税後の反動減を想定していた3Qの売上の期初計画からも実績は下回っている状況でもある。今後の見通しについてどのように捉えているか。
A
 指摘の通り、特にポイント還元を実施していないモールの売上が大きく目減りしており、実質価格の訴求力の低下からもこの傾向は未だ尾を引いている。一方で、自社サイトでの売上は底堅く推移している。中計で示している通り、今期は粗利に拘ってきたため、ある意味トップラインがやや犠牲になったようにもなっているが、来期にはトップラインの伸長にも回帰するものとなっており、これを実現させるために徐々に戻りつつある消費状況をとらまえるべく、仕入れも強化し価値ある在庫を十分仕入られているため、来期に向けて頑張ってトップラインも伸ばしていきたい。実際、中古の部分でも伸びが出てきており、まだまだシェアを拡大していけるポテンシャルは感じているところでもある。
(心意気は伝わったのですが、やはり消費マインドや価格訴求力という点で政策から外れている店舗としては苦しい状況が続きそうな印象も抱きました)

なお、最後に業績予想数値は相応にコンサバに引いているようでした。まだ2月上旬ですかね。このガイダンスは下回りたくないというWILLを相応に感じました。

③さいごに

店舗を持たず販管費を抑制する中で、安心安全をECを介して提供するというところが同社のビジネスモデルのミソです。そんな中で、一部の対象事業者にのみ還元がなされるといった中で十分な体力がある量販店は自社でカバーする動きがあり、シュッピンのように実質中小企業のような体力の会社が追随することに若干無理が生じて下期に苦戦とみえる状況となっています。しかしながら、根本としてカメラの需要は減っている、しかしニッチな需要は底堅く、また中古を含めた流通のシェアを取るといった余地がある中で、同社の活躍できるフィールドはまだ残されているものと認識しています。しかしながら、株価水準的にも他の保有株との状況からも現時点の外観から大きく買い増す(買い戻す)までには至らないということで、引き続き、優待を頂きながら低位でモニタリングをしていきたいと思います。AI活用など効率化の仕組みなどもう少しイノベーションの成果が出てくると面白いのですけどね。頑張れ、シュッピン!

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◆日本株投資家。アラフォーの凡人中長期視点。マイペースに納得感を大切に。 http://tryinvesting.blog.fc2.com        ◆写真愛好家 canon一眼で風景中心 http://marunon-photos.hatenablog.com
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