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外国人:僕

およそ三週間前からカナダに来ている。たまにnoteに書いていた「ワーホリ」というやつである。およそ一年半前に「とりあえずワーホリを目標にしてしばらく生きていこう」と決めて、ついにその時が来てしまった。出発直前、いろんな人から「ワクワクするよね」と言われたけれど、全くワクワクはしなかった。どちらかというと「やっていけるんだろうか」という大きな不安感に包まれていた。住む場所も仕事も決まっていない。いきなり外国へ行って暮らしていけるのだろうかという思いが大きく、いっそ日本にいたほうがいいかなと思うけれど、でも、「でもここにいてどうするの?」という思いも沸いてきて、とてもスッキリしない日々だった。

出発日、空港で僕よりも心配そうな顔をしている恋人に見送られながら、カナダのバンクーバーへ渡った。北京経由で飛行時間は13時間ほど。バンクーバー5日間ほど滞在しつつ、働くのに必要な続きをしたり銀行口座を開いたり、携帯のSIMカードを契約したり、現地にいる友達を会ったりした。

やっぱり「ワクワク」よりも不安の方が大きかった。僕の滞在予定地(何もアポイントがあるわけでないけど)は、ここからバスで9時間ほど移動した場所でそこで働きながらスキーをする予定だった。バンクーバーで滞在している間は、そこで部屋とか仕事か見つけれるんだろうかという不安&時差ボケで寝れない日々を過ごしていた。もちろん、しばらく部屋や仕事が見つからなくてもいいようにお金も多めに貯めたし、ダメなら別の場所に移動しようという計画だった。でも頭で分かっていても気持ちはついて来ないらしい。バンクーバーで上手くやっている友人たちを見るたびに、どんどん気落ちしてしまった。

目的の街に移動して、バックパッカーズホステルの4人部屋に泊まりつつ、仕事探しと部屋探しを始めた。カナダ式のバイト探しで、履歴書をいろんな場所(レストランやホステル)に配って歩いた。住む場所が決まっていないけれど、カナダ人的にはあまり関係ないらしい。「あぁ、今はホステルにいるの。いいね。」くらいの反応だったし、「向こうのお店が募集してるかも」「ここホテルならスタッフ用の部屋を用意してるよ」「このサイト見てる?」とかいろんな情報を教えてくれた。気落ちしてると「挑戦し続けるべきだよ!」と応援してくれる人もいた。慣れてくるとだんだん楽しくなってくるもので、いろんな店員と話しているうちに仲良くなったり連絡先を交換する人も出てきた。「もっと早く来なきゃ!」といろんな場所で言われたけれど、まぁ、何とかなるかなという気持ちが湧いてきた。

しんどい時は、ホステルで相部屋の人と夕飯を食べながら「部屋見に行ったんだけど、ここからすごく遠くて…」とか話を聞いてもらった。「温水プール行って元気出そうぜ」と誘われていったりした。

そしてつい5日ほど前に、街にある寿司屋(こんな田舎に寿司屋があることに驚いたけど)が、拾ってくれて(たぶん僕が日本人だから)、そこが従業員用の部屋も用意してくれて、一度に仕事と部屋が手に入った。本当に安心した。泊っている宿の従業員や、よく行く珈琲屋の人も喜んでくれた。本当にこの町の人は優しい。これでやっとスキーやカナダ生活を楽しめる。

知らない遠い土地で暮らしてみたいと、以前から思ってきた。英語もうまくない外国人として海外で暮らしてみたかった。いわるゆキラキラしたワーホリ生活は僕には無いけれど、とりあえず、春までここで暮らしていこうと思う。まだ元気。