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英語のブレークスルー(中上級編)

僕の英語力はざっくり中上級レベルかなと思っています。

今(2021年9月現在)32歳。

高校時代は一生懸命受験勉強をして、早稲田大学社会科学部に現役で合格しました。文法や読解偏重の授業が嫌だったので、将来使える英語を身につけてやろうと思い、学校指定の単語帳「ターゲット1900」で単語を覚えるときも、発音記号やアクセントを意識して口に出しながら覚えるようにしていました。

大学時代もNHKのテキストなどを使って独学で勉強を続け、20代後半はオーストラリアやヨーロッパなど海外で長く過ごしました。

正直、普通に海外で生活する上で、英語で困るようなことはそこまでありませんでした。(みんなでCards Against Humanityをやった時はみんな爆笑してる中1人ついていけなくて泣いたけど)

10年ほど前、学生時代に受けたTOEICは820点。CEFRだったら今はB2かC1くらいだと思います(受けてないけど)。

こういう状態の中で、これからさらに英語力を伸ばしていこうと考えた時に、今足りないのは「ボキャブラリー」と「流暢さ」かなとなんとなく思っていました。

「流暢さ」に関しては標準的な日本人よりは英語っぽく喋れると思っていたけど、やっぱりネイティブや英語に近い言語が母語の「普通の」欧米人と比べると、どうしても日本人英語の発音が残っているし、何か決定的な差があるなと感じていました。

そんな中でこの1年ほど色々と英語学習に取り組んできて、自分の英語力をさらにネイティブに近づけるために、「これはブレイクスルーになりそう!」と感じたことを改めて言語化してみました。

4つのポイントをまとめてみます。

1. 「ことばを通時的に見る」という視点

「通時的」というのは言語学用語で、今話されている言葉だけでなく、言葉の変化を歴史的に見る、ということです。この視点はなかなか学校で習うことはないんじゃないかなぁ。

例を挙げます。

去年フランス人の彼女と付き合っていて毎日英語で会話していたんですが、正直彼女より僕の方が英語を流暢に話していると(勝手に)思っていました。でも一緒にNetflixで海外映画やドラマとかを見てると、僕が知らない単語の意味もよく知っているんです。

あとから知ったのですが、慶應義塾大学で英語史を専門にしている堀田隆一先生によると、英語の語彙の中で約3割がフランス語(とラテン語)からの借用語だそうです。これは1066年以降約300年に渡って、イングランドがフランス系の王朝に支配されていたことなど、ヨーロッパの歴史が大きく影響しています。

発音や語形が変わっているものも多いとはいえ、フランス語のネイティブである時点で、英単語の3分の1くらいは最初から理解しているようなものなのです。中国語を全く勉強したことがない日本人でも、中国語の漢字列を見て多少は理解できたりするのと同じようなことだと思います。

別の例。

「なぜ英語では3単現のsをつけるのか」という問題は、誰しもが中学校で英語を習い始めた時に一度は疑問に思うのではないでしょうか。今までは「そういうものだから」と無理やり自分に言い聞かせていました。しかしこの問題も、英語史の視点で見ると解決できます。

先ほどの堀田先生によると、例えば中英語の時代(1500年頃まで)は2人称単数現在の"-(e)st"という語尾も存在していて、歴史上で英語が変化してくる中で、現在まで生き残っているのが3単現のsのみなのだそうです。(非標準変種として例外あり)

このように英語史という観点からことばを通時的に見ると、今まで当たり前だと思っていたものや、疑問に思いながらなんとなく受け入れていたことが、根拠をもって解決されることが多々あります。

英語のみならず日本語を含めあらゆる言語の学習に関して大事な点だと思いますが、「ことばを通時的に見る」という視点を取り入れて、今後も勉強していきたいと思います。

◎英語史に興味を持った方はこちら↓

・堀田先生の著書
『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史』

・上記書籍のコンパニオンサイト(書籍にない情報も多数あり)
https://www.kenkyusha.co.jp/uploads/history_of_english/series.html

・堀田先生が毎日更新しているブログ(書籍のネタ元。4500記事以上あるので探すのが大変笑)
hellog

・堀田先生のVoicy
英語の語源が身につくラジオ(heldio)


2. 発音(音声学的視点)

発音を深く意識しようと思ったのはだいじろーさんのYouTubeがきっかけですね。

上述したように僕は高校時代から新しい単語を覚える際には発音は特に意識していて、できるだけ英語を英語として発音することを心がけてきました。しかし発音矯正アプリのELSA Speakを使うと、認識してくれない発音がけっこうあるんです。

今まで自己流で学んできたため特に母音はしっかり理解していない点も多く、思い込みで発音している単語も少なからずありました。

例えば[i]と[ɪ]の違いや[u]と[ʊ]の違い、[e]と[ɜ]の違いなんて認識してなかったし、[ə]を「シュワー」と呼ぶことも知りませんでした。

発音トレーニングを受けたことはないので未だに明確に発音できるわけではないですが、音声学の知識を身につけ母音四辺形のようなものを理解すると、英語の発音に対する解像度が上がるのではないかと思います。

スクリーンショット 2021-09-06 12.55.53

らいトレの記事より引用)

だいじろーさんの動画には世界各地の独特な英語発音やアメリカ英語とイギリス英語の違いに関する動画が数多くありますが、イギリス英語では地域や社会階層によって大きな差があることも初めて知りました。RP(容認発音)やエスチュアリー、コックニーなど、例えばロンドン内だけでも響きがまるで違う英語が存在していて、どういうアクセントで話すかによってその人のステータスが違って見え、印象が変わるという点を知ったことも1つのブレークスルーでした。

1つ1つの母音や子音から始まり、リダクション、リンキング、そしてアクセントを意識して話すことは、「流暢さ」を高める上で非常に重要な基礎なのではないかと感じています。


3. 語源や語の成り立ち

まだまだ語彙力が足りないと感じることは多々あったものの、前にも書いた通り、正直海外で生活する上では語彙に関してそこまで困ることはなかったように思います。言いたい単語がわからなければ知っている単語や表現で言い換えればいいし、相手が言った単語がわからなければ意味を尋ねれば大抵は別の言葉で説明してくれるので。

ただ英語のニュースや映画・ドラマをよく見るようになると、知らない単語が山のように出てきて、単語がわからないことで文の意味がわからない、ということが多発しました。

僕は知らない単語に出会うと、スマホ辞書アプリのWisdom2のブックマーク機能を使って自分だけの単語帳を作って日々語彙力を高めていますが、この際に語源や接頭辞・接尾辞などの意味、パーツの組み合わせ、別の単語の派生語かどうか、などを意識して覚えるようにすると、極力脳のメモリーを割かずにより多くの単語を効率的に覚えられるのではないかと思います。

例えば"-duce" "-duct"というパーツの語根が「導く」であることを知っていれば、induce, deduce, produce, reduce, seduce, induct, deduct, product などの単語の意味が理解しやすくなるのではないかと思います。

この辺りはこれまでそこまで強く意識していなかったので、今後もっと勉強して効率的に語彙力を増やしていきたいです。

語源に関しては「ゆる言語学ラジオ」がきっかけで興味を持ちました。

英語史とも通じる話ですが、多義語であるspring(春、バネ、泉)やtrain(電車、訓練する)がなぜ一見全く違った意味を持つのか、というのがとても面白かったです。

◎語源に興味がある方は、こちらの動画をぜひ↓
語源の話1
語源の話2

書店に並んでいるこちらの本もわかりやすかったです。
『英単語の語源図鑑』

堀田先生が紹介している唯一のオンライン英単語語源辞典だというこちらも役に立つかも(無料・英英)
Online Etymology Dictionary


4. 高校文法

文法については当然ながら高校生の時に受験のために勉強していて、大抵は網羅していると思っていました。ただ、例えば仮定法の本質や仮定法現在、比較構文、倒置、分詞構文など、なんとなく理解して流してしまっていた文法事項も多いような気がします。

日本の高校で習う受験向けの文法事項の中には実際の英会話ではほとんど使われていないような表現もあり、「これを覚えて実践的に役立つのか?」と高校生ながら疑問に思っていたことが僕が高校の英語の授業が嫌いだった一因ですが、今になって思うのは、日常で普通に使われている文法事項も多々あるということです。

例えばgivenを前置詞として使うと「〜を考慮すると」という意味になります。当時のセンター試験やTOEICなどではおそらく頻出ですが、僕は最近まで知りませんでした。ただこの表現を覚えてから、ニュース、オリンピックの実況、記事などでよく耳に(目に)することがわかり、高校で受験用で習う固い表現だと思っていたものが、意外と日常で使われているんだとハッとしました。

高校で習う文法事項をざっと復習するには、元東進講師のもりてつ先生が「ただよび」というところに所属していた際に出したこちらの一連の動画がおすすめです。全部で84講ありますが、自分が苦手だと思っているところをピンポイントで見るのもいいと思います。高校生向けですが、大人が復習するにも役立ちます。

基礎英文法講座

英文法に関しては、僕が大学時代にNHKのテキストでお世話になった大西泰斗先生が、「使える英文法」を身につけるためにまとめたこちらの参考書もおすすめ↓

『総合英語FACTBOOK これからの英文法』


英文法の中で、最近本質を理解して世界がひっくり返ったものが「仮定法」です。これも「ゆる言語学ラジオ」がきっかけでした。

「高校生の頃に知りたかった!」「今すぐに全国の高校生に伝えたい!」という気持ちになりました。

知っている人には当然に聞こえるのかもしれませんが、「仮定法は直説法に対峙するムード(心の持ち方)。仮定法の本質は助動詞である」ということは、もっと一般的に知られるべきだと思います。

仮定法についての「ゆる言語学ラジオ」の動画はこちら↓
仮定法のwereは『えんとつ町のプペル』的な存在【カタルシス英文法】

スタサプの人気講師、関先生の著書もこうしたことが書かれていてとても面白いです。
サバイバル英文法

資格試験を受けるかどうかに関わらず、もし曖昧にしか覚えていない文法事項があれば、学び直してみるのがおすすめです。


5.その他

1つおまけ。

例えば冠詞や可算・不可算名詞に関しては、一生付き合っていかなければならないものだと感じています。

theをつけるべきなのか否か、a/anがつくべきか、複数形にすべきか、無冠詞か、という点は、英語が使えるようになればなるほど謎が深まっていくので、日本人として完璧に使いこなすのはとても難しいです。

最近改めてtheの用法について整理してみましたが、自分で英語を話す時、英文を書く時に(特にライティング。スピーキングではあんまり細かいこと気にしなくても伝わる)「ここはどっちにすればいいんだ!?」となることが日常茶飯事なので、適宜調べていくしかないのかなと思っています。


まとめ

この一年ほど改めて自分が英語を勉強する中で、ブレークスルーになるかもと思った4つ(+α)の点を挙げてきました。

こうして振り返ってみると、だいじろーさんの英語コント動画であったり「ゆる言語学ラジオ」であったり、入口はゆるく、そこから興味を持ったものを深く専門的に調べていくことが多いなと思いました。

発音と文法に関しては学ぶべき事項にひとまず限りがあるので、それらをきちんと押さえたあとは語源や語の成り立ち、英語史を意識しつつボキャブラリーを増やしていきたいなと思います。

流暢さをさらに高めるにはイントネーションやアクセント、語のチョイスなど、まだまだ伸びしろはありそうです。

長文読解力を高めるためには、様々な種類の文章に触れることも必要ですね。

いつ受けるかはわかりませんが、IELTS 7.5を当面の目標として、今後も研鑽に励んでいきたいと思います。

みなさんも、Keep up your good work!

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!


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