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双日、米国テイクアウト寿司企業を買収


双日 プレスリリースより引用 Sushi Avenue Incの店頭の様子

解説
昨日、米国の小売動向の発表がありましたが、日本よりも外食の頻度やエンゲル係数の割合が米国では高いとされています。米国ではBBQや家族や友人との集まりが多く、自宅で料理をすることは一般的ではありません。そのため、米国の小売動向指数が悪化すると、米国の景気後退懸念が騒がれ、S&P500などの主要指数も下落し、それが日本の株式相場にも影響を与えます。

このニュースは米国テイクアウト寿司企業の買収に関するものであり、双日はこの買収を機に、日本よりもはるかに大きなマーケットサイズを持つ北米地域でのプレゼンスを強化する狙いがあると考えられます。また、テイクアウト業態は初期コストが低く、薄利多売のビジネスモデルの中でもROIが際立って高い業態と言えます。

双日は元々水産事業に強みを持つ商社であり、北米市場での立ち位置を模索していたため、この買収は双日のバリューチェーンの拡大を意図した戦略的な意図があると考えられます。一方で、セブンイレブンが20,000億円を投じてアメリカの小売大手「スピードウェイ」を買収しましたが、その成果がまだ明確に表れていないことから、飲食業界の買収案件は現地の商習慣や飲食文化に深い理解を持たないと買収のバリューを発揮できない面も多分にあります。

双日はその点、ロイヤルホストの株式を保有しているなど外食チェーン業界の経営ノウハウや人材を保有しているため、今回の米国テイクアウト寿司企業の買収に際しても国内外食チェーン業界の経営で培った在庫管理や物流網の形成、消費者動向の調査なども行なった上で社員や経営層の派遣を通じたバリューアップを実現していくものと期待されております。

台本
本日は、双日株式会社が米国で展開する新たな事業について報告させていただきます。

双日は、米国のテイクアウト寿司事業を展開する「Sushi Avenue Inc.」を買収しました。Sushi Avenueは、米国中西部を中心に300店舗以上のスーパーマーケットで新鮮なテイクアウト寿司を提供しており、特にプライベートブランドの開発力に定評があります。今回の買収は、双日の既存の水産事業を米国市場に本格的に拡大する戦略的な一手です。

米国の寿司市場は、近年急速に成長しており、日本の1.6倍に達しています。特に、高級レストランに限定されず、学校の食堂やスーパーマーケットでも寿司が一般化している現状から、今後も市場の多様化が進むことが予測されます。また、米国経済全体としても消費者の嗜好の変化が加速しており、健康志向や国際料理の需要が増加しています。こうした市場環境の中で、双日が持つ水産物の調達力と商品開発力を活かし、米国市場における競争優位性を確立することが可能です。

双日はこれまでも、マグロの養殖事業や加工事業、水産物の卸売事業に注力し、水産食品加工のマリンフーズや冷凍マグロ加工のトライ産業株式会社をグループ化するなど、着実に水産事業のポートフォリオを強化してきました。今回のSushi Avenueの買収は、その延長線上にあり、米国市場での市場シェアを拡大する絶好の機会と捉えています。

米国市場における双日の戦略は、単に寿司事業に留まらず、今後の水産食品全体のバリューチェーン強化を目指しています。特に、Sushi Avenueを通じて、消費者ニーズに即した新商品開発やマーケットイン志向の強化が求められます。さらに、ロイヤルホールディングス株式会社や株式会社銚子丸と提携し、新たな寿司業態の創出に取り組むことで、米国市場における差別化を図ります。

双日の米国における事業拡大は、単なる売上増に留まらず、長期的には持続可能なビジネスモデルの確立に繋がると考えます。今後は、グループ全体でシナジーを最大限に活用し、グローバル市場での競争力強化を図ってまいります。引き続き、皆様のご協力をお願い申し上げます。

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