「もう経営に迷わない」3つの指標
▼コンサルいらずの経営評価指標
(※)付加価値額 =労務費+売上原価の減価償却費+人件費+地代家賃+販売費及び一般管理費の減価償却費+従業員教育費+租税公課+支払利息・割引料+経常利益
「損益分岐点比率」は、赤字までの距離を示し、比率90%なら売上10%減少したら赤字になり、比率70%なら売上3割減るまで赤字になりません。
「労働集約性」は、新たに生み出した価値のうち、何パーセントが人材コストなのかを示し、他の産業に比し高ければ、その産業は労働集約的産業といえ、オペレーション向上が経営成功のカギとなります。
「資本集約性」は、新たに生み出した価値のうち、何パーセントが機械装置やトラックなどの減価償却費なのかを示し、他の産業に比し高ければ、その産業はビル管理業や運送業のような装置産業・機械集約的産業といえ、装置ごと・トラックごとの稼働率向上が経営成功のカギとなります。
▼Step1:3つの指標でデータを分析
ここでは、「赤字転落リスクの高いビジネスモデル」と「赤字転落リスクの低い産業」を、政府統計の統計データを使って、3つの指標で比較し、経営スタイルの違いを考えてみましょう。
経営陣が自社企業を分析する場合は、持っている「5年程度」の財務データを3つの指標で分析し、過去の自社の財務状況や同業他社、統計データと比較すれば、経営課題と改善の方向性・順序が明白になります。
▼Step2:3つの指標の分析結果
持ち帰り・配達飲食サービス業は、
赤字転落リスクが高いので、売上維持に常に気を使う必要があります。
しかも、労働集約性が全産業平均・中央値より高いので、現状のまま売上向上策を展開すると、労務費や人件費も拡大し、売上UPの効果が相殺され、マイナスとなるリスクさえあるのです。そのため、売上向上策展開前に、オペレーションを改善して労働生産性を向上させる必要があります。
もっとも、資本集約性は全産業平均・中央値より低いので、無理に売上UPを狙わず、オペレーション改善に経営を集中できます。
逆に、化学工業は、
労働集約性が全産業平均・中央値に比し高くないので、現状のオペレーションのまま売上向上策を展開しても、労務費・人件費が増加するリスク少なく、売上UPの効果の多くを享受できます。
但し、化学工業は、飛行機や電車と同じように、資本集約性が高く、個々の機械装置の減価償却費負担があるので、費用対効果を維持・向上させるには稼働率を向上させなければいけません。
もっとも、赤字転落リスクは低いので、ゆっくり確実な売上向上策を展開させればよく、安定した経営が可能です。
このように、3つの指標を使えば、経営改善の緊急性と方向性・順序が明白になるので、経営に迷いません。後は、こうした分析結果を使って、現場と話し合い、具体的な経営改善計画を作っていけばよいのです。
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