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受験は〇〇戦

 直感的に〇〇に何を当てはめますか?
私は、高校受験でも大学受験で何度も聞いた「受験は団体戦」という言葉が初めに思い浮かびます。今になって思えば、先生方の「周りに迷惑かけるなよ」という思いの婉曲表現だったのでしょう。実際、学校という集団の中で受験期間を過ごす場合、「団体戦」というある種の一体感、連帯感を出すことは必要なのだと思います。ただ、「団体」で合格できる試験は聞いたことがありませんが。


 では、受験は何戦なのでしょうか。

受験は情報戦


だと思います。

 志望する学校の特徴、学べる内容、定員、受験日程、受験科目、倍率、過去問などが「情報」です。また、模試の偏差値、判定、共通テストのボーダーライン、合格者平均点、合格最低点というような数値で表されるものも「情報」です。さらには、受験体験記や合格体験記などの受験にまつわる記録や経験も「情報」になります。
 
 なぜ、これらの「情報」が必要なのかと言うと、時間は有限だからです。なんの情報もなくただ闇雲に受験勉強を進めるのは得策ではありません。
 例えば、同じ学力の2人AとBが、同じ時間だけ、同じ志望に向かって勉強するとします。Aは上に書いてあるような「情報」を持っており、Bは持っていない場合、どうなると思いますか?Aは受験科目にある教科の自分の現在の偏差値とボーダーを比較してどれくらい離れているかを確認し、合格者が使っていた参考書で勉強をします。Bはとりあえず手当たり次第に勉強します。この場合、Bの勘がよっぽど良くてドンピシャの対策をしない限りAより効果のある時間は過ごせないでしょう。
 つまり、情報を知れば効果的な対策が可能ということです。「受験戦争」と言う言葉もあるくらいですが、受験は基本的に自分以外の他者との競争です。1点でも多く、一つでも上の順位へ、が最終的に第一志望に到達するために必要な考え方です。Aは情報によってそれに成功するでしょう。

 上の例は些か極端ではありますが、受験生やその周囲の保護者や先生方は何かしらの方法で日々受験に関わる情報を手に入れようとしていると思います。過去問のために問題集を買ったり、模試の判定を見たり、偏差値を気にしたり。ただ、手に入りにくい情報があるのも確かです。例えば、受験者の当日の答案(その答案で合格しているかどうかも)、実際の試験会場の様子、合格者のデータ(偏差値の推移、併願先)などです。これらの情報に強いのは、学校よりも塾や予備校だと思います。大手予備校は受験生から当日の答案再現を買い取ったり、結果報告にQUOカードを渡したりしていますよね。塾や予備校に行くメリットは、学力面だけでなく、このようにして何年もかけて全国的に収集した情報を受け取れることにもあると思います。

 さて、ここまでは主に一般入試を念頭に置いて書いてきましたが、「受験は情報戦」の面が強くなるのは総合型選抜の方ではないでしょうか。なぜなら「正解のない問題」が多くなるからです。志望理由書や調査書、面接、小論文には「望ましいもの」はあれど、「正解」がありません。
 だからこそ、「望ましいもの」を予測し、そこに近づいていく戦略が必要なのです。そして、より正確で、わかりやすい戦略を立てるためには多様多量な情報が必要です。

 ただ、一般入試よりも総合型選抜の方が情報を入手しにくいというのも事実です。例えば、AO入試や推薦入試の過去問が本になっているのをほとんど見かけたことはありませんよね。一般入試であれば「〇〇大学過去問」で何年か分の過去問がまとめて売られていますが、それ以外の入試形式では、大学のサイトで公開されている過去問が数年分しかないこともあります。ここから出題傾向を探るのは難しいです。このような場合には、実際に受験した方の情報が有益だったりします。最近はSNSやnote、ブログで受験体験記を公開されている方も多いので参考になるかもしれません。
 京大の特色入試に限った話かもしれませんが、合格者を輩出している学校が「常連化」してきています。なぜでしょうか?それは、学校がこれらの受験生、合格者の情報を蓄積して、次年度以降につなげているからだと考えます。ただし、自分の学校に前例がないからと言って諦めてはいけません。かくいう私も出身校初の特色入試受験者です。
 

 そんな私が重視した情報が「志望先の学校の情報」です。志望先の情報は全ての基礎になります。そもそもその情報がなければその学校を受験するべきかの判断もつきませんから。例えば、共通テストで物理の受験が必須であるのに、自分は生物・化学を選択しているとなると受験のハードルはぐんと高くなってしまいます。

 簡単な情報であればサイトでも見ることができますが、細かい情報までは知ることができません。そこで、推薦入試や総合型選抜を受ける際に参考書よりも重要となる資料は「学校案内」「募集要項」だと思っています。これらの資料には、教育理念や、学部学科の内容、カリキュラムの特徴など、かなり多くの情が書かれています。以前からnoteで、答案作成や志望理由書にはアドミッション・ポリシーや求める人物像を反映させるべきという内容を何度も書いていますが、「正解」でなくとも「望ましいもの」を理解するヒントは志望先が出す資料に書いてあります。
 私が京大の特色入試を受験すると決めたときには、まず志望する学部を決めることから始めました。文学部に行きたいと思ってはいたのですが、自分の学びたいことを学ぶのに文学部が最適なのかということを確認しました。特に、学校案内は各学校が受験生を獲得するためにかなりの資金を投入していてかなり詳細な情報があり、卒業後の進路や男女比、1年間のスケジュールが書いてあることもあります。入手するのにお金がかかることはほとんどないので、必ず入手しておくべきです。私は何度も読み返して、文学部にまつわることはほとんど暗記しました。暗記したアドミッション・ポリシーや求める人物像に寄せて志望理由書や当日の答案を作成したことが合格につながったと思っています。
 いつかのnoteで”文章を書くためには、その下地として手札と知識が必要だ” と書きました。学校案内や募集要項には手札となる情報がたくさん載っています。ぜひそれらを参考にして、「情報戦」を制してください。

 推薦入試や総合型選抜を受けようか悩んでいる方志望先を決めかねている方受験を考え始めた方受験を応援する方何をすればいいかわからない方はまずは気になる学校の学校案内やパンフレット、過去の募集要項を見ることから始めてみてはいかがでしょうか。

 最後までご覧いただきありがとうございます。


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