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AIに自分の絵を学習してもらって描き方が変わった話(Stable Diffusion・LoRA)

2020年ごろから毎朝絵を描いています。今年に入り、AIを活用するようになって絵の描き方ががらりと変わりました。今回はAIに学習してもらった絵を見てどう思ったのかについて書こうと思います。

普段はだいたいこのような絵を描いています。

方法(ざっくり)

Stable Diffusionと言う画像生成AIを用いました。学習にはLoRA(Low-Rank Adaptation)と呼ばれる手法を用いました。LoRAのデータは、大雑把に言うと実質わたしの絵の核のようなものです(仕組み上は厳密には核のようなものではないですが)。

AIによって学習・生成してみた結果と思ったこと

AIにまだまだ行けると気づかされる

最近わたしは、自分の描く絵で新しいバリエーションを生み出すのに非常に苦労していました。毎日少しずつ進歩はありますが、以前のような全く新しい描き方が出てこないという状況でした。

なんなら、もうこのスタイルでは新しい描き方を生み出せないのでは?とまで思ったこともありました。しかし、AIに自分の絵を学習・生成してもらってまだまだ試していなかった描き方がたくさんあることに気づかされました。

たとえば、こちらの生成された絵は自分が描いてきた要素は多く入っていますが、描いたことのない形も多く入っています。(建物をよく描くのでひとまずそれを生成させてみました。)

この絵を見た瞬間に思ったことは例えば、
右上の建物:
・なにこれ、エレベーター?エレベーターは通常1列に1つしかないのが常識で3つを同じラインに並べるという発想はなかった
・正面の壁のみを伸ばすアイデアはなかった。でもかっこいい

左上の方の縦線で構成された建物:
・あえて、縦線だけで建物の立体感を出すことはしたことがない。線はめちゃくちゃ描くけど、そこまで振り切っていなかった。
・建物の上にもう一つ建物を乗せるというアイデアも新しい。

などなどです。

つぎのこちらの絵からも目から鱗の発想をたくさん得られました。

こちらのAI生成絵から気づいたこと
・道路をこれほど広く見せる描き方はしたことがない。いつもと目線が違うがよてもよい。

・空にも道路の線に似たようなものがあり、なんなのかわからないがかっこいい。流れ星のようにも見えなくもないが、おそらく道路の要素を学習してそれをAIは空に配置したっぽい。空に道路の白線を置くことは考えたことがない。

・正面奥のビルの灯りがランダム。これまでは基本的に規則的に描いてきたため、このようにばらけさせる描き方はしたことがない。なんというか、崩れそうな廃墟ビル?という感じもしておもしろい。

ちなみに、わたしは動物を前から描きたいと思っていたけれどうまく描けませんでした。そこでそれもAIに適当に描いてもらったところ、自分のスタイルで動物を描けることがわかりました笑。見た瞬間、「あ、こうやって描けばいいのか」と思いました笑

たしかプロンプトにはcatとか入れたら出てきた

ほかにも事例は大量にありますが、記事が長くなるのでこれくらいにしておきます。

このような感じで、何年も描いていても、あるいは何十年も描かないと見つけられなかったような描き方を、AIのおかげで発見できました。描くことで脳内に新しい回路がどんどんできてくるわけですが、AIによってそのスピードと振り幅が一気に拡張されたような感じがします。

不思議なのは、自分の絵のLoRAを使って生成した絵からは自分が描いたかのような感覚が得られるということです。(あるいはもうひとりの自分が描いてくれたような感覚というか。)一方で、もちろんLoRAを用いずに生成された画像は完全に他人が描いたような感じです。それだと自分のアイデアを超えるインパクトを感じることはありません。

AIの生成結果を見てショックを受けなかったのか?

AIの生成結果を初めて見たとき、驚きを隠せませんでした。AIによるアイデアの出力に圧倒された理由は、人間が描くものとは一風変わった、AI独特の絵が生み出されるだろうと楽観的に想像していたからです。しかし、実際には、誰にもAIが生成したことを伝えずに示した場合、自分が描いたと誤解される程度にリアルな絵が描かれたのです。

加えて、AIは驚くべきスピード、わずか7秒で1枚の絵を生成します。最初はまるで洪水のように新しいアイデアが押し寄せてくる感覚がありました。バンバン生成される結果を見ていると、最初はびっくりしてしまいますので、慣れるまでは落ち着いてゆっくり出力して順番に確認していました。現在では、バンバン生成して、生成された画像は後からまとめてゆっくりと確認するという対応策を採用しています。

画家の新しいスタイルの幕開けなのでは?

私が感じることは、AIを用いた画家の新たなスタイルがいまの時期に多く出現しているのではないかということです。以前書いた記事では、将棋のAIが新たな棋士のスタイルを生み出したという話をしました。

画像生成AIとアーティストの関係性は、初期の将棋AIと多くの共通点があるように思えます。自分の場合は、将棋の事例を知っているので、AIとともに成長したいと考えています。具体的には、AIが生成した絵を視て、そこからインスピレーションを得て、更にその先を行くアイデアを創り出すという方向で進んでいます。

また、将棋ソフトでそのようなことが行われているのかわかりませんが、AIからインスピレーションを得て描いた絵をさらにAIに学習させて、またAIが出力したものを見て自分は書く、というフィードバックを繰り返す試みにも興味があります。(すでにその途中まで進めています。)

おわりに

今年はじめに私はこのようなnoteを書きました。

その中で「テクノロジーやサイエンスで新しく見える世界を制作に生かす」という試みをしたいと書きました。また、「テクノロジーで新しく見えるようになったものを描いてみたいです。」と書きましたが、結果として「AIで見えるようになったもの」を描くという方向に進みました。

よく誤解されることですが、絵を毎日描くのはうまくなるためではありません。それよりも描くことによって新しいものの見方を発見することが、自分にとって大事です。

以上が、私がAIを活用して自分の絵を学習・生成してもらった経験についてのお話です。今後も技術が進歩し、アーティストにとって新しい可能性を提供してくれることでしょう。AIによる絵の学習・生成は、今後のアートの世界で大きなインパクトを与えると予想されます。


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