SNSに毒されすぎて、インフルエンサー広告における数字の感覚を読み違えてしまった話。

私の仕事では、「インフルエンサー広告」も、取り扱っている。

インフルエンサー広告とは、単純にいえば
「ネット上のインフルエンサーと呼ばれる人に料金を支払い、
商品を宣伝してもらうというシステム」のこと。
あまりにも一般化しているので詳しい説明は不要かと思う。

インフルエンサー広告の最近のトレンドは、ユーチューバーやインスタグラマー、
そしてツイッターの漫画家によるインフルエンサー広告である。

今回は、ツイッターの漫画家によるインフルエンサー広告に触れた際、
自分の感覚がズレていたことに衝撃を受けるとともに、
改めてSNSに毒される怖さを感じた話である。

元々私は、テレビアニメを中心に様々なメディアミックスが展開された
「ラブライブ!」「ラブライブ!サンシャイン!!」を愛していたオタクだった。
ラブライブといえば、当時は覇権中の覇権コンテンツ。
出演声優のツイッターでのフォロワー数は、他の作品に出演している声優と比べれば、
桁が二つほど違うこレベルのコンテンツであった。
それほどまでのコンテンツになると、そこに集まるオタクの発言力にも数字が集まる。
ちょっと熱の込めたツイートは何百、何千、何万とRTやいいねが付き拡散される。

さらに、ラブライブを扱ったイラストや漫画などになると、フォロワーが5万人~10万人ほどになり、
さらに安定的に稼げるRT数やいいねの数字を持ち、その数は常時、千単位、万単位がざらになる。

この数を当たり前のものとして捉える怖さがある。
そこから生まれる勘違いに怖さがある。

先述したインフルエンサー広告だが、
ツイッターでのインフルエンサー広告を扱う「漫画家リスト」というものがある。
フォロワー数とインプレッション数、さらにはエンゲージメント分析を含めた「拡散力順」になっているリストだ。

情報が情報なので詳細を記すことはできないが、
例えば、その拡散力ランキングの漫画家第一位は、

30万フォロワー 
・漫画投稿時の平均RT5500
・漫画投稿時の平均いいね40000
となる。

さらにその漫画家によるPR漫画となると
・漫画投稿時の平均RT120~1500
・漫画投稿時の平均いいね1300~14000
といったものだ。

この数字を見て、
普通にツイッターを使用しているものであれば「かなり多い」という感覚になるのだが、
ラブライブというコンテンツの数字の感覚を持つと、「思ったより少ない」という結果になる。

この感覚のズレこそが怖さなのだ。
ちなみに私は、この案件を最初に触れた時、「思ったよりも少ない」と判断してしまった。
その後、提案までにしっかりと熟慮して感覚を持ち直したが、
初見でその数字を見たその瞬間に判断したことが、社会の感覚と大きなズレがあったのだ。
それは圧倒的な恐怖が押し寄せた瞬間でもあった。
「自分の感覚がズレている」と。

一般的なマーケティングを行う際、特にSNSを利用したものを扱う場合には、
数字への感覚は旧時代の広告媒体よりもかなりシビアである必要がある。
拾う数字が精密である分、数字の読み方を間違えると売り物にならないからだ。

別の媒体の話になるが、現在の広告システムで、スマホのGPSを利用した広告システムが存在する。
そのシステムの中には、広告を見た人が最終的に何人くらい来店したかといった「来店計測」ができるものがある。
このシステムをあるクライアントで実施した際、「来店計測」で「1」と出たことがある。
広告を見て来店した人が「1人」である。
これを多いとみるか少ないとみるかでいえば、単純にいえばめちゃくちゃ少ないのだが、
システム上で「1」という数字がしっかり取れたという意味では成功となる。
言葉遊びのような話だが、現実としてその「1」という数字が取れたという事実が、システムとしては重要なものになる。

拾ったその数字を正確に判断できるかどうか。
その感覚をしっかりと持てなければ、
どんなに良い媒体もまともに扱えないということである。

そもそも、数字にズレが発生する大きな要因は、
「コンテンツに寄り掛かっている」という、
コンテンツブーストを正確に把握できていないことによるものである。
これは数字を見る上ではもちろんのこと、

自分の実力さえもあやふやにする危険なものである。

ありがとうございます! 今後ともよろしくお願いします! なんでもひとつ、願いを聞くくらいの気持ちはあります(笑)