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【夏の定番曲】残酷な天使のテーゼ / 高橋洋子 in 新宿ゴールデン街

#夏の定番曲
夏の投稿チャレンジにチャレンジしています!

いや、夏というよりこの世の定番曲でしょ、というツッコミがあるのは重々承知している。
けどこの夏、強烈な印象を受けたので改めて語りたいのです。
それにエヴァの世界って地球の地軸が傾いてずっと夏だから、夏ソングとしてもいいということにする。

クールジャパンの大将:ゴールデン街

最近、将来について思い悩む休職者なので、色んな人の話を聞きたい。
そんな時にうってつけなのが新宿ゴールデン街だ。

大学生の頃にファンキーな先輩に連れて行ってもらってから、時々ゴールデン街に足を運んでいる。
前職の過酷な勤務形態の時は、どうせ帰っても休めないし、終電後はタクシー代も出るしってことでゴールデン街で飲んで、ちょっとサウナで仮眠をとってから出勤するなんてこともしていた。そりゃ身体壊すわ。
ここ数年足が遠のいていたけど、めちゃくちゃバラバラな老若男女と自然に話ができるので、また時々行くようにしている。

ゴールデン街は今やインバウンド客の格好の旅行スポットで、街を歩いていると外国人旅行客の方が多いんじゃないかと思うほどだ。
盛んにインバウンドマネーを取り込む店もあれば、馴染みの客の安全地帯として”Members Only”と貼り紙をしている店もある。
けれど感触としては分け隔てなく受け入れるお店が多い印象だ。

今は円安ということもあって多種多様な外国人が日本を訪れていると思うのだけど、ジャパニーズカルチャーもろ出しのゴールデン街には日本の文化、とりわけアニメが好きな外国人が多い印象を受けた。

日本の音楽の浸透具合がすごい

先日、たまたま入った店に数人の外国人旅行客がいた。
彼らはアニメ大好きで、一人はアニメ学習でまあまあ日本語が話せるほどだった。
その店ではリクエストで好きな曲を流せるスタイルで、各々好きな曲をかけていた。
LUNA SEAやGLAYといった90年代頃のヴィジュアル系寄りのバンドから、最近海外でもバズり中の『真夜中のドア/Stay With Me』をはじめとする80年代シティポップ、そしてYOASOBI『アイドル』や凛として時雨『unreveal』など近年アニメ主題歌など、「なんでそんなに知ってんねん」と思うほどに流すし、歌える。
そんな中、全員が間違いなくぶち上がるのが『残酷な天使のテーゼ』だった。

エヴァガチ勢の理解がすごい

エヴァンゲリオンは、多彩なテーマを含む難解な物語だ。
自分も大好きで、オリジナルアニメ版から旧劇場版、そして新劇場版まで何度も見ているが全てを理解しているとは言えないし、半ば理解を放棄しているところもある。

自分は主人公、シンジくんにかなり共感してしまう性分で、辛い仕事を黙々とする時に死んだ目で「目標をセンターに入れてスイッチ。目標をセンターに入れてスイッチ」と呟いていた。
大人になれない、他者との境界を恐れるがあまりに心を閉ざしているのに、自我を捨てられず、欲求も制御できない。そんな「最低だ、俺って」で「気持ち悪い」(共に旧劇場版『Air/まごころを君に』より)な人間が僕だ。

そんなだから、海外のアニメっ子たちがエヴァをどんな印象で観ているのか気になって、拙い英語で聞いてみた。
答えてくれたのは、大学を卒業して世界中を旅しているフランス人のGさん。若干23歳の若さでヨーロッパから南米、アフリカ、中央アジアを経て日本にやってきた強者。
そしてあらゆるアニメに精通しているガチのアニオタであった。
おジャ魔女ドレミやプリキュアなど女児向けアニメから、ハルヒやらきすたなどのちょっと懐かしいもの、そして進撃の巨人や推しの子、葬送のフリーレンのような最近のものまで一通り通っている。

そんなGさんのエヴァ評は手厳しく、愛のあるものだった。
「ストーリーはめっちゃ好きだけど、キャラクターが嫌いだ。特にシンジ。己を克服して、進展したかと思ったらすぐに元に戻る。納得がいかないよ。
新劇場版ではいくらか進歩したと思うけど、オリジナルシリーズは納得がいかないね」

これ、一見シンジくんのアンチに見えるけど、エヴァ全体のテーマを深く理解した上での発言に思えて震えた。

ここで一度、新劇場版のタイトルと英題、副題をご覧いただきたい。


ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 
 EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE.

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 
 EVANGELION:2.0 YOU CAN (NOT) ADVANCE.

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
 EVANGELION:3.0 YOU CAN (NOT) REDO.

シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇
 EVANGELION:3.0+1.0 THRICE UPON A TIME


意味がよくわからないでしょう。
(not)って結局どっちなの?
自分にもわからないし、さまざまな考察がされているけれど、答えを知っているのは庵野監督だけなのだと思う。

僕自身の解釈としては、YOU(シンジくんなのか、ゲンドウくんなのか、その他なのかは別として)が、孤独であり、前進でき、やり直せるかも知れないけど、できないかも知れない。
アンビバレンスな世界の中で、意思をどう持つのか。
そんなテーマがあるのだと勝手に考えている。

フランスのGさんは、せっかく”ADVANCE”したのに過ちを”REDO”するシンジくんの姿にモヤモヤしていた。乗るなって言われたエヴァに乗ったし。
この煮え切らなさこそ、エヴァなのでは?
この人めちゃくちゃ熱心な視聴者なのでは?

そして自分自身、受け身で煮え切らない意思薄弱者だからこそ、シンジくんに共感してしうまうのでは???

Gさんの一言によって、エヴァについて、自分自身について考えさせられた真夏の夜なのでした。

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