子供が「自信を持つようになる」には
こんにちは!かずまです。
なんだか夏のような日差しになってきましたね。
今日は「子供が自信を持つようになるには」何が必要なのかを考えたいと思います。
みんな同じ感想を抱く子供たち
「自信を持っている状態」とはどんな状態でしょうか。僕は4年前、まだブラジルから帰国して間もない頃、とても興味深い経験をきっかけに考えるようになりました。
それは初めて小学校でお話しする機会をいただいたときでした。ブラジルの文化紹介をしたのですが、その感想を聞く時間になったときです。
どの子の感想も「ブラジルについて知れて良かった」「人種が違っても仲良くしないといけなかった」というよう、コピーアンドペーストのような、本当に同じようなものだったのです。
僕はびっくりして、「なんでみんな似てるんだろう、本当に思ったことが一緒なのかな」と思いました。僕の話し方がそういう答えを誘導するようなものだったのか、あるいは他に原因があるのか、わかりませんでした。
そこでその後、学校で話をするたびに、観察してみることにました。
実は出てくるいろんな感想
色々と見てみると、ある条件の時、色んな答えが出てくるようになることがわかりました。
それは、「いいね!」でいっぱいにしたときでした。「あなたはそう思ったんだね、いいね!」とか「それおもしろい発想!!」「僕はそのアイデア好きだ!」とか、ポジティブに返すことで、子供たちからも「〜に見える!」「〜じゃないかな?」「なんで!わからない!」など、様々な感想が出てくるようになったのです。
もちろん全員じゃありませんが、初めの頃の右にならえ状態から比べると、もう断然違いました。これはやっていて本当に楽しいものです。大人が考えつかないような素敵なアイデアとたくさん出会える、本当に貴重な時間です。
(実は、今回オンライン教室では、それを「思いっきり勉強に転用したらどうなるんだろう」という思いもありました。結果は本当におもしろいものになりました。ブッ飛んだ意見、心優しい意見、人を笑わせる意見、素直な意見、それはそれは本当にたくさんの意見に触れることができました。子供の発想力の深さに改めて驚かされました。)
では、なぜそんな「アイデアを持つ子供」が一様な感想をいうようになってしまうのでしょうか。
大人が思う以上に「大人の顔色を見る」のが子供
去年、とある勉強会に参加していた時、保育士の方とお話しする機会がありました。大変興味深くお話を伺っていたのですが、その中で、驚いたことがありました。なんと「幼児は早い段階から親の顔色を見て行動してる」というのです。子供は大人が思っている以上に、大人の顔を見ているんだと、教えてくれました。
「もしかしたら、子供は大人が喜ぶようなことを選んでしているのかもしれない」
そう思いました。先に紹介した「一様な答え」も、彼らが大人との経験から編み出した「大人が喜ぶ答え」だったのかもしれません。だから、みんな似たようなものになってしまったのではないでしょうか。
その後、資料を見ていくと、マルトリートメント(児童虐待、避けるべき子育て)が子供の脳に影響を及ぼすことも知りました。大人の態度が子供の脳にまで及ぶことがあるんだと知りました。大人の反応が、いかに子供にとって大きいかがわかります。
たとえば、子どもがマルトリートメントなどの強いストレスにさらされると、コルチゾールの濃度が高まり、海馬の神経細胞が損傷を受けることになります。特に3歳から5歳の幼児期に激しい精神的ストレスを受けると海馬が萎縮し、その結果学習能力や記憶力の低下を引き起こす可能性があります。
出典:「海馬」ー幼少期のマルトリートメント経験で萎縮, 親の脳を癒せば子どもの脳は変わる, 友田朋美, NHK出版新書
鍵は「受け入れられる」こと
では、どうしたら「自分に自信を持って」「自分の考えを言える」ようになるのか。これも色々試行錯誤してみて、結果、その鍵は「受け入れられる」ことにあると僕は思っています。「いいね!」はそのひとつの表現なのですが、要するに「あなたのことを受け入れます」という姿勢です。
意見を誰かに伝えるのは、誰でも勇気のいることです。例えば、愛する人にその気持ちを打ち明ける時、人はとても緊張します。「ダメだったらどうしよう」とか「関係が壊れたらどうしよう」とか、頭グルグルです。(笑)
まして前述の通り、子供は大人の反応に大変敏感ですから、そんな大人から「違うよ」なんて言われ続けたら(好きな人から「No」って言われ続けたら)、それはもう自信なんてなくなってしまいます。「ああ、自分はダメなんだ。」って。これは本当にもったいないことだと思います。
人は「受け入れられる」とどうなるのか
逆に、誰かから「受け入れられている」と、子供は強くなります。「自分の意見は価値がある」と思えてくると、自信が湧いてきます。課題を解決しなければならない時に、萎縮せず意見を出せるようになります。
実例を紹介しますと、僕の教え子で、勉強がとても嫌いだった男の子がいます。初めは「わからない」「つまんない」「やりたくない」でいっぱいでした。ところが、だんだんと自信がついて、問題に取り組むことに慣れ、自分で解くことが楽しくなっていくと、少しずつ考える時間が増えていきました。いまや「ヒントいる?」と聞くと「待って!言わないで!」と言うほどになっています。
さらに喜ばしいのは、このような子たちが「色々なストレスがかかった時、そのストレスに立ち向かっていく姿を見せている」ことです。自信がつくと、たくましくなるんですね。世の中、常に自分を受け入れてくれる環境ばかりではありませんから、この兆候はとても心強く思っています。
急がば回れ
しかしながら、この「いいね!」「おもしろいね!」と受け入れながら教えることは、非常に回りくどいことなのかもしれません。
例えば、算数で、「答えがA」のとき、子供が「B」と答えたとします。その時、どうやって答えを教えるでしょうか。
「残念!正解はAだ!なぜかというと〜」と言ってしまえばそれで終わりなのですが、僕は次のように話をもっていくことがあります。
「そうか、Bと思ったんだね!どういうところからそう思った? へぇ!なるほど。じゃあやってみよう。どうかな。お、答えはBじゃなさそう? どうするか。うん、Aで? そうか、やってみよう。お、うまくいきそう!やった!!」
内容や子供によって変わりますが、これは子供を受け入れながら伴走する例です。このように理解の道すじを示してあげると「あ、そういうことか!」と自分で気づくことができ、何より「自分の力でできた!」という自信になります。実は、もともと苦手意識を持っている子ほどハマって大好きになったりします(子供パワーは本当にすごいです)。
こういう子供をみると、「ああ、急がば回れは本当だな」と思うんです。
自信満々な子供で溢れる世界
本当に残念なことに、自信は一朝一夕で身につくものではありません。時間がかかるものです。ですが、子供の時に自信をつけることは、その後の人生を大きく左右することだ思っています。
それは「自分に自信を持った子は、自分で課題を解決できると信じている子」だからです。
人間、生きていれば必ず壁にぶち当たります。その時、「自分はクリアできる」と思えていたとしたら、それはそれは頼もしいと思いませんか。
子供の成長は大人の働きかけ次第で大きく変わります。皆さんもぜひ「受け入れて」みてください。そして、いい結果になったり、違った結果になったり、もっと良い方法を見つけたりしたら、ぜひ教えてください!!
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