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少女たちへの性的搾取の実態に迫った『SNS-少女たちの10日間-』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:1/77👑
   ストーリー:★★★★★★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★★

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】

ドキュメンタリー
性的虐待
性的搾取
ロリコン
SNSの闇

【あらすじ】

巨大な撮影スタジオに作られた3つの子ども部屋で、幼い顔立ちをした3名の女優(18歳以上)は、偽のSNSアカウントで12歳のふりをするという任務を与えられた。

彼女らはそれぞれ部屋のPCで、連絡をしてきたすべての年齢の男性とコミュニケーションを取った。大多数の成人男性はビデオセックスを要求し、自身の性器の写真やポルノのリンクを送信してきた。中には恐喝する者も。

精神科医、性科学者、弁護士や警備員など、専門家の万全なバックアップやアフターケアを用意しながら撮影を続けること10日間。児童への性的搾取者が徐々に尻尾を出し始めるのだった…。

【感想】

これは、、、今年に入って観た映画の中で一番面白かったです。いや、面白いといったら不謹慎かもしれませんが、、、少女を取り巻くSNSの環境について、想像以上にえげつない実態を知れる点で、とても興味深い内容です。

<気持ち悪いオオカミの群れ>

人の性癖や性的嗜好にとやかく言うつもりはありません。そうは言っても、ここに出てくる男たちは同じ男性から見ても、、、気持ち悪いと言わざるを得なかったです。アカウント開設から5分で16人もの男性からのコンタクトが来たんですよ。そんなすぐに見つかるもんなんですかね。。。結局、この3人の女優は10日間で2,458人の男性から連絡が来たそうで。。。オオカミが近寄ってくる様子は想像しただけで寒気がします。。。

年齢はバラバラですが、作中では40代以上のおっさんが目立った印象ですね。目と口以外はモザイクで覆われているものの、何となくの風貌はわかります。別に顔の善し悪しで決めるわけではまったくないですけど、「おまえよくそのビジュアルでそんなこと言えるな」って思っちゃうぐらいには、言動が混沌を極めていました。

<明確に定められたルール>

男たちとコミュニケーションを取る上で、以下のようなルールが設けられています。

1.自分からは連絡しない
2.12歳であることをハッキリ告げる
3.誘惑や挑発はしない
4.露骨な性的支持は避ける
5.何度も頼まれたときのみ、裸の写真を送る(合成された偽の写真)
6.こちらから会う約束を持ちかけない
7.撮影中は現場にいる精神科医や弁護士などに相談する

<男たちの興味の的>

上記ルールに則って、少女役の3人は男性とコミュニケーションを取ります。しかし、「Hi」から始まる簡単な挨拶の後、ほとんどの男は性的な質問を始めます。そして、服を脱げだの裸の写真を送れだの要求がエスカレート。求めてもいないのに、勝手に自ら服を脱ぎ、チ〇コを見せびらかす人もいれば、手が机の下で小刻みに揺れている人もいます。中には「射精できなくて苦しい。君の胸の写真があればイケる。だから送ってくれ」と、訳の分からないことをほざく人まで現れる始末でした。結局、性的なことしか考えていないわけです。

僕からしたら、そもそも知らない女性にfacebookでビデオチャットするってのが考えられませんけどね。で、「12歳だけどいい?」と聞くと、全員「年齢なんて関係ないよ」と言うんです。ちなみに、チェコでは15歳未満に対する性的な目的でのやり取りは違法とされているそう。なので、こいつら全員犯罪者になりますね。

<実際に会ってわかるヤバさ>

その後、何人かの男とは会うことになります。大勢でにぎわうカフェですね。事前にマイクやカメラを仕込み、いざというときのために、セキュリティも忍ばせていました。ところが、公共の場であるにも関わらず、おっさんたちは少女にこの後のホテルでの流れや、陰部に関するトークを繰り広げます。男女のペアで来て、3Pを持ちかける人がいることにも驚きました。

これ、ドキュメンタリーですよ?男たちは実在する一般人で、女優を12歳の少女だと認識した上で言ってるんですからね?

<男性たちに圧倒的に欠けているもの>

本物の12歳だったら、何が起きているのか理解できずに、男の言いなりになってしまう人もいるでしょう。でも、問題視すべきは男たちの方ですよ。12歳の少女にそういうことを平気で要求するんですから。それで、彼女たちがどう思うか、彼女たちの人格に影響が出てしまわないか。そういう想像力や配慮が欠如しています。

というか、彼らは何も気にしないんです。もはや興味がないんでしょう。それは、少女たちをひとりの人間としてではなく、性欲のはけ口という記号でしか認識していないから。そして、相手を自分より弱い存在だと思ってなめているから。

本来、子供を導くべき立場にある大人が、その責任を果たしていないばかりか、子供を食い物にしようとしているんです。幼い頃にこんな大人とやり取りしたら、男性観歪むし、その後の男女関係に多大な影響が出ますよね。。。

実は僕も6歳ぐらいのとき、近からずとも遠からずなことがあり。。。通学中の電車の中で見ず知らずの男に突然股間をつかまれたり、手を握られたり。。。それ以来、「男っていうものは気持ち悪い怖い存在である」と思うようになって、いまだにその認識は消えません。なので、女性からしたらもっと恐怖に感じるのではないでしょうか。

おそらく、このドキュメンタリーのようなことは、日本でも表沙汰になっていないものも含めるとたくさんあるんだろうなと思います。昔だって出会い系の掲示板とかありましたから、ツールが変わるだけで、やっていることは変わらないんですよね。

<これから考えるべきこと>

作中の弁護士も言ってましたけど、サービス提供者はこういうのを取り締まらないんですよ。そうすることで利用者が減って、広告収入が減ってしまうから。だから、ある程度は自己防衛するしかないんです。

子供がいる人にとっては、我が子とSNSの関わり合いについて考えさせられるでしょう。全部わかった上で交流していく人と、危険性を知らずにやってしまうのとでは大きく違いますし、例えわかっていたとしても、子供には責任を負えませんから。そういう弱い立場であることを利用して、上からやってくるんですよ。こういうおっさんたちは。

こういうことが「ヤバい」、「危険である」と子供がわかるような価値観を持ってくれるには、どういうふうに育てたらいいんでしょう。子を持つ親、または子供を関わることの多い教師なんかは、いろいろ考えさせられると思います。

<それでもこの映画を観て欲しい理由>

だからこそ、この映画を観て欲しいと僕は思います。もしかしたら、女性はこれを観てものすごく胸糞悪くなるかもしれません。でも、自分たちだったらどう対処すべきかを考えるきっかけになるからです。また、僕は男性こそ観るべきかもなと思います。同じ男性として、第三者の立場から、ここに出てくる男たちの言動を観察することで、弱い立場にある人に対する身勝手さや勘違いっぷりが自分にもないか、見直すことにつながるかもしれないので。


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