オタク心に響く『500ページの夢の束』

『スター・トレック』の二次創作感ある映画だった。

施設にいる自閉症のダコタ・ファニングが、
『スター・トレック』の脚本コンテストに応募しようとするも、
郵送では間に合わず、自らロサンゼルスに向かうという話。

そもそも誰かに投函頼んだり、車に乗せてってもらえばよかったのでは、
という人がいる気もするけれど、
彼女のこだわりと、一応そうなる経緯もあるので、
そこはそれでいいのだと個人的には思う。

自閉症ってことで、なかなか普通の人のようにはふるまえないことも多く、
道中、騙されたり、逆にいい人に巡り会えたり、
「そんなことまでできるか?」っていう機転を利かせたりで、
右往左往しながら目的地に向かうまでの過程は面白かった。

物語の中で、ダコタ・ファニングの持つ
『スター・トレック』の知識がずば抜けてるのだけど、
途中、捜索願いの連絡を聞いて彼女を見つけた警察官が、
同じように『スター・トレック』が好きで、
警戒する彼女にヴァルカン語(架空の言葉)で会話するところとか、
「マジでオタクって世界救えるんじゃね?」
ってぐらいの興奮があったわ。

わかる人にしかわからない。
だからこそ生まれる信頼がある。
あの感じ、よかったなあ。
同じ作品を愛する人同士、初対面でも同志感あるよね。
まあ『FFX』でいうと「アルベド語」で話すようなもんだから、
お互いに相当の知識がないと無理だろうけど(笑)

でも個人的に一番好きだったのは、
施設で彼女の面倒を見てくれているトニ・コレットが
全然映画に詳しくなくて、
「『スター・ウォーズ』のカーク船長」つってて、
息子に「いっぺん死のう」と言われてたシーン。

作品の間違いは確かにイラッとするときがある。
オタク心をよくわかってる映画だなと思った(笑)

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