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古き良き時の流れを味わえる『ペイン・アンド・グローリー』

【基本情報】

 原題:Dolor y gloria
 英題:Pain and Glory
製作年:2019年
製作国:スペイン
⠀ 配給:キノフィルムズ

【個人的順位】

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:53/79
牧歌的☺️:★★★☆☆
⠀ 感動😭:★★★☆☆
⠀ 哀愁😞:★★★☆☆

【ストーリー】

母を失った悲しみと脊椎の痛みから、生きがいを見出せなくなった世界的映画監督のサルバドール・マロ(アントニオ・バンデラス)は、心身共に疲れ、引退を余儀なくされていた。

そんな彼のもとに、32年前に作った映画『風味』の再上映依頼が届き、それをきっかけに振り返る自分の人生と思わぬ再会。

そこで彼が思い出したこととは。

【感想】

なかなか最近の映画にはないような雰囲気を感じました。古き良き時代みたいな。ドラマチックな展開は一切ないのですが、牧歌的な時の流れが妙に心地いいんですよね。ちなみに、この映画は一部ペドロ・アルモドバル監督の
自伝的な要素も含んでいるらしいので、監督自らの体験を美化するとあんな雰囲気になるんでしょうかね。

話自体は、還暦の映画監督サルバドールの思い出話と現代の生き様っていう2つの時間軸で進んでいきます。
現代の彼は原因不明(加齢による?)の体の痛みを持っていて、それをヘロインで和らげる術を知ってしまうんですよ。いい歳したおじさんなのにやや中毒っぽくなっていくところが、孤独な老人の行く末感あって、ちょっと哀愁漂ってるんですよね。なんか、自分の未来を観ている感じがしてちょっと悲しかったです(笑)

でも、かつての恋人(男性)との再会を懐かしむことで、その孤独が払拭される温かみを感じました。しかも、お互いに体を求めようとするんですから、まだ愛が残っているんだなってしみじみ感じましたよ。

これ、若かったら確実にベッドインだったと思いますけど、サルバドールの「神の求める結果にしよう」みたいなセリフで、熱いキスだけで別れるところは、すごく大人というか、人としていいなと思えるシーンたでした。まあ、相手には家族もいるし、お互い還暦ぐらいだから、そこでヒャッハー!とパコパコし始めたら、この映画の雰囲気台無しになると思いますけどw

また、亡くなった母親との思い出のシーンは、観ている人誰もが共感できるところがあるだろうし、僕も自分の母親を思い浮かべながら観ていると涙が出てきたので、涙もろい人はハンカチ必須ですね。

"映画"がテーマになっているので、『ニュー・シネマ・パラダイス』を彷彿とさせるところもあるんですが、エピソードが複数あったから、もう少し絞ってくれた方が個人的にはよかったかなーっていうのが正直な感想です。なんとなーく、上の世代の人に好まれそうな作品だなと思いました。

ただ、唯一謎だったのは、画家のにーちゃんが無駄にモザイクなしのすっぽんぽんだったこと。監督本人が同性愛に目覚めたきっかけとかなのだろうかなって勝手に思っていますが、どうなんでしょうか(そこを明言するような描写はありませんでしたけど)。

あと、みんなオシャレ。すんごくオシャレ。あんな色の服、日本人じゃ着こなせない(笑)うらやましい限りです。


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