過去作の中で最も男女の情愛が強かった『アリー/ スター誕生』

アル中のおっさんと才能ある姉ちゃんの映画。

歌手を夢見るレディ・ガガが、
大スターのブラッドリー・クーパーに見出され、
トントン拍子でトップに登りつめる一方で、
アル中のブラッドリー・クーパーは
どんどん落ちぶれていくという立場逆転劇で、
そんな中での2人のラブストーリーが印象的だった。

あのレディ・ガガが映画に出るってんで気になってたんだけど、
調べたらこの映画、今回で3回目のリメイクなんだよね。
(1937年のオリジナルに、1954年、1976年、そして今回の2018年)
個人的にはリメイクモノやシリーズモノは
過去作を全部見てから最新作に臨みたいので、
TSUTAYA駆けずり回って全部見ました(笑)

結論から言うと、流れはどれもほとんどいっしょ。
なので、俺はこの2日間で同じような映画を4本見て、
しかもオチまですべてわかっていたので、
今回の映画については特に驚きや感動はなかった(笑)
逆に言えば、1作目はラストがけっこう衝撃的で、
けっこう面白かったんだよね。

その1作目である1937年版は、
女優を夢見てハリウッドに来たヒロインが、
大スター俳優に見初められ、
トントン拍子でトップに登りつめるというもの。
なお、ここでヒロインを演じたジャネット・ゲイナーは、
1927年に第1回アカデミー主演女優賞を獲った人で、
1986年までその最年少記録は破られなかったそう。

続いて1954年版は、上記とほぼ同じ。
歌とダンスが追加されてミュージカル調になっているのだけど、
単純に上記の話に歌とダンスがプラスオンされているので、
その分尺が長くなっていて、ちょっとだれてしまった印象。

1976年版は、設定が映画業界から音楽業界へと変更。
なので、これが2018年版に近い。
大まかな展開は過去作と変わらないけど、
より男女の情愛が強くなっていた。

そして今回の2018年版は、
過去作の中でも一番ラブストーリー感が強かった。
さらにレディ・ガガも気に入らないやつに食ってかかるなど、
ヒロインもこの80年でかなり強くなったように感じる。
過去作ではそんな描写一切なかったから、
女性の社会的地位の向上とかも関係しているんだと思う。

4つに共通しているのは、女性が時流に乗って出世していく中で、
男は落ちぶれて嫉妬してしまうという流れ。

そこで町山智浩がラジオで言っていたことがすごく共感できたんだよね。
(とはいえ、実際にラジオは聞いてなくて、
 後からネットの書き起こしを読んだのだけど)
内容としては、『シュガーラッシュ:オンライン』にも
通じるところがあるってところ。

あれもどんどんまわりに適応して先に進むヴァネロペと、
これまでのやり方や関係性にこだわってうまくいかなくなり、
相手に嫉妬してしまうラルフの対比があるから、
女性は先に進むけど、男は変なところにこだわるっていうのは、
昔から不変の男女の違いなのかもしれない。

あとこの作品は、タイトルにもある通り、スターが生まれる話だけど、
ヒロインが素人からのスタートってわけではないんだよね。
元々けっこうキャリア積んでるところから始まってる。
どの作品もヒロインを演じた女優は実年齢が30代前半で、
役どころも10代20代のキャピキャピ素人娘の夢追い物語ではなく、
それなりに歌手活動をした上で、大スターに見出されている。
(ただ、1937年版だけは例外で、
 あれは完全な素人からのスタートだったから、
 トントン拍子感がやばかった)

そして大スター役の俳優は40代前半かつアル中。
酒癖の悪さが異常。
特に2018年版のブラッドリー・クーパーが一番ひどかった。

個人的には、ほぼ同じような流れなのに、
正直そこまでリメイクしまくる必要あるのかなって思ってしまうけど、
今作を初めて見る人はまた違って見えるのかもしれない。

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