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日本の運命を変えた『ミッドウェイ』

【基本情報】

 原題:Midway
製作年:2019年
製作国:アメリカ
 配給:キノフィルムズ

【個人的順位】

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:17/122
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★★★★★★★★
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】

1941年12月7日、日本軍は山本五十六(豊川悦司)の命により、ハワイの真珠湾に攻撃を仕掛ける。

大打撃を受けたアメリカ側は、その反省から日本軍の情報収集に注力し、次なる目的地をハワイ諸島北西のミッドウェイ島と分析し、全戦力を集中した逆襲に勝負をかける。

そしてついに、空中・海上・海中のすべてが戦場となる3日間の壮絶な戦いが幕を開ける。

【感想】

これは日本人として絶対に観ておいた方がいい映画だと思います。第二次世界大戦における日米の激しい攻防の中、それまで優勢だった日本軍が一気に形勢逆転された運命の戦い。もしこれに勝っていたら、未来は大きく変わったかもしれません。

正直、緻密なストーリーとか魅力的なキャラクター云々というのはそんなにないんですが、歴史的意義の大きさや戦闘シーンの臨場感に飲まれそうになるので、まさに映画館で観た方がいい作品ですね。

実は過去にミッドウェイ海戦を扱った映画はけっこうあるんですよ。中にはあの三船敏郎が出演しているものもあるぐらいで。ただ、残念ながら僕はどれも観ておらず。。。なので過去作品との比較はできませんが、本作の特徴はそのミッドウェイ海戦を日米両国の視点から描いたというところがポイントになっています。

ただ、、、日米両国の視点とはあるものの、個人的にはアメリカ寄りだなとは感じました(笑)使われているシーンもアメリカ側が多いですし、日本人の登場人物は淡々と描かれており、正直キャラクターによる差があまり見受けられませんし、何よりもアメリカが勝ってますからね、、、彼らの美談のように見えてしまう部分はあります。

本作では真珠湾攻撃から始まり、ドーリットル空襲(アメリカによる初の空襲で東京大空襲とは別)、そしてミッドウェイ海戦の3つの出来事が描かれているんですが、とにかく映像がすごいんですよ。

昨年、『アルキメデスの大戦』を観たとき、あまりにも迫力ある映像に「ついに邦画もここまで来たか!」と唸ったものですが、本作は優にそれを超えていて、レベチってこういうことかと思いました。

一番すごかったのは、巨大な空母やおびただしい数の戦闘機による総力戦が行われる中、飛び交う弾の数のとんでもなさですよ。シューティングゲームである"弾幕"、まさにあのまんまで、一発でも当たったら致命的な弾が雨のように降り注ぐ中、よくパイロットたちは突っ込んでいけるなと。。。この臨場感はハンパなくて、4DXで観たいぐらいでした。

そんな中でも、僕は序盤の真珠湾攻撃が特に印象的だと感じたんですが、これって普通に民家から見える距離に停泊していた戦艦が悉く破壊されていくんですよ。それを見たときのアメリカの民間人ってどんな気持ちだったんだろうって。みんなの期待が集まる米軍の戦艦が目の前で潰されるって、相当精神的ダメージが大きかったのではないでしょうか。このときはちょっと日本軍に対してやりすぎなのではって思ってしまいましたが。。。とはいえ、戦争ですからね、長引けば国力の差で日本が不利になるから短期決戦に持ち込むために真珠湾の軍事施設を攻撃するという至極真っ当な作戦ではあります。

また、アメリカ軍が日本軍にメッチャビビってる描写にも驚きました。今だとエンタメにしろビジネスにしろ、アメリカの方が進んでいるイメージが強いじゃないないですか。さらに、ハリウッドの軍事モノの映画を観ると、屈強な男たちが眩しいぐらいの自信で「俺らが最強だ!」なんて言ってますよね。そんな先進的かつ強いアメリカ人たちが「日本軍は無敵だ」「日本軍に勝てるのか」って言ってるんで、こんな小さな島国が大国をここまでビビらせるとは、そんなに日本って強かったんだっていう意外さがありました。

僕がこの映画を観て一番強く思ったのは、本当に日本とアメリカって命の取り合いをしていたんだっていう信じられなさと悲しさです。何をいまさらって感じなんですが、これまで戦争映画を観ても正直他人事だったんですよね(日本が関わっていないものだと余計に)。

でも、これは自分たちの国が当事者であるっていうのと、戦争世代があと10~20年したらみんないなくなってしまうって考えたら、急に当時の人たちに想いを馳せるようになって。

以前、父方のひいじーちゃんが書いた日記を見つけて、「一郎(じーちゃん)が戦地へ行ってしまい会えなくて妻と共に泣いた」って書いてあるのを読んだってのも大きいですね。

今でこそお互いの国を自由に行き来できて(まあ今はコロナですけど)、お互いの文化を楽しむようにはなっていますが、じーちゃんばーちゃんの世代では殺し合いをしていたってのがちょっと信じられないというか、映画でしか戦争を知らないのでフィクションだと思ってしまう自分と、「あ、これ現実に起こってたんだ」と考えて悲しくなる自分と両方いて、複雑な気持ちになります。明らかに昔とは違う感じ方をするようになったんですよね。

こういう戦争映画だと政治的な意味合いやら思想やらでいろんな意見が出てきますが、僕は歴史的事実に対する興味と、観るものを魅了する映像クオリティに、とても面白さを感じました。

日本人として、ぜひ観ておきたい一本です。


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