肩の力を抜いて楽に勝利しよう
はじめに
日経平均が6月には33年ぶりに3万円を大きく超えて34000円に迫るところまで上昇しました。つい、4月までは28000円辺りまで上げると頭打ちになることを繰り返していたのですが、5月に入ると、29000円を抜けてきました。そして連休明けから上昇ピッチが速まり、わずか1か月程度でその水準まで上げたのでした。3万円という水準は2年半前の2月に一度到達し、その後はコロナ禍の規制がでて反落に転じた後、9月には再び買われて30800円近くまで上昇しています。それ以後、25000円割れを底にして28000円台まで行ったり来たりを繰り返していたのです。つまり、3万円乗せは実に1年半ぶりの出来事になったのです。多くの投資家はこの久しぶりの上昇をみて、先行き期待が強まればよかったのですが、「どうせまた下がる」と冷ややかにみられ、積極的に日本株に期待しませんでした。したがって、3万円を超える動きが一段と強まった局面では買うというよりも手持ちの株式を売却し、目先の利く投資家はカラ売り(信用取引の手法で下がれば利益を得られる)をする始末でした。これまで何回も28000円超え場面で買っては損させられた苦い経験から「今度もまた、下がる」と考えて買おうとしなかったのです。しかし、日経平均はこうした悲観的な見方をあざ笑うかのようにタッタカタッタカ上げ続けて5月22日に31000円突破、6月5日に32000円を抜け、そしてついに18日には33000円をも通過して、19日になって33772円の高値を付けてようやく、調整局面に入ったのでした。
3万円を抜けてからわずか1か月余りで実に33年間という長い間みることができなかった高見に
到達したのでした。これは大事件と呼ぶしかない大変な出来事になったのでした。なぜ、そこまで大きく上げたのか、その要因についてはのちほど説明することにします。
このように誰もが3万円抜けなどあっても長続きしないとみて、専門家までもが警戒感を強める始末でした。マスメデァも上げていくことに対して期待感を示すような説明はなく、悲観的な見方が多かったのでした。そういうことですから投資家も日経平均が上がれば警戒感を一層強めて買うべしという発想はでてくることはなかったのでした。しかし、これまで株式投資をしたことのなかった人にとっては連日上げていく動きは魅力的に映り、投資を説明する研究会や教室などに積極的に参加するという1990年以後、みられなかった現象が起きていました。しかし、資金を集めて調子のよい話だけをしてなんにもせずに持ち逃げされるという横領事件も何件かみられ、なけなしの資金を取られて自殺に追い込まれる悲劇も出てきました。何しろ定年を終えて年金だけでは生活ができない人や借金を抱える低賃金の人にとって株式投資は魅力に映ります。それを何とかしたいと考えて投資教室の門戸をたたくのですが、調子のよい話を聞かされて運用ために資金を預かるといって騙されてもち逃げされた話がそこら中にあります。昔からその手の話に乗せられて失敗する人が後を絶ちません。
大事な自分のお金を簡単に預けてしまう発想が理解できません。世の中、宝くじでも当たらない限りまとまった資金はそう簡単に手に入らないのが常識です。預ける人は毎日、支払いに追い込まれているため、何とかしたいと考えているため、ついつい年間何割かの運用益が手に入るのであればと、なけなしのお金を渡してしまうのです。
株式投資は手軽にだれでもできるのですが、どうすれば成果を得られるのか、そこが難しいところです。自分で考えてもわからない。そこでプロと自認する運用者に渡して任せることが手っ取り早いと考えてしまうのです。それが騙す方の付け目になったのでした。こういう悲劇を繰り返さないためにはどうすればいいのでしょうか。それは自分で投資作戦を考えて実行すること以外に方法がないのです。
「そんなことができるのか」と不思議に思われますが、基本的なことさえ学べば誰でも確実に成果を挙げることができるのです。それは決して難しいことではありません。実際にそれを実践している筆者はその方法で年間を通じた投資成果は100%プラス成果となっています。特に、難しいことではありません。少々面倒なことをしなければなりませんが、確実に成果が得られるのであれば問題はないはずです。それを学ぶためにこの小冊子にまとめたのです。それほど難しいことではありませんので、是非、自分モノにして株式投資で成果を挙げて少しでも生活が楽になるようにしましょう。
令和5年8月 萬宝会代表 高野恭壽(たかのやすひさ)
第一部 投資で勝つための心構え
1 余裕のある資金で対応を
株式投資をするためにはある程度の資金が必要です。当たり前のことですが、まず、どれだけの資金で始めればいいのでしょうか。これはかなり個人差があります。余裕のある人はそれこそ数千万円でも用意できるでしょう。逆に、余裕がほとんどなく、何とかかき集めて100万円の資金で始める人などそれぞれの資金事情は千差万別です。ここで重要なことは時間制限のある資金を絶対に用意してはいけないことです。例えば結婚資金、生活資金、借金などで投資することです。株式投資で期待通りの成果が必ずしも得られる保証はありません。それにつぎ込んで実際に結婚資金が足りなってしまうことも想定されます。また、生活費では月末の費用が滞ってしまい借金が膨らんでしまうことも起きます。借金の運用も大きな悲劇を呼び込むことになりかねません。使用目的のある資金で株式投資をすると成果を挙げられることももちろんありますが、落ち着いて投資できず、結果、焦りから失敗するのが目に見えています。株式投資は冷静な判断と思い切った決断が欠かせません。そのため、急ぎの用のある資金で運用するのは適切ではないのです。まとまった資金でなければ十分な運用ができないと考えて無理して資金を作る必要もありません。確かに最低でも100万円程度の資金は運用には欠かせませんが、50万円でもいいのです。余裕のある資金であることが大事なのです。
2 資金の全部をいきなり使わないこと
多くの投資家は買うと決めた銘柄を資金の全部をはじめから使ってしまう傾向が強いようです。タイミングよく、買ってすぐに高くなるならば大成功することになりますが、そんなラッキーな場合はそうそうあるわけではありません。まとまって買った後で買値を下回るケースが往々にしてみられ、「もう少し待ってから買えばよかった」と残念な気持ちになる場合があります。そういう場合を見越してはじめから資金を全部使い切って買うのは考え物です。資金が100万円あったと仮定して考えてみましょう。野村HDを買うことにしましょう。545円で買うとすれば1800株買うことが可能になります。すぐに上がればいうことがないのですが、買った後530円まで下がったとします。「もう少し待てばよかった」と思うことになるのですが、この下落場面ではみているほかありません。更に、525円迄下落した時には、「いずれ上がるのだからこの値段で追加買いしたい」と考えるようになります。実際、野村HDはその後、再び、540円迄戻す動きになると「やはりあの時買っておけばよかった」と残念がります。そういうときのためにはじめに買う時に全部の資金を投入せずにせめて半分だけの資金を使って買うべきだったのです。つまり、900株を買ってそのあとの下落場面で追加買いできたのです。コストも(545+525)÷2=535円になり、一度に買った場合と比べて10円も安く買ったことになります。そして無事にその後上値を追って570円で売却することができたとすれは、63000円の利益(手数料、税金を計算にいれない場合)になります。最初の545円の場合だと45000円になりますので、その差は21000円になり、バカにできない結果です。もちろん、実際の取引の場合には下落ももっと大きくなったり、逆に、買ってすぐに上値を追うケースもあります。状況に応じた投資作戦が必要になるのですが、一度にすべて使うと基本的に余裕がなくなりますので、動きに対して一喜一憂するという不安定な心理に追い込まれることになります。投資で大切なことは余裕、余力を常に持って対応することです。突然の急落場面などに巻き込まれた際には余力を持っていてよかったと筆者などは何回も思い知らされたものです。
3 売買する時間と価格の目標を決める
株式投資は信用取引を除けば時間の制限はありません。買った銘柄をいつまでもつのか、また、どの価格で売却するのか、買う前や買った瞬間に決めておくのが大変重要になります。いつまでの間に売るのか、どこまで上がったならば売るのか、という目標を決めなければただ、上がって喜び、下がればがっかりするという感情的に一喜一憂するだけです。大きくあげても「まだ上がるのではないか」と勝手に思い込み売ろうとしない。そのうち反落する局面になると「あの時売ればよかった」となり、「今度上がったら売ろう」とするですが、なかなか戻らずそのうち更に下落して利益確定のチャンスを失うところまで下落します。そして、いつの間に飛んでもないところまで下落して売るに売れなくなってしまいます。つまり、塩漬け状態になり関心すらなくしてしまうのです。筆者は投資相談を過去限りなく受けていましたが、1000万円以上の投資家の多くは20銘柄以上持ちつつけており、そのうちのほとんどが塩漬け状態というのが実情でした。そういう結果になったのは最初に買ったときにどこまで上がれば売る、1か月経って動きがなければ売るというように目標をら決めていなかったためでした。価格の設定も重要です。ここまで上がれば売るというという目標をはじめか決めて、目標通りまで上がれば、ちゅうちょなく売ることです。時間と価格を同時に決めてどちらかが目標に到達すれば必ず売却する。これを厳格に守ることができれば塩漬け銘柄など存在しなくなり、資金の効率化が可能になるのです。
4 銘柄を持つのは3銘柄まで
実際に銘柄を選らぶのはなかなか難しく、ア~でもないこ~でもないと考えてなかなか決断できないもの
ですが、その結果、あれもこれもと買って、いつの間にか10銘柄にも増えてしまったという経験のお持ちの方も多いと思います。第1章の3でも説明したように資金の枠をいっぱい使って買って目標をもたないで銘柄をあれも上がるのではないか、などと根拠もなく選んでしまった結果だと思われるのです。10銘柄も買ってしまうと全部上がればいいのですが、なかなかそういう結果にはなりません。持ち続けると5銘柄が上がっても5銘柄は下がるというような結果になってしまうものです。上がる確率が50%なっても金額的にはマイナスになります。なぜならば、上がれば利益確定し、損している銘柄は持続することになるためです。損している銘柄は更に下落することが多く、結果、利益を出した分を上回り、損金だけが膨らむという結果になります。最悪、塩漬けになってしまうことも予想されます。資金が500万円の場合に仮に半分の250万円がその損失を抱える銘柄に使っていた場合には残りの250万円で次の銘柄で勝負しなければなりません。500万円の投資家であるのに実は250万円の投資家になってしまうのです。銘柄の選び方を次も同じ感覚で選ぶとやはり同じ結果になり、損失銘柄は更に増えて実際に運用可能な資金は更に減少し、ついには運用可能な資金は100万円を割り込んでしまうという結果になりかねません。そういう結果にならないためには所有する銘柄は常に3銘柄以内にとどめることが大事です。しかも、資金全部を使わないで資金に余裕を持たせるのです。例えば500万円であれば100~150万円ほど余力を残して所有銘柄は3銘柄にとどめるのです。それ以外の銘柄を買いたいときには所有銘柄のうち1銘柄を処分して入れ替えるのです。
筆者の3銘柄以内での運用方法(あくまでも参考で必ずしもマネをしないこと)
筆者は多くの場合には1銘柄しか持ちません。少ない資金を効率よく使用するためにそうするのです。もしも、それ以外の銘柄を選ぶ場合には手持ちの銘柄の株数を削って余裕資金の一部と合わせて資金を作ります。もちろん、銘柄を選んだ場合にはいつまで所有するのかという時間とどれだけ上がれば売るのかという目標を必ず設定します。そうすることで資金の効率を考えて投資するのです。余談ですが、筆者は現物取引をしません。売買はすべて信用取引です。なぜならば、資金を最大限効率よくするためです。例えば、300万円の現金であれば信用取引の場合には900万円までの投資が可能になります。もちろん、900万円の枠いっぱいまで利用せず、限界は2倍と決めています。つまり、600万円までの範囲で資金をつかって3銘柄以内で勝負しているのです。現金の2倍を限度として売買していますので、損金が発生した場合にここまでの損金がでれば処分すると決めています。危機管理に対しては敏感になり、常に、選んだ銘柄は活発な動きをしており、成果を得られやすいという状況になっています。ここで重要なことは損切りを躊躇なく実行できなければマネをしてはいけません。後程説明しますが、損切りは次の利益を生むという意味で株式投資を効率よく成果を得るためには大変重要なことです。損切りを即断できる投資家は年間を通じて利益を得られていると思っています。ましてや塩漬けなどはありえず常に、投資資金が効率よく生かせるのです。
5 分散投資は果たして必要なのか
多くの証券専門家は「片寄った投資はしてはいけない。かならず分散して投資すべきと訴えます。はたしてそれは正解なのだろうか。全体の相場が上向いているときにはある程度成果を期待できるのですが、先ほど説明したように500万円の投資家が500万円を効率よく運用するためには銘柄を散らかしてもつことはいい結果を生むとは思えません。しかし、例えば分散するのであれば業種をいくつか選んで所有することであれば分散の効果を得られることも考えられます。例えば、半導体関連、医薬品関連、インバウンド関連、金融関連などというように業種を分けて買うのはそれなりに成果を得られる可能性はあります。しかし、いつ動きだすのかわからないことを考えますと決して資金効率は良いとは思えません。当欄の投資作戦は長期投資を対象にして説明していません。短期あるいは中期で成果を得られるための投資作戦を対象にしています。
ここでいう短期というのは日計りを含む1週間から2週間、中期狙いは3週間以上1か月半程度を指します。
筆者は毎月1回、「萬宝会」と称する投資研究会を開催しています。2015年5月からスタートして2023年8月で100回を迎えることができました。この萬宝会は次の会合までの間に成果を得られるような銘柄を紹介することを基本にしています。つまり短期及び中期狙いで成果を得られるような銘柄を紹介しています。紹介銘柄は毎回3~4銘柄です。紹介後、これまで1か月で結果を出した銘柄で占められていました。
3銘柄のうち、1銘柄が圧倒的な成果を得られ残りの2銘柄がダメな場合でもトータルで成果を挙げるという結果が多かったのです。もちろん、3銘柄共に成果を得られたケースもありました。筆者も自分が紹介した銘柄に自信をもっており、必ず、自分でも買うようにしています。
余談になりましたが、分散投資の件はある程度の条件を満たした場合には成果もあげられるでしょうが筆者は分散投資は損をまき散らしている「分損投資」としか思っていません。成功するためには銘柄の分散ではなく、株価の分散が必要と考えています。基本的に銘柄を1つ選んで1000株を買うと決めたとします。
最初に全部買うことをしないで、例えば1000円の銘柄の場合には300株ほど買い、950円下がると更に、300株買う、900円になると300株買うというように株価の分散をするのです。いわゆるナンピン買いをいくつかの株価に分けてするのです。更に、下落した場合には一番高い300株を処分して、例えば880円で買うというように常に、コストを下げながら買うのです。この場合の注意点は先高を見込める何らかの材料がある場合の銘柄に限ります。あとで説明しますが、業績見通しが明るくて政策絡みで株価の位置が適切といった条件を満たした銘柄のみこの方法は有効になります。なんでもかんでもいいというわけにはいきません。しかし、ある程度まで下落し予想した動きと更に、異なる動きを示した時には撤退することを忘れてはいけません。筆者の場合にはこの作戦では結果を出した確率は概ね80%以上と非常に高い確率です。つまり、期待できる銘柄を選別し、目標の時間と株価を設定し、かつ、処分売りする場面を決めて初めて実行できるのです。あまり、株式投資の経験の浅い人はマネをしないでください。あくまでも基本的な株価の分散程度で留めて実行してください。
6 「しまった」と思ったら躊躇なく手仕舞え
狙った銘柄が期待通りにいかない場合には再三、遭遇します。しかし、そのうち上がるだろうとそのままにしているとある日、突然に急に下落幅か大きくなる場合があります。その際に、心理は「しまった」思うことになりますが、しかし、そう思うだけでどうすることもできずに放置してしまう経験もあったでしょう。この突然の急落は最後の下落という場面になる場合もありますが、たいていの場合には更に、一段安になるケーズ多いのです。最後の下落の場面はダラダラと時間をかけて下落傾向が続き、そこから一段安になった場合にみられます。それはいわゆる投げが重なったケースによく表れる動きです。高値圏でもみ合っていた後、急に下落幅が大きくなった場合にはこれから下落が続きます、というサインになりますので、そのケースとは逆になります。その際に勇気を持って手仕舞うために、値段を考えずに成り行き売りを断行することです。戻ったら売ろうと考えないことです。結果としてあの時に処分してよかったと後で思うことになります。後ろ髪をひかれる思いで売ることになりますが、そのままにしておくと塩漬けになるパターンになりかねないのです。資金を有効に使うためには損切りをして資金を回収し、新たに銘柄を見つけて起死回生を図ることにすべきなのです。なかなかそれを実行できるものではありませんが、それを躊躇なく断行できる方は投資家として一人前になったといえるのです。「しまった」と思ったら即、手仕舞えを覚えておいてください。直近でその経験をしました。
8月1日に野村HDが決算発表しました。恐らく、好決算と予想してその前の週から買いはじめました。
570円程度で買いました。そして、決算発表したのですが、確かに利益は4倍以上となりましたが、1株利益でみるとわずか7円でした。第一四半期でしたので、年間では28円しかなりません。この結果を見て「しまった」と思いました。そして即、全部売りを決めて2日の寄り付きに552円ですべて売却したのです。その後も株価はもどることなく、530円台まで下落はています。
7 投資セミナーは常識で判断すべし
投資をする際に大事なことは常識を大事にすることを忘れてはなりません。最近、株式が33年ぶりに上昇したことでにわかに株式投資をして少しでも利益を得たいと考える方が増えてきました。それはそうです。賃金が最近上がったといえども実際にはほとんど変わらない賃金のままという方も多いと思われます。
賃金が上がったと実感できるのは公務員、大手企業に勤める一部の方で、圧倒的に多い中小企業に勤める人にとってはどこの国の話とピント来ないのが実情です。そこで少しでも株式投資を学んで成果を得たいと考えるのは自然な行動です。それに目を付けたエセの専門家が跋扈(ばっこ)しはじめています。わずかな間に何割も増やしますというセミナーに参加してなけなしの資金をそれに預けて、だまし取られるという被害に合った人とか、1万円を1億円にした話を聞かされた、有名人を使って説明会を開いているセミナーなどいかにも刺激的な投資セミナーを聞きに行くことを考えている方もおられることでしょう。全部とは言いませんが、会員を集めるために刺激的な内容のセミナーには決して行かないことです。常識で考えてそんなことはないと判断すれば参加しないことです。また、高額の会費を払わせて絶対上がる銘柄を教えるといったたぐいの誘いも避けるべきです。ましてや有名人を利用して投資家を集めるなどは言語同断です。有名人といっても筆者からみれば多少株をかじった程度の素人であり、自分の体験談で巧みに誘うのです。例えば、100万円を振り込めば大化け銘柄を教えるという話にも乗ってはいけません。100万円を振り込むとロクでもない銘柄を教えた後はドロンを決め込まれ、後で文句を言うために電話をしても「ただいまの番号は現在使われていません」と返事が返ってくるのが落ちです。高額の情報料ほど詐欺と考えるべきなのです。高額だからさぞかし良い情報というのは投資家の勝手な解釈なのです。常に、常識を持って判断すれば騙されることもないのです。
8 証券会社は基本的に売買注文だけで銘柄相談すべきところではない
初めて株式投資をする際、証券会社にどうすれば売買できるのか、基本的なことを相談します。売買に必要なことを聞いて、実行するのですが、何を買えばいいのか聞いて、参考銘柄を教えられてそれが必ずしも期待通りの結果になるとは限らないケースがあるということです。証券会社は一般には株式の専門家ということで銘柄を選んで紹介してくれますが、実は、証券会社は顧客が売買の結果に関しては何の責任もないのです。損しようが利益を出そうが売買さえしてくれれば手数料収入が得られることになりますので、顧客の利益に関しては無頓着なのです。営業マンなどは相場の動きなど全く、わからないわけで一般の投資家の方が相場に関しては詳しいのが実情です。かれらは投資信託など取り扱う金融商品については詳しく知っていますが、相場がどうなるのかという我々が知りたい情報については全く素人といっても言い過ぎではないのです。
なぜならば、アナリストは過去の分析を得意としていますので、それに基づいて先行きを予想しようとしています。すでに、織り込まれた材料をもとにして先行きを予想しようとしているのですから、アナリストでなくとも誰でも予想できるのです。AIによる予想といっても同じで過去の分析を素早くするだけのことで未来の予想ができるわけではないのです。したがって、筆者はそれらの予想は全く参考にならないと考えて無視しているのです。先行きの予想でははるかに筆者の方が当たっているケースが多いのです。そういう社員に銘柄を聞いても無駄なことなのです。バブル時には証券会社は銘柄を絞り込んで株価を組織的に押し上げることをしたのですが、そういうことは金融庁から禁止されるようになってからは絞り込んだ推奨銘柄を投資家に提供できなくなったのです。あくまでも数十銘柄を参考銘柄として紹介するだけでこれは上がるなどといえなくなったのです。だから証券会社に銘柄を聞いても無駄なことなのです。ではどうすれば銘柄を選んで成果を挙げることができるのか。基本的には自分で銘柄を探して投資する以外にないということです。筆者のような証券会社の社員ではない情報提供のみに徹している専門家に聞くのも一策ですが自分の責任のもとに銘柄探しをするのが一般的です。だから、第1部の7で説明したようにエセ専門家などが跋扈するのです。それでは自分で銘柄を探すにはどうすればいいのでしょうか。次の第2部に詳しく説明することにします。
第2部 成果得る銘柄を選択するには
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