ボロボロに崩れていく英国経済

直近英国の経済指標が崩れています。供給サイドに起因するインフレにもかかわらずトラス政権の財政出動を全て白紙に戻して緊縮財政を進めているスナク政権ですから、当然と言えば当然です。
日本のマスコミも物価高だと大騒ぎして日銀の緩和政策変更に圧力をかけていますし、防衛費を捻出するために増税だとか財務省のスポークスマンのような報道ばかりですが、勘違いしてはいけないのは、物価が上がったからと言って、日本の企業が儲かっているわけではないということです。原因は供給サイドです、食糧価格やエネルギー価格が上昇したことによる物価上昇であり、価格上昇して日本人が多く払った金の殆どは海外に流れていくだけです。
また、欧米の中銀は軒並み利上げを実施していますが、欧米の様に賃金が上がっていれば購買意欲を抑えるために利上げを実施しても一定の効果はあるかもしれませんが、日本のように実質所得が減少している中、金融引き締めを実施すると更に景気は悪化します。特に日本の国民性として、節約志向が根付いていますから、特に現時点で低金利だから金を借りて使おうとしている国民は殆どいません。
緊縮しながら引き締めをしている英国の状況が先行事例として参考になるかもしれませんので、分析してみます。因みに、EUは金融引き締めはしようとしていますが、財政も出しているため、若干状況が違います。だから最近EURGBPが上昇しているのです。

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英1月GFK消費者信頼感指数
▲45(予想▲40)
英12月小売売上高
前年比▲5.8%(予想▲4.0%)
販売量はコロナショック前の水準を更に下回っています。
12/7-18の消費者サーベイでは、成人の60%がクリスマスに使う金額を昨年より減らすと回答していました。
スーパーでも販売額はインフレの影響で増えていますが、販売量は減っています。
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英1月総合PMI 47.8(予想48.8、前月49.0)
  製造業PMI 46.7(予想45.5、前月45.3)
  サービス業PMI 48.0(予想49.5、前月49.9)
民間企業活動の持続的な悪化が浮き彫りとなり、小幅ですが全体の減少率はここ2年で最速となりました。特にサービスは12月以降急速に勢いを失っています。調査回答のなかでは、金利上昇と低い消費者心理が企業活動を停滞させていると分析しています。一応、世界的に金融引き締めを緩和するという期待感が醸成されていたため、企業活動でも先々は楽観的な見通しが若干回復していましたが、少なくとも個人個人で考えた場合明らかに購買力は衰えており、それにともなって国民の不満は爆発しています。
御覧の通り、下記がストライキカレンダーです。
UK Strike Action Calendar (strikecalendar.co.uk)
びっくりするくらい毎日どこかであらゆる業種がストライキを実施しています。

日本に比べて前年比で+6.4%も賃金上昇しているにもかかわらず、10%の物価高騰に耐えられず、不満が溜まりまくっています。これでエネルギー補助金が切れたりすると、ストではなく暴動になるかもしれません。
また、今年は住宅ローンの借り換えが相次ぐ年に該当するため、借り換え後恐らく金利は急騰しますので、それも家計の圧迫要因です。
英国は政府が財政出動しないとスタグフレーションで景気後退するのは明らかだと思います。

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