「二兎🐇」を追いかけて、大成功しているビジネスパーソンは誰？🤔

　副業時代です。「今やっていることに加えて、新しいことを始めたい」と思うものの「二兎を追う者は一兎をも得ず」、つまり「同時に二つのことをすると、どちらも成功しない」という状態は避けたいものです。実際にはやってみないとわかりません。しかし「二兎を追いかけて成功している人」の存在を知ることで、あなたの将来のビジョンを描く助けになるのではないでしょうか。

　今、アメリカのロケット会社SpaceXによる有人飛行のニュースが話題になっています。この会社のCEOをご存知ですか。イーロン・マスク氏です。アメリカでは2011年のスペースシャトル引退以降、「アメリカで作られたロケットによる有人飛行」は行っていませんでした。それを約9年ぶりに復活させようとしている会社がSpaceXなのです。以前は国の事業でしたが民間企業が請け負うことになりました。つまりアメリカの宇宙開発の歴史を変えることができる会社のCEOです。これだけでもスゴいのに、電気自動車TeslaのCEOでもあるのですから驚きです。

　私もこのことを知った時はびっくりしました。日本に例えるなら、トヨタ自動車の社長がロケット開発会社を創業し、「さあ、国際宇宙ステーションの有人飛行を行うぞ」と言っているようなものです。「いやいや、Teslaはトヨタ自動車ほど大きくないでしょ」とおっしゃるかもしれません。確かに自動車業界の世界一はトヨタですが、時価総額ベースでTeslaはトヨタ自動車に次ぐ第２位（2020年5月30日現在）です。電気自動車の分野では世界一であり、さらに自動運転の分野でも他社より先に進んでいます。現在、アメリカ、中国に工場がありますが、ドイツにも建設中です。つまりTeslaは自動車業界で成功している企業なのです。

　しかし、それだけで驚いてはいけません。イーロン・マスク氏は「二兎」ではないのです。SpaceXやTeslaの他にも、渋滞解消のためにトンネルを掘るThe Boring CompanyのCEOであり、更にチップを埋め込んだ脳と人がコミュニケーションすることを目指すNeuralinkのCEOでもあります。まったく異なる4つの業種の会社でCEOを務めています。The Boring Companyはラスベガスからの受注を受け掘削工事を行っており、Neuralinkも研究が進められています。

　宇宙開発においては、NASAと共に行うものと独自で進めているビジネスがあります。今回実施する国際宇宙ステーションへの有人飛行は、Boeing（飛行機の製造会社で有名）とともにSpaceXは選ばれました。昨年、有人飛行用に使う宇宙船を無人の状態で国際宇宙ステーションに打ち上げるテストを行いました。SpaceXは成功し、Boeingは軌道に乗せることがでませんでした。そしてSpaceXは今回の有人飛行となったのです。他にも、月面有人探査のアルテミス計画にもSpaceXは選ばれています。こちらは、AmazonのCEOである、ジェフ・ベゾス氏のBlue Originも選ばれました。そう、ジェフ・ベゾス氏もAmazonだけではなく、ロケット開発会社の経営しているのです。二兎を追いかけている人の一人ですね。

　SpaceXは、独自にも様々なビジネスを展開しています。皆さんは「コンステレーション」という言葉をご存知でしょうか。地球の周りに衛星を張り巡らせて高速インターネットの通信網を提供するサービスです。日本は通信環境がいい国ですが、世界を見ると通信環境の悪い国・エリアはたくさんあります。SpaceXはStarlinkと名付け、コンストレーションミッションを実施中。すでに420基の衛星を打ち上げました（2020年5月30日現在）。今後もまだ打ち上げが予定されています。これだけで驚いてはいけません。将来は、火星への移住を目指しています。そのために高さ100m以上の大型ロケットStarshipも開発しています。日本でも話題になった前澤氏の月旅行は、このロケットを使って行くことになっています。現在、世界一のパワフルロケットFalcon Heavyを保有しているのも同社です。テスト打ち上げの際には、Teslaのロードスターを打ち上げ話題になりました。宇宙空間を車が走るのです。もちろん、世界各国の通信会社等の衛星の打ち上げ業務も行っています。その中には、日本の企業の衛星もあります。

　このように、二兎どこかたくさん追いかけて成功している人がいるのも事実です。もちろん誰でもできることではありません。おそらくイーロン・マスク氏の上をいくビジネスパーソンはそう簡単に出てこないでしょう。地上の移動手段をガソリンから電気に変え、宇宙の輸送手段を開発し、更に火星に人類が住む場所を作ろうとしているのです。私たちの想像をはるかに超えたことを行っています。

　成功している人を知ることで、「私にもできるのではないか」と感じることも大切なのではないでしょうか。もちろん人生の大半を仕事に費やし、相当な努力をすることが大前提でありますが😊