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MCA道場 #12「誰だって無双できる」開催レポート

マーケターとして生き抜いていくためのスキルを「発見」「習得」「研鑽」できる〈経験〉を提供するMCA道場。

今回は、株式会社かげこうじ事務所代表 マーケター/クリエイティブディレクターの鹿毛康司氏をお招きし、最新著書『無双の仕事術』のエッセンスを紹介いただきつつ、自身の経験や仕事の壁を突破する思考と行動についてお話しいただきました。

このnoteでは、当日のハイライトを参加者の目線でご紹介いたします。

MCA道場 第12回
「誰だって無双できる」
2024年8月21日(水) 19:00〜21:00
<師範>
鹿毛康司 氏
株式会社かげこうじ事務所代表
マーケター/クリエイティブディレクター

経営レベルのマーケティング戦略からクリエイティブ制作までをこなす稀有な仕事人。経営トップの戦略コンサルティングからCMづくりや作詞作曲まで手がける。11年震災直後の「ミゲルと西川貴教の消臭力CM」で社会現象を起こしたり、いち早くSNSに着手して数々のムーブメントを起こしたり、最近では、ほけんの窓口のV字回復に貢献したりと、その仕事ぶりは「無双」状態。傍ら数多くの若手ビジネスパーソンと交流して悩み相談を行なっている。

早稲田大学商学部卒 ドレクセル大学MBA 
グロービス経営大学院 教授、筑紫女学園大学 客員教授
受賞歴:ACCゴールド、フジサンケイ広告大賞、マーケターオブザイヤー、WEB人貢献賞ほか
著書「心」が分かるとモノが売れる(日経BP) ,「愛されるアイデアの作り方」(WAVE出版)


「彼女たちの気持ちがめちゃくちゃわかるよね」

イベント冒頭、鹿毛さんの著書「無双の仕事術」でも記載がある「筑紫女学園大学(通称:筑女)※」の取組を題材に、インサイトについてレクチャーがなされた。

大学の事務総長から直接オファーを受けた鹿毛さんは、生徒が感じている筑女の魅力、笑顔の理由、10代の心の葛藤を捉えたマーケティングコミュニケーションを展開。結果、オープンキャンパスの参加人数は前年比で130~140%、Web訪問者数も5~6倍に増加しているという。

ファシリテーターの田中さんから「泣きそうになる」とコメントがあった以下の動画をまずはご覧いただきたい。

筑女ミュージカル2024

※筑紫女学園大学は福岡県大宰府市にある女子大学。

さて、どのように筑女生の心(インサイト)を導いたのか。簡単に見つけられるものではない彼女たちのインサイトを理解するために、鹿毛さんは38人もの生徒たちにインタビューを行なったそうだ。
インタビューをしながら鹿毛さんの中にいる女子大生と会話したのだという。インサイトは自分自身と会話することから出てくるらしい。

マーケティングとは「愛」だと語る鹿毛さん。他にも多くのリサーチを通じて大学生、これから受験する高校生に近づく努力をしたことだろう。
講義を受けた参加者としての意見だが、インサイトはマーケターのための魔法のツールでなく、とことん相手(顧客)の気持ちに寄り添い、喜んでもらうにはどうしたらよいかと考え続ける。それだけにとどまらず自分と会話することで結果として与えられるギフトのようなものではないかと理解した。

左から田中準也さん(ファシリテーター)、富永朋信さん(飛び入り参加)、鹿毛康司さん(師範)

「調査して出るものなんて、たかが知れてんだよね」

「先生との距離が近いんです。」
「校則がほとんどない。高校の時よりずっと自由だよね。」
「親はもっと偏差値の高い大学に行けと言っていた。でも今は、入ってよかったねと言ってくれる」
インタビューで得られた生徒たちの言葉から、鹿毛さんは「ひとりにしないで。私たちをちゃんと見て」という言葉にならない声を見つけ出し、「好きなものが見つかる」「私らしさが見つかる大学」というメッセージを生み出した。

STPなどのマーケティング理論、数々の定量調査。もちろんマーケターとして数値的根拠とロジックをもってプロジェクトを推進することは重要だ。
しかし、それらを理解したうえで鹿毛さんは「調査して出るものなんて、たかが知れてんだよね」と言う。

その言葉の背景には、自身がMBAで学んだ理論だけでは「無双」するには不十分であると感じた30代の頃の経験や、論理では説明できない人間の行動や心の機微に対する深い理解があるように思う。

数字やデータとにらめっこしてばかりになっていないか?肝心のお客様と生身で接することができているか?どのように売るかばかりに囚われていないか?本当にお客様のためを思って施策を考えることができているか?

今回の道場は、そんな風に自問させられる機会が多い道場だった。

「半年くらいかな、本を書くのをやめた」

鹿毛さんはインサイトについての本を執筆されている。だから執筆中は、自問し続け、心を開き、ダークサイドを含む自分という人間の内面と対峙することを余儀なくされたらしい。

最新著書「無双の仕事術」の執筆中、四六時中心を開き、書き続けていた鹿毛さんは、体調を崩し、ドクターから「このままだと鬱になりかねない」と言われ、半年ほど本を書くのをやめたそうだ。自分の経験を深く堀り、言語化しながら、書くべきことを精査していくプロセスはかなり辛かったと鹿毛さんは語る。私は、インサイトと向き合う作業は、地球の裏側まで地面を掘り続けるような、そんな底知れぬ作業なのだと感じた。

現在書店に並んでいる本は、当初書こうとしていた内容から伝えたいエッセンスを絞り、チャームを加えて出来上がったものだそうだ。
読了後に心が動かされるあの感覚(読んだ人には分かるはず)はこういった過程を経て出来上がっていることが分かるエピソードだった。

「無双の仕事術」まだお読みでない方には是非ご一読をお勧めしたい

「全部やって、全部確かめてから、それ言ってほしいな」

ここからはQ&Aパートでの発言を拾っていく。
参加者からの質問「プロダクトアウトな文化があり、既に発売が決まっている商品に後付けでお客さんに喜んでもらう方法を考えている。この状況をどう打開したらよいのか?」に対し、鹿毛さんは「様々な打開策について今アドバイスしたけれども、(他に思いつくことがあれば)それを全部やって、全部確かめてから、またそれ言ってほしいな。プロのマーケターはどんな状況でもやり抜く。」と回答した。

マーケターとして働く中で、環境的要因で成果を出すことが難しく思えたり、1人の力ではどうにもならない組織の課題にぶつかることがあるかもしれない。そんな時こそ、力強く踏ん張るマーケターになってほしいという鹿毛さんの想いを感じた。

100%成功できる!の10を見せてくれたお三方

「それでもダメだったら逃げりゃいいんだよ」

「未来のことは誰にも分からないから、まずは施策を絶対に成功させる為の準備をする。失敗しても成功するまでやる。それでもダメだったら逃げりゃいいんだよ。命までは取られないからね。」
これは、マーケティングマネージャーを務める方からの「会社の方向性に大きく影響する意思決定の怖さにどう向き合ったらよいのか?」という質問に対する回答だ。

鹿毛さん自身も震災直後に各社がCMを自粛する中で、消臭力のミゲル君のCMを打った時はめちゃくちゃ怖かったのだと語る。成功するかわからない中で、意思決定への不安が募ったときは、この言葉が皆さんの背中を押してくれるかもしれない。

会場の様子

今日からできるアクションリスト

講義のハイライトは以上になる。最後に、note編集者である私が今回の道場で学んだことを日々の行動に移すために考えたアクションリストを共有する。
参加してくださった方、noteをここまで読んでくださった方が業務を進める上で参考になれば嬉しく思う。

学びを活かすアクションリスト:
・毎日、やれることを全部やったか?と自分に問う
・言い訳しないで努力を続ける
・業務に行き詰まった時は、いまの自分はお客様に喜ばれることをしているか?と原点に立ち返って考える
・1日5分でいいので、自分の心を開き、自分と会話する(やりすぎには注意)

講義レポートはここまで)

おわりに

ここまでレポートをお読みいただき、ありがとうございました。詳細なレポート記事はExchangeWireでも公開されますので、これまでのMCA道場のバックナンバーと合わせてご覧ください。

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